顧客の声が商品開発を変える
はじめに:あなたの「こうだったらいいのに」が、商品になるかもしれない
スーパーのお菓子コーナーで、「もう少し甘さが控えめだったらな」と思ったことはありませんか?
アプリを使いながら、「このボタン、もっと上にあれば使いやすいのに」と感じたことは?
じつは今、そうした「ちょっとした声」が、商品づくりに生かされる動きが広がっています。
会社の会議室だけで決めるのではなく、実際に買って使っているお客さんと一緒に商品を考える。
そんな時代に変わりつつあるのです。
商品は「作る人」だけで決まっていた
少し前まで、商品開発といえば、会社の担当者が集まって話し合うものでした。
担当者はその商品のプロです。
素材のこと、製造のこと、競合他社との違い、どれも深く知っています。
だからこそ、細かいところまで考えられます。
でも、「詳しすぎる」ゆえの落とし穴もあります。
知りすぎていると、普通のお客さんの感覚から少しずれてしまうことがあるのです。
先生が問題を作るときに近いかもしれません。
先生は内容をよく理解しているので、難しいと思っていない部分で、生徒がつまずくことがあります。
「この説明ではわかりにくい」「この問題はひっかけに見える」—それは、実際に解いた生徒の声を聞かないと見えてきません。
商品も同じです。
作る側が「これはおいしい」と思っていても、食べる側は「もう少し味が濃いほうがいい」「袋のデザインが目立たない」と感じているかもしれません。
長年のファンから「こういう商品を求めているわけではない」という声が届くこともあるそうです。
これは会社にとって、かなり大きな学びのはずです。
「お客さんの声」を商品づくりに生かす動き
こうした背景から、最近注目されているのが「VOC(Voice of Customer)」という考え方です。
日本語にすると、「お客さんの声」です。
アンケートや購買データだけでなく、熱心なファンを集めてミーティングを開き、一緒に商品のアイデアを考える企業も出てきました。
「この味、どう思いますか?」「次に食べたいのはどんな商品ですか?」—そんな対話から、会社の中だけでは思いつかないアイデアが生まれることがあります。
家族でカレーを作るときに似ています。
作る人だけで「これがおいしいはず」と決めるより、食べる家族に「辛さはどう?」「具は何が好き?」と聞いたほうが、みんなが喜ぶ味に近づきます。
「声を聞く」と、何がよくなるのか
ファンと一緒に商品を作ることで、二つのよいことが起きます。
会社にとっては、実際に売れる可能性が高い商品を作りやすくなります。
お客さんが本当に求めているものを、直接知ることができるからです。
ファンにとっては、「自分も商品づくりに少し関わった」という楽しさが生まれます。
好きなアーティストのライブで、手拍子や声援によって会場全体が盛り上がる感覚に近いかもしれません。
ただ買うだけでなく、応援する気持ちが強くなります。
文化祭の出し物を生徒みんなで決めると、自分ごとになって盛り上がりますよね。
商品開発も同じで、「会社の商品」だけではなく「自分たちも関わった商品」という感覚が生まれるのです。
ただし、「声」がすべてではない
一方で、注意も必要です。
声を積極的に出すのは、熱心なファンが中心になりやすいです。
でも、商品を買う人の中には、コンビニで何となく手に取る人も、たまに買う人もいます。
だから会社は、ファンの声だけでなく、購買データや売り場の状況も合わせて見る必要があります。
「ファンの声で全部決まる」ということではありません。
でも「ファンの声が商品づくりの大事な材料になっている」—この見方が、今起きている変化を理解するカギになります。
私たちにできること
この動きは、私たちの日常にも関係しています。
好きな商品やサービスに対して、ただ不満を言うだけでなく、少し具体的に伝えてみると、会社も受け取りやすくなります。
「おいしくない」よりも→「もう少し塩味が弱いほうが食べやすい」
「使いにくい」よりも→「このボタンが上にあると探しやすい」
こうした一言が、次の商品に反映されることがあります。
まとめ:「買う人」から「一緒に育てる仲間」へ
今回の話を3つにまとめます。
・ファンの声は、会社だけでは気づけないヒントになる
・ファンと一緒に考えることで、商品は「自分ごと」になる
・声と購買データを合わせることで、より求められる商品に近づける
ファンはもう、ただの「買う人」ではなくなってきています。
商品を育てる仲間のような存在になりつつあるのです。
今日からできる一歩(10分)
好きな商品に「具体的なひとこと」を書き出してみましょう。
1.今日よく使った商品を1つ選ぶ(お菓子、アプリ、洗剤、コンビニ商品など)
2.「好きなところ」を1つ書く(例:味が濃すぎず食べやすい)
3.「もっとよくなるところ」を1つ書く(例:小さいサイズもあると仕事中に食べやすい)
これだけで、商品を見る目が少し変わります。
ニュースを毎日見なくても、身近な商品から「会社とお客さんの関係」を考えることができます。


