監査法人は品質のバラつきを無くす体制を!

 

金融庁は22日、新日本有限責任監査法人に対し課徴金21億円、3カ月の新規業務停止の重い処分を下しました。

金融庁の発表資料によると
「(パソコン事業では)監査の担当者は、毎四半期末月の製造利益が他月に比べ大きくなっている状況や四半期末月の製造原価がマイナスとなる異常値を認識する、~(略)~ 監査調書に記載するのみで、それ以上にチーム内で情報共有をしていなかった。」

「(半導体事業では)前工程の原価差額を減額した場合は、後工程の原価差額について同額の増額が行われるべきところ、東芝はこれを行っていなかったが、監査チームは、前工程における原価差額の減額が行われていたことを監査手続において認識しながら、後工程における原価差額の増額が行われているかを、~(略)~ 確認する必要があるにもかかわらず、後工程における原価差額の増額は当然に行われていると勝手に思い込み、その確認を怠った。~(略)~ 前工程のTOVのみを増額改訂し、後工程のTOVの改訂を行っていなかった。これにより、後工程において架空の原価差額が発生し、その一部を在庫に割り振ることにより、完成品原価に割り振られる原価差額が減少した結果、完成品原価が減少し、過大な利益が計上された。」としています。

「監査法人の役割は不正を見抜くことではない」という監査法人の主張がありますが、上の金融庁発表資料を見ると、企業から出された数字が正しいかどうかのチェックさえできていない状況だったと思います。

私は東芝の粉飾問題が明るみになってから、この粉飾が見抜けないとは思えませんでした。
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過去にはカネボウが大きな問題となりました。このような会計不祥事が後を絶ちません。

私は上場企業およびその子会社で監査法人(公認会計士)の方と接してきましたが、事務所(支店)・担当者で体質や考え方が大きく異なっていると認識していました。

ある会計士の方は会社のことを思い監査六法と格闘しながら、夜中に電話をくれました。この方のように本気で会社のことを思ってくれる人もいます。

一部の経営者の暴走、一部の会計士の怠慢が従業員、株主、取引先等多くの人を巻き込みます。

今回の重い処分を機に、品質のバラつきを無くし、組織としてしっかりとした監査体制の構築をしてもらいたいと思います。