服装の税金、制服か給与か
基本の考え方:「給与」か「仕事の道具」か
まず、大原則からお話しします。
もし会社から「10万円のスーツ」をプレゼントされたら、それは「10万円のお金をもらった」のと同じですよね。
こういう場合、そのスーツ代は「給与」とみなされ、税金(所得税)の対象になるのが基本です。
しかし、今回のお話の「制服」はちょっと違います。
制服は、おしゃれや私生活のために着るものではなく、「仕事をするための道具」です。
会社が社員に「仕事の道具」(例えば、パソコンやペン)を渡しても、それに税金はかかりませんよね。
制服も、それと同じように考えよう、というのがこのルールの出発点です。
税金がかからない「制服」とは?
では、どんな服なら「仕事の道具」として認められ、税金がかからないのでしょうか。
大きく分けて2つのパターンがあります。
- 「一目でわかる制服」
警察官や消防士、警備員さんの制服など、「それを着ていると、どこの誰だか一目でわかる」ものです。
これらは私服として着ることはまずありませんから、当然「仕事の道具」と認められ、税金はかかりません。 - 「会社の中だけで着る事務服や作業服」
問題は、スーツや事務服など、私服との区別があいまいな服です。
これらが「仕事の道具」と認められるには、2つの条件があります。
- 「仕事場でしか着ない」こと
会社で着替えて、仕事が終わったら私服に着替えて帰るようなイメージです。
通勤や休日に着られるものは「私服(給与)」と見なされやすくなります。
- 「みんなに支給されている」こと
その仕事をする人「全員」が対象であること。
「社長のお気に入りのAさんだけ」に支給されるスーツは、残念ながら「給与」と判断されます。
ブレザー、スーツ、作業服について
この基本ルールを踏まえて、具体的なアイテムについて答えます。
ブレザーとスーツ
- 原則: 普通のブレザーやスーツは、私服としても着られるため、「給与」と見なされやすい(=税金がかかる)です。
- 例外: ただし、そのブレザーやスーツに、会社のロゴや社名がワッペンや刺繍などでハッキリと入っており、誰が見ても「あ、〇〇会社の人だ」と分かる場合は、「制服(仕事の道具)」として認められます(=税金はかからない)。
作業服と安全靴
これは簡単です。作業服や安全靴は、普通、仕事が終われば脱ぎますよね。
「仕事場でしか使わない」ことが明らかなので、「仕事の道具」と認められ、税金はかかりません。
まとめ
会社から支給される服が「制服(非課税)」になるか、「給与(課税)」になるかの分かれ目は、
- 一目で「〇〇会社の制服」だと分かりますか?
- (もし私服と区別がつかないなら)仕事場でしか着ないルールで、全員に支給されていますか?
という点になります。
「身回品(みまわりひん)」というのは、制服とセットで使うネクタイ、帽子、靴下、バッジなどのことで、これらも制服と同じルールで考えます。
いかがでしたでしょうか? このように「なぜこのルールがあるのか?」という視点で考えると、税金の仕組みが少し分かりやすくなるかと思います。






