お父様の養子(お孫さん)は、お母様の相続人になる?

養子の相続権とお母様との関係

お孫さんのZさんは、今回亡くなられたお母様の相続人にはなりません。

したがって、お母様の相続人は、長男のXさんと、ご相談者である次男のYさんの、お二人だけになります。

なぜ、相続人にならないの?

相続のルールで一番大切なのは、「亡くなった方と法律上の親子関係があるかどうか」です。

  • お父様とZさんの関係: お父様はZさんと「養子縁組」をしました。
    これは「法律上の親子になります」という契約のようなものです。
    これによって、お父様とZさんの間には、法律上の親子関係が生まれました。
  • お母様とZさんの関係: 一方、お母様はZさんと養子縁組をしていませんでした。
    たとえお父様がZさんと養子縁組するときに、お母様が「いいですよ」と同意(賛成)していたとしても、それは「夫が養子縁組すること」にOKを出しただけで、「私もZさんと養子縁組します(法律上の親子になります)」と契約したことにはならないのです。

「家族のチーム」に例えると…

分かりやすく、「家族チーム」で例えてみましょう。

  1. お父様は「お父さんチーム」のキャプテン、お母様は「お母さんチーム」のキャプテンだとします。(普段は「夫婦チーム」ですが、相続では別々に考えます)
  2. お父様は、Zさんを「自分(お父さん)のチーム」の正式メンバーとして迎え入れました。(=養子縁組)
  3. そのとき、お母様は「あなたが自分のチームに入れるのは構いませんよ」と賛成したかもしれません。
  4. でも、お母様はZさんを「自分(お母さん)のチーム」の正式メンバーとしては迎え入れませんでした。(=養子縁組しなかった)
  5. 今回、お母様が亡くなった相続というのは、「お母さんチーム」のメンバーに財産を分けるルールです。
  6. Zさんは「お父さんチーム」のメンバーではありますが、「お母さんチーム」のメンバーではありません。

だから、Zさんはお母様の財産を相続する権利(相続権)がない、ということになるんです。