私が税理士になった理由・・そして目指すもの

「俺が死ねば、(赤字や資金不足は)保険金で何とかなる」
という言葉をA社の社長から聞いたとき、この社長はいつかいなくなってしまうのではないか、私は毎日不安に思いました。

赤字が続く会社は、当然資金繰りも悪化していきます。

資金繰りに追われると親戚、知人、銀行等に借金を願い出ますが、断られたり、厳しく問い詰められたり、早く返せと厳しいことばかり言われ、また、自分の資産をどんどん取り崩すこともあり、社長はどんどん疲弊していきます。

当時、ガソリンスタンド向けの卸売会社で営業をしていた私は、担当先の社長から聞いたこの言葉が頭から離れず、電車に乗っているときも食事をしているときも、この社長のことばかり考えていました。

私は、「この社長を何としても助けたい」という気持ちになりました。
しかし、この会社は数年間赤字が続き社長自身も赤字の状況に慣れてしまっていたため、社長の意識を変えていかなければならず、困難を極めました。

その後、自分にできることは何か考えた私は、月に2~3回この社長の店に顔をだし、資金手当のお手伝いをしたり、私自身がガソリンスタンドの店頭に立って採算の良い商品販売のお手伝いをしました。

どうにか立ち直れないか、もがき苦しみながらも必死に対応しました。
とにかく無我夢中でやれることは全てやったという思いでした。

そして2年後、毎年1千万円以上の赤字だったA社は、ついに黒字に・・・。

黒字が確定したとき、A社の社長が私に「もう大丈夫だ」と言われ、安心したと同時に、何ともいえずうれしかったことを覚えています。

いつも疲れきっていた社長の顔が、このときから変わったのです。

A社と深く関わった私は、「経営」を良くすれば悲惨な状況は変えられるということを、身を持って経験し、気づくことができました。

A社は販売力があり、客数が多かったため、とにかく採算の良い商品の販売を伸ばすことで幸い黒字化しました。
しかし、当時の私は決算書の数字が全く理解できなかったため、その他の赤字会社に対しては、どう手を打つべきかポイントが分かりませんでした。

残念ながら中には、店舗数を半分にまで縮小した会社もあります。

私が担当していた取引先の大部分は赤字でしたが、中には黒字の会社も数社ありました。

ある時、黒字会社B社の社長が、会社の状況をご自分の言葉で、“数字”を使って、きちんと説明されました。

社長が会社の状況を“数字”で把握できているかどうかこそが、黒字会社と赤字会社の違いであることに、このとき気がついたのです。
私は数十社の担当をしておりましたが、黒字会社の社長は、みなさん会社の状況をきちんと把握されていました。

A社の場合、業界平均の2倍の販売力がありましたが、いつも資金繰りに追われ、社長は疲弊していました。
B社の場合、業界平均並の販売でしたが、黒字で、設備投資も出来る状態でした。

売上を伸ばすことが全てではないということをA社から学びとれます。

いくら業界平均の2倍の販売力があっても、全体を上手く「経営」しないと幸せにはなれないのです。
「仕入、販売、営業、広告宣伝、人材、経理、資金、社会保険、後継者問題」など中小企業の社長は考えなければいけないことがたくさんあります。

A社社長のように販売センスが抜群でも、全て一人で対応するのは大変難しいことです。
そして多くの悩みを抱える社長は、孤独になりがちです。
だからこそ中小企業には、サポートする人が必要なのです。

これらの経験から、まずは私自身が数字の分かる人間になろうと思い、そして、中小企業の最も身近である「税理士」を目指すことにしました。
会計の専門家になることで、中小企業のサポート役になろうと。

その後、何度も挫折しそうになりましたが、あきらめることなく勉強し、税理士の資格を取得。

中小企業のために自分が出来ることを増やそうと、会計、税務、法律、金融、マーケティングと多くの勉強をしてきました。
30代の10年間、ほとんど休んだことはありません。

下積み時代は苦労しましたが、今は充実した毎日を送っています。

「黒字の会社を1社でも多く増やしたい」これが、私の目標です。

プロフィール

<略歴>
昭和46年生まれ
明治大学政治経済学部卒業

丸紅エネルギー株式会社【営業】、
石田会計事務所【税務会計】、
ローランド ディー.ジー.株式会社(東証1部上場)【経理】
を経て、会計事務所を開設。

従業員6人~1,000人超の様々な組織に属し、営業、
税務会計、経理を経験(会計事務所業界では異色の
経歴)、また数十社の中小企業と接してきた私だからこそ、見えてくるものがあります。

不効率な仕組み、従業員のモチベーションの問題、組織の問題、営業の問題、接客の問題等・・・・

<資格等>
・税理士(登録番号129802)
・宅地建物取引士(登録番号015208号)
・情報処理技術者(初級システムアドミニストレータ)
・3級ファイナンシャル・プランニング技能士
・静岡県商工会連合会 小規模企業ビジネスパワーアップ支援事業 登録専門家(経営課題解決のために、会社(事業所)等に訪問しアドバイスを行う制度で、実際にかかる費用の1/3の負担で利用できます。この制度の利用を希望される方は、お近くの商工会もしくは当事務所にご相談ください)
・中小企業庁 専門家派遣事業 ミラサポ登録専門家(経営課題解決のために、会社(事業所)等に訪問しアドバイスを行う制度で、無料で利用できます。この制度の利用を希望される方は、当事務所にご相談ください)
<会計ソフト等パートナーシップ>
・freee認定アドバイザー
・マネーフォワードクラウド(旧MFクラウド)公認メンバー
・マネーフォワードクラウドプロフェッショナル認定
・弥生プロフェッショナルアドバイザープログラム会員
・弥生株式会社認定 経営支援アドバイザー
・PCA会計 認定インストラクター
・MyKomon会計事務所の会正会員



