マイナンバー活用で税金の公平性を!

 

マイナンバー 税金の公平性昨日、税理士会の研修で立教大学教授で憲法学者の原田一明先生の講義を受けてきました。

講義の中で印象に残っているのは、「マイナンバーで所得控除も変わっていくかもしれない」ということです。
(※所得控除とは、所得から差し引くことができ、納税額を減らす効果があります。)

昭和50年代にサラリーマン新党の代表者が、所得控除の一つである基礎控除の額に関して裁判を起こしています。

概要は、基礎控除の額は最低生活費に課税する結果となっており、憲法違反という主張です。

租税法の大家である金子宏教授は著書の租税法で「人的控除は所得のうち本人およびその家族の最低限度の生活を維持するのに必要な部分は担税力を持たない」と述べられています。

また、原田教授も「人的控除の額が低額に過ぎて違憲であるという考え方も採りうる。しかしながら、その場合には、貧困層に属しているか否かを識別するために個人の資産状況その他を綿密に調査する必要が生ずる。
そして、これは、税務官庁が個人生活の全容を細微にわたって把握するという、現代国家において最も警戒すべき傾向を伴いかねない。
この点に配慮する限り、人的控除制度は、一律かつ機械的に適用されるほかないことになる」と述べられています。
(※人的控除とは基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除のことを言います。)

原田教授は、今まで国が全ての資産や所得を把握することは無理だったが、今後はマイナンバーでそれが可能になるかもしれないので、そうすると公平な制度になるかもしれないとおっしゃられていました。

先日、内閣官房のマイナンバー担当者の話しを聞く機会がありましたが、「マイナンバーは現状では、国民の利益になることは少ない」とおっしゃられていました。

サラリーマン新党は、過去にサラリーマンは不公平税制になっていると主張をしています。
確かに昔から「サラリーマン9割、自営業者6割、農家4割」の所得が税務当局に把握されており、「クロヨン」と呼ばれる課税の不公平さがあります。

マイナンバーは週刊誌等で「徴税強化」という記事が多いのですが、マイナンバーを実施することが決まっている以上、徴税強化だけでなく、低所得者への対策や税金の公平性等を実現してもらいたいと思います。