年末調整まとめ!

 

年末調整担当者が迷いそうな項目をQ&A形式で解説します。

 

年末調整Q&A1  当社の役員は、当社からの報酬1,000万円以外に他の会社から給与200万円をもらっているため、本人が確定申告をしています。
この場合、当社での年末調整は必要ないでしょうか。

A1  2か所から給与(報酬)をもらっているため、確定申告をしていたとしても給与(報酬)が2,000万円以下で会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人については、主たる給与(報酬)について年末調整を行う必要があります。

 

Q2  当社の従業員は実家に両親が住んでおりましたが、本年、父親が亡くなりました。
父親は母親を控除対象配偶者として配偶者控除の適用を毎年受けており、本年の亡くなるまでの所得についても同様に適用を受けました。
その後、従業員は母と同居することになりましたが、この従業員が母親を控除対象扶養親族とすることはできるのでしょうか。

A2  亡くなった方の控除対象配偶者として控除の適用を受けたとしても、その後その年中において他の人の控除対象扶養親族として控除することは可能です。

 

Q3  当社の従業員は本年11月に給与収入のあった妻を亡くしました。控除対象配偶者は、その年の12月31日の現況で判定することになっていますが、亡くなった妻を控除対象配偶者とすることはできるのでしょうか。

A3  配偶者が年の中途で亡くなった場合は、その亡くなったときの現況により判定することになります。
したがって、奥様の給与収入が103万円以下であれば、奥様を控除対象配偶者とすることができます。

 

Q4  当社の従業員から別居している両親を控除対象扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がありました。別居する両親を控除対象扶養親族とすることはできるのでしょうか。

A4  別居していても生活費等の送金を行い、生計を一としていれば別居する両親を控除対象扶養親族とすることは可能です。
この場合、銀行振込等の振り込みの事実が確認できる書類を残しておいた方がよいでしょう。

 

Q5  当社の従業員は、特別障害者に該当する8歳の子と同居しています。
16歳未満の子は扶養親族の対象とならないと聞いていますが、他の控除は受けられないのでしょうか。

A5  年齢が16歳未満の子であっても障害者控除を受けることができます。
ご質問の場合、同居特別障害者として障害者控除の適用を受けることができます。

 

Q6  配偶者特別控除での注意点はありますか

A6  配偶者特別控除は、給与所得者のその年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用が認められるため、所得金額の確認が必要です。

 

Q7  妻や子が契約者となっている生命保険の保険料は、生命保険料控除の対象とすることはできますか。

A7  妻や子の生命保険契約であっても、夫が保険料を支払っている場合は、夫の生命保険料控除の対象とすることができます。

 

Q8  当社の従業員は、新生命保険料と旧生命保険料を支払っています。両方を支払った場合、一般の生命保険料控除は最高4万円が限度だと思いますが、旧生命保険料の支払いだけであれば控除額が5万円になります。
この場合、有利な方を選択することはできないでしょうか。

A8  所得税法においては、新生命保険料を支払った場合、旧生命保険料を支払った場合、新生命保険料と旧生命保険料の両方を支払った場合の一般生命保険料の控除額の計算方法が示されています。
限度額があることを除き、控除額の計算に制限は課されていないので、いずれか有利な方法を選択することは可能と考えます。

 

Q9  ある従業員の給与所得者の保険料控除申告書には、国民年金保険料の金額の記載があり、証明書類には数年前の国民年金保険料の領収証が添付されていました。
領収日付印は今年度となっていますが、過去の国民年金保険料について社会保険料控除の適用を受けることは可能でしょうか。

A9  社会保険料が過去の年分のものでも社会保険料控除の対象となり、適用を受けることができます。

 

Q10  中途採用で入社した従業員が、当社に入社する前の会社から源泉徴収票をもらっておらず、前の会社に問い合わせをしてもらいましたが、既にその会社は廃業をしていました。
源泉徴収票がない以上、前の会社の分を含めての年末調整を行うことはできないでしょうか。

A10  やむを得ない事情がある場合、給与明細等で給与の額や源泉徴収税額の確認ができるのであれば、それを基に年末調整を行って差し支えありません。

 

Q11  年末調整によって生じた過納額を控除した結果、納付する税額がない場合は、「所得税徴収高計算書(納付書)」の提出はしなくてもよいでしょうか。

A11  納付する税額がなくても、納付税額0円と記載し、所轄の税務署に提出する必要があります。
なお、納付税額がない「所得税徴収高計算書(納付書)」は金融機関で取り扱ってくれないため、直接、税務署に提出することになります。

 

Q12  当社は翌年に給与改定があり、本年分に遡って改定されます。その場合、年末調整のやり直しをする必要があるでしょか。

A12  本年にまで遡って支給されることとなった新給与と旧給与の差額は、その給与改定が行われた年分の所得となり、本年分の年末調整をやり直す必要はありません。

 

Q13  当社の従業員は、年末調整が終わった後に、結婚をして控除対象配偶者を有することとなりましたが、年末調整のやり直しをすることができますか。

A13  従業員から異動事項の報告を受けて、年末調整のやり直しをすることができます。
なお、年末調整のやり直しができるのは翌年1月末日までです。

 

Q14  従業員から海外に住む妻の母親(義母)を控除対象扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されました。
この場合、親族関係書類としてどのようなものが必要でしょうか。

A14  この場合には、従業員と奥様の婚姻関係を証明する書類(例:婚姻証明書)と奥様と奥様のお母様の親子関係を証明する書類(例:奥様の出生証明書)の2種類の書類の提出を受けてください。
この2種類の種類により従業員、奥様、奥様のお母様との親族関係を確認することができます。

 

Q15  従業員から海外に住む親族を控除対象扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を受けましたが、親族関係書類の添付はありませんでした。
従業員に確認したところ、外国政府に親族関係が証明できる書類の発行を依頼しているが、数カ月かかる見込みとのことでした。
この場合、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けることができるでしょうか。

A15  親族関係書類の提出を受けるまでは、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けることはできません。

 

Q16  従業員から海外に住む父親を控除対象扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」が提出されました。
従業員に確認したところ、父親には送金ではなく、現金で生活費を手渡ししているとのことでした。
この場合、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けることができるでしょうか。

A16  国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けるためには送金関係書類の提出を受ける必要があり、送金関係書類がない場合は適用を受けることができません。

 

Q17  当社の従業員から、海外に住む長女と次女の2人分の生活費をまとめて長女の口座に送金していると報告を受けました。
この場合、長女と次女の2人分の国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けることができるのでしょうか。

A17  送金関係書類はそれぞれに送金したことを明らかにする必要があります。
ご質問の場合、長女については国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けることができますが、次女については送金関係書類がないため、適用を受けることができません。

 

Q18  従業員の子供で15歳になる子がいます。年齢が16歳以上の子は扶養親族に該当すると思いますが、年齢はいつ時点で判定するのでしょうか。

A18  所得税において控除対象扶養親族に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況により判定します。
したがってその年の12月31日時点で16歳になっており、また従業員と生計を一にし合計所得金額が38万円以下であれば、お子様を控除対象扶養親族にすることができます。