
医療費控除によって税金はいくら少なくなるか?
医療費控除と聞くと、「支払った医療費がそのまま返ってくる」とイメージされるかもしれませんが、実は少し仕組みが違います。
一言でいうと、医療費控除は「税金の計算対象となる所得を小さくしてくれる制度」です。
「値札」から割り引いてくれるクーポン
これをスーパーの買い物に例えてみましょう。
あなたの所得(給料など)が、商品の「値札」だと考えてみてください。
所得税は、この「値札」の金額に対して「〇%」という税率をかけて計算されます。
医療費控除は、レジでいきなり現金がもらえるわけではなく、「値札の金額から割り引いてくれるクーポン」のようなものです。
このクーポンを使うと、税金を計算する前の「値札」の金額が安くなります。
安くなった「値札」に税率をかけるので、結果的に支払う税金が少なくなる、という仕組みです。
所得が高い人ほど、割引額が大きくなるのはなぜ?
所得税は、所得が多い人ほど高い税率(%)が適用される「階段状の仕組み」になっています。
- 税率5%の人が10万円の医療費控除(クーポン)を使う
→ 10万円 × 5% = 5,000円 税金が安くなる - 税率20%の人が10万円の医療費控除(クーポン)を使う
→ 10万円 × 20% = 20,000円 税金が安くなる
このように、同じ10万円のクーポンを使っても、もともとの税率が高い人ほど、実際に安くなる税金の額は大きくなるのです。
お金が「戻ってくる」ってどういうこと?
会社員の方の場合、毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)されていますよね。
これは、いわば税金の「前払い」です。
確定申告で医療費控除を使うと、「クーポンを使い忘れていたので、税金を計算し直してください」と国に伝えることになります。
その結果、「前払いしすぎていた税金」が計算され、その分があなたの手元に「還付金」として戻ってくるのです。
ですから、そもそも税金を前払いしていない方(源泉徴収されていない方など)の場合は、お金が戻ってくるのではなく、これから支払う税金が安くなる、ということになります。
【まとめ】
医療費控除でいくら税金が安くなるかは、あなたの「所得」と「税率」によって決まります。
まずはご自身の源泉徴収票などで税率を確認してみると、おおよその金額がイメージできるかもしれませんね。