インボイス制度を機にインボイス発行事業者として課税事業者となった個人事業主の令和6年度の消費税申告について

インボイス制度の開始により、これまで免税事業者だった個人事業主の方が、課税事業者になった場合、令和6年度の消費税申告はどうすればよいのでしょうか?

以下のポイントを押さえておくと、スムーズに対応できます。

① 令和6年度は「2割特例」が使える場合

令和4年(2022年)の課税売上高が1,000万円以下だった場合、令和6年度(2024年)の消費税申告では、「2割特例」を適用できます。

2割特例とは?
本来、消費税の納税額は、「売上にかかる消費税」から「仕入れや経費にかかる消費税」を差し引いた金額」で計算されますが、2割特例を使うと、売上にかかる消費税の2割だけを納税すればOK という簡単な制度です。

例えば、売上にかかる消費税が100万円だった場合、通常なら仕入れや経費の消費税を差し引いた残りを納める必要がありますが、2割特例なら「100万円 × 20% = 20万円」のみ納税すればよいという仕組みです。

さらに、この特例を使う場合、事前の届出は不要です。
消費税の確定申告書に適用の旨を記載すればよいこととされています。

2割特例を使う場合、インボイスの保存は不要
通常、仕入税額控除(事業者が支払った消費税額を納税額から差し引く仕組み)を適用するためには、インボイス(適格請求書)の保存が必要です。

しかし、2割特例を適用する場合は、仕入税額控除を使わないため、インボイスの保存義務はありません。
そのため、仕入れや経費にかかった消費税を細かく計算する必要もなく、手間を減らすことができます。

② 令和4年の売上が1,000万円を超えている場合は要注意!

もし、令和4年(2022年)の課税売上高が1,000万円を超えている場合、2割特例は使えません。
その場合、令和6年度の消費税は、「簡易課税」または「原則課税(本則課税)」のどちらかで申告する必要があります。

・簡易課税:業種ごとの「みなし仕入率」に基づいて簡単に計算できる方法(事前に届出が必要)
・原則課税(本則課税):売上と仕入れにかかった消費税を1件ずつ計算する通常の方法