<所属団体>
東海税理士会 浜松東支部 経理部副部長
浜北商工会
浜松商工会議所
浜松いわた信用金庫 未来塾

<趣味>
・読書(年間50冊~100冊)
・バイク(Vmax1200、スーパーカブ110(JA07))
・日曜大工(本棚、洋服かけ、ポスト、椅子、ワゴン等を作成)
・メダカ飼育(200匹以上ふ化させたことも)
・ウォーキング(1日30分以上を目標)


<好きな言葉>
人を愛し、感謝を忘れることがなければ何も恐れることはない。

<家族構成>
妻、娘2人の4人家族

私の仕事に対するスイッチが入ったきっかけ

上のプロフィールを見てくださった経営コンサルタントの方から「そもそも仕事に対するスイッチが入ったきっかけは何ですか?」と聞かれたことがあります。

その方は40代半ばの部下を多く抱える大企業の部長で、若手のスイッチを入れるのに苦労されているとのこと。
このテーマは部下を抱える同世代の人達の中で、よく話題にのぼるとおっしゃっていました。

この話を聞いて、私の経験をお伝えすることで何かしらのヒントに繋がればと思いました。

私のきっかけは、20歳のときのガソリンスタンドでのアルバイト経験によるものです。

自分に自信がなかった当時の私は、自分を変えたいという思いで経済的には苦しいものの東京に出ていく決断をしました。

大学生ではありながら学費、生活費を全て自分で稼ぐために月4日の休み以外は、毎日出勤していました。

私が入学した平成4年当時は、バブルがはじけたとはいえ、まだバブルの余韻が残っていて大学生は、毎日楽しく遊んでいました。

たまに学校に行くと、みんな男女で楽しく遊ぶ話しばかりで、苦労する道を自分で選んだものの周りの人との違いに仕事も嫌々やる日々で、そういう状態が半年は続きました。

その態度がみていられなかったのだと思いますが、ある日、同じ店の正社員の主任に殴られたこともあります(今ならパワハラですね)。

そんな私が、その年の三菱石油(現ENEOS)主催の接客態度コンテストに出場することになりました。ガソリンスタンド時代

私が勤めていた会社は三菱石油の100%出資子会社で、毎年必ず出場しなければならず、その年は私に番が回ってきたのです。
私がいたお店には、たまたま前年に優勝した先輩がいました。

その人に「いい経験になるから頑張ろう」と言われ、毎日のように練習することになりました。

嫌々仕事をしていた私は、この練習も言われたことをただこなすだけで、「いらっしゃいませ~」と私が小さい声で練習していると、「語尾は伸ばさないように」とか「もっと大きい声を出すように」とか言われながら毎日指導を受けました。

毎日毎日、一生懸命指導をしてくれたので、私も段々と心が動かされ、あるとき「こんなに一生懸命になってやってくれるのに、自分がダラダラやっていては失礼だ」と思うようになり、練習に力を入れ始めました。
この先輩の気持ちに応えたいと思い、直前1カ月は夜、誰もいない公園で23時くらいまで一人で必死に練習しました。

そうして、ついに接客態度コンテストの当日を迎えました。

大勢の人が見守る中で、大きな声で接客をしなければならず、とても緊張しました。
終わった後は、緊張から解放され、どっと力が抜けていきました。

結果は、450人中の1位で何と私が優勝したのです。自分でも信じられませんでした。
三菱石油 接客態度コンテスト
平成4年11月30日

このことが1つの自信となり、「自分もやればできるのではないか」と思うようになりました。
毎日のガソリンスタンドの勤務では、常連のお客様との会話が出来るようになってきました。

そうしていくうちに少しずつガソリン以外の商品(オイル交換、タイヤ交換、洗車等)が売れるようになってきたのです。
そこで「自分が変われば相手も変わる」ということに気がつきました。それからは毎日、店頭に出るのが楽しくなり、「よしやるぞ」という気持ちで毎日臨みました。

「楽しい⇒お客様との会話が増える⇒商品が売れる⇒成績上位者として会社から報奨金がもらえる⇒嬉しい」という好循環で回り始めたのです。

アルバイトの立場でしたが、ベテランの正社員の人達も押しのけて30数店舗の中で毎月1番の売上げを達成するまでになりました。

翌年は、接客態度コンテスト過去優勝者の方達が中心の更に上のレベルのコンテストでも優勝することができました。
2年連続で優勝し、このご褒美で会社からお小遣いをもらい2年連続でハワイに行かせてもらいました。
貧乏学生だった私はとても嬉しく、若い頃の良い思い出です。

この経験から自分の考え方一つで、物事が変わるということが分かり、仕事は全力で取り組むようになったのです。

この20歳から21歳の頃の経験が私の原点です。


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