賃上げ促進税制の繰越控除について
従業員の給料を上げると税金が安くなる「賃上げ促進税制」。
令和6年度の税制改正で、この制度に「繰越控除」という新しい仕組みが加わりました。
繰越控除とは?
その年の利益が少なくて税金の控除を使いきれなかったとき、「使いきれなかった分」を翌年以降に持ち越せる仕組みです。
いよいよ個人事業主も「繰越控除」が使えます
個人事業主の方がこの繰越控除を使えるのは、令和7年分の確定申告からです。
つまり、今年(令和8年)の3月に届け出る確定申告から、この制度が利用できるようになります。
なお、昨年届け出た令和6年分については、改正前のルールが適用されていたため、控除しきれなかった分を繰り越すことはできませんでした。
なぜ令和6年分は使えなかったの?
個人事業主の申告は「1月〜12月」の1年単位で区切られています。
今回の改正が正式に決まったのは令和6年4月でした。
令和6年はすでに1月から始まっていたため、「途中からルールを変えるのは混乱のもと」ということで、令和6年分は従来どおりのルールが適用されました。
法人の場合は令和6年4月1日以降に始まる事業年度から繰越控除が使えましたが、個人事業主の場合は令和7年分から令和9年分までの3年間が対象となっています。
確定申告で気をつけたいポイント
新しい制度が始まったばかりなので、税務署は「うっかりミス」がないかをていねいに確認しています。
次の点にご注意ください。
繰り越せるのは令和7年分からです
令和6年分で控除しきれなかった金額があっても、それを今回の申告で繰り越して使うことはできません。
繰越控除の対象となるのは、令和7年分以降に発生した控除額からとなります。
繰り越した控除を使う年にも「賃上げ」が必要です
繰越控除を実際に使うときは、「控除が発生した年」だけでなく、「控除を使う年」にも賃上げの条件(従業員全体の給料の合計が前年より増えていること等)を満たしている必要があります。
この制度を活用するために
令和7年分から令和9年分までの3年間、この制度をしっかり活用するために、次の点を意識しておくと安心です。
給与データをきちんと整理しておく
繰越控除を使うには、賃上げの実績を正確に計算できることが大切です。
従業員への給与支払額を帳簿できちんと区分し、計算のもとになるデータを整えておきましょう。
教育訓練費も意識しておく
従業員の研修や教育にかけた費用が一定以上増えると、控除率がさらに上がる「上乗せ措置」があります。
研修の領収書や計画書は、日頃から整理しておくことをおすすめします。
赤字の年も記録を残しておく
たとえ赤字で税金がゼロの年があっても、賃上げをしていれば控除額を最大5年間繰り越せます。
将来の黒字と相殺できる「貯金」になりますので、要件を満たしているかどうかの記録をしっかり残しておきましょう。
※ 制度の詳しい要件や計算方法は、年度によって変わることがあります。実際に申告される際は、最新の情報を税務署にご確認ください。






