医療費控除とナースステーションへの差し入れ

「ナースステーションへの差し入れ」が医療費控除の対象になるか、という点についてご説明します。

結論から申しますと、残念ながら、差し入れの費用は医療費控除の対象にはなりません。

医療費控除というのは、国が「病気やケガの治療そのものにかかった費用」について、税金の負担を少し軽くしてくれる、という制度です。

そこで、ある出費が医療費控除の対象になるかどうかを判断するときには、一つ、簡単な「ものさし」があります。
それは、「これがお医者さんによる治療のために、直接必要なものか?」と考えてみることです。

例えば、お医者さんが出してくれたお薬代や、手術の費用、入院の部屋代などは、まさしく治療に直接必要なものですよね。
ですから、これらは医療費控除の対象になります。
また、お医者さんの指示で「この松葉杖を使いなさい」と言われて購入したものであれば、それも対象です。

では、「ナースステーションへの差し入れ」をこの「ものさし」で測ってみましょう。
看護師さんには、日々本当にお世話になりますし、感謝の気持ちを形で表したいというのは、とても自然なことです。
ただ、この差し入れはあくまで「お世話になっていることへの感謝の気持ち」ですよね。
これがないと治療が受けられない、というものではありません。

例えるなら、車の修理をイメージしてみてください。
壊れた部品の交換代や修理の工賃は、車を直すために「直接必要な費用」です。
でも、とても親切にしてくれた整備士さんに、感謝の気持ちでコーヒーを差し入れたとしたら、それは「修理代」とは別のお話になりますよね。
それと全く同じことなのです。

このように、医療費控除の対象となるのは、あくまで治療に直結するものに限られます。
入院生活を快適にするためのパジャマ代や、お見舞いに来てくれた家族の交通費なども、残念ながら対象外となってしまいます。