3月に決算を行う法人を前提としています。
4月
- 固定資産税第1期分納付
固定資産税は、建物や土地などの固定資産を所有している際に課される税金です。固定資産税の支払いに関して、納税通知書と納付書が届きます。これらに記載された支払い期限に従って、税金を支払う必要があります。
固定資産税は通常、年4回支払います。年間の税金額が4回の分割払いで支払われることが一般的です。ただし、市町村によって支払い期限や支払いタイミングが異なることがあります。年4回に分割して支払うことを強制されるわけではなく、一括で支払うこともできます。
5月
- 確定申告書提出及び納付
- 個人住民税の特別徴収額の通知
確定申告書提出及び納付
3月決算を行う法人の場合、申告は2ヶ月以内に行う必要がありますので、5月末までに申告を行います。そのため、通常は4月1日から5月中旬までの期間に、決算整理仕訳を確定させ、決算を行い、財務諸表を整えてから申告書を提出する流れになります。
必ず5月末までに申告しなければならず、申告書に基づいて出てきた金額を納税しなければなりません。
個人住民税の特別徴収額の通知
個人住民税の特別徴収税額の通知について説明します。これは、お給料の計算に関連するものです。
皆様も給与明細をご覧になる際に、所得税や住民税が天引きされている項目をご覧になったことがあるかと思います。所得税は通常、会社が計算し天引きを行いますが、住民税は異なります。
住民税は、市区町村によって計算され、通知書が送られてきます。これに基づいて毎月天引きして納税を行います。要するに、個人住民税の特別徴収税額の通知とは、この通知書を受け取ったことを指します。
市区町村からは、いくら天引きすべきかについての通知が送られてきます。これに基づいて、6月から天引きを開始します。なぜなら、6月から天引きするよう指示があるからです。したがって、6月からその通知に従って行動することになります。
7月
- 固定資産税第2期分納付
- 健康保険・厚生年金の算定基礎届提出
- 労働保険の概算・確定保険料納付
- 給与源泉所得税の納付(納期の特例)※1
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健康保険・厚生年金の算定基礎届提出及び労働保険の概算・確定保険料納付
健康保険厚生年金の算定基礎届提出および労働保険の概算確定保険料納付が必要です。これらは、通常、社会保険および労働保険に関連する業務であり、主に給与計算業務に関わってきます。
給与計算業務において、従業員の給料から差し引く項目があります。所得税や住民税も差し引く項目です。これに加えて、健康保険、厚生年金保険、雇用保険なども給与から差し引く必要があります。
健康保険や雇用保険など、給与から差し引く金額を決定する作業があります。これが健康保険厚生年金の算定基礎届に関連する業務です。提出期限は通常、7月10日です。
給与源泉所得税の納付(納期の特例)
※1源泉所得税には主に二つの種類があります。一つは給与から天引きされる源泉所得税で、もう一つはフリーランスや個人事業主に支払われる外注費から天引きされる報酬の源泉所得税です。
給与の源泉所得税は、毎月納税する必要がない場合があります。通常、従業員が10人未満の場合には年に2回の納税で済むことがあります。
通常は毎月納税することが原則ですが、例外として、年に2回、納税金額をまとめて支払う特例が存在します。
この特例は、従業員が常に10人未満であり、給与を支払う対象も10人未満の場合に適用を受けることが可能になります。この特例を適用すると、年に2回の支払いで済むことが許可されます。具体的な期日は、7月と1月のそれぞれ10日と20日です。これらの期日で、半年分の納税金額を一括で支払うことになります。
報酬の源泉所得税は年に2回の納税ではなく、フリーランスや個人事業主から天引きした源泉所得税は毎月納税しなければなりません。そのため、フリーランスや個人事業主から源泉所得税を天引きした場合、これは毎月の定期的な業務として必要になります。
毎月、天引きした源泉所得税は、翌月の10日までに納税しなければなりません。したがって、4月の納付分は、具体的には3月に天引きしたものということになります。3月に天引きした源泉所得税は、翌月の4月10日までに納税しなければなりません。
9月
- 固定資産税第3期分納付
11月
- 中間(予定)申告及び納付
- 固定資産税第4期分納付
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中間(予定)申告納付の手続きが必要です。3月決算の会社の場合、上半期は9月末となります。
この中間(予定)申告は9月末から2ヶ月以内、具体的には11月末までに提出と納税を行う必要があります。
12月
- 年末調整
年末調整は、おそらく皆さんが経験されたことがあると思います。これは、1年間の税金の精算作業です。具体的には、扶養控除等申告書を提出し、1年間に天引きされた税金を確定させる手続きです。通常、この手続きを行うと、源泉所得税が少し多めに天引きされていたとなるパターンが多いです。
例えば、毎月100円が天引きされ、年間で合計1200円が天引きされていたとします。年末調整を行ってAさんの税金を確定させた場合、実際の税金は1100円だった場合、100円多く天引きされていたことになります。
この過剰な税金を年末調整に基づいて、12月や1月の給与で返金する作業が、年末調整業務の一環です。
1月
- 給与支払報告書提出
- 法定調書合計表提出
- 償却資産(固定資産税)申告書提出
- 給与源泉所得税の納付(納期の特例)※1
給与支払報告書提出及び法定調書合計表提出
給与支払報告書と法定調書合計表の提出ですが、提出物の源泉徴収票等は実質的には同じであります。
源泉徴収票は、個々の人の1年間の所得、税金の総額、社会保険料などが記載された書類です。言い換えれば、1年間の集計表です。
源泉徴収票は給料に関連するもので、当然ながら従業員に提供するだけでなく、税務署に提出したり、市区町村に提出します。給与支払報告書という名前が異なるかもしれませんが、提出するのは源泉徴収票そのものです。名称が変わるだけです。つまり、「給与支払報告書=源泉徴収票」です。これは必ず提出します。一方、法定調書合計表も源泉徴収票の情報を元に作成されますが、一定の基準を満たす人の分だけ税務署に提出します。
なぜこれらの書類を市区町村や税務署に提出しなければならないのかという理由は、市区町村の場合、個人住民税を計算するためです。市区町村は、従業員の給料に基づいて、その住民税を計算して課税します。したがって、給与情報が提供されないと、住民税の計算ができないため、市区町村に情報を提供することが必要です。一方、税務署への提出は、個々の人々がどれだけの収入を得ているかを、あくまで参考として確認するためです。
償却資産(固定資産税)申告書提出
償却資産税は、基本的に固定資産税の一部です。
詳しく言うと、固定資産税は大きく2つに分けることができます。1つは土地と建物に関連する固定資産税であり、もう1つはそれ以外の資産から計算される固定資産税です。主に土地と建物に関連する税金を指す場合、それは固定資産税と呼ばれ、土地や建物以外から計算される税金は償却資産税として言われたりしています。
土地や建物に関しては、不動産登記簿を通じて所有者が確認できます。不動産登記簿は、土地や建物の詳細情報が法務局に保存されている文書であり、所有者や抵当権の有無などが記載されています。このため、誰でも不動産登記簿を閲覧できます。国、税務署、市区町村なども同様に閲覧可能です。これにより、特定の土地が誰の所有であるかが明らかになり、固定資産税の課税対象が特定されます。
ただし、固定資産には土地や建物以外の資産も含まれます。例えば、備品、機械装置、建物に付属する設備などが該当します。しかし、これらの資産は通常不動産登記簿には記載されていないため、所有者自身がこれらを申告しなければなりません。つまり、土地や建物以外の償却資産については、その情報を含む償却資産申告書を記載し、市区町村に提出しなければ、対象となる固定資産税が課せられないことになります。したがって、これらの資産について申告が必要となります。
3月
- 決算日
- 期末棚卸
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3月決算法人なので3月末が決算日になります。
決算日の在庫評価、すなわち在庫を取り扱う場合、3月末における棚卸資産の評価が必要です。そのため、実地棚卸を行って、具体的な在庫の状況を確認する必要があります。
これが経理業務の主な年間スケジュール(3月決算法人を対象としています)です。最初はこの決算業務や1年間のスケジュールが理解しづらいかもしれません。いつ忙しくなるのかや、どのタイミングでどのような作業が発生するのか、具体的なイメージが持ちにくいかもしれません。しかし、この年間スケジュールを理解し、どの時点でどのような作業が行われるのかを把握しておくことで、業務の進行をスムーズにし、準備をしやすくなると思います。