立体駐車場の建物と設備の分け方
立体駐車場を持っている会社では、「建物本体」と「駐車場の設備(特に機械で動く部分)」を分けて考える必要があります。
実はここは、税務調査でも固定資産税の確認でも、かなりの確率でチェックされるポイントです。
大事なのは「分けること」だけではありません。
どこまでを建物に含めて、どこからを償却資産(しょうきゃくしさん)として申告するかという”分け方のコツ”を押さえておくことが大切です。
税務署や市町村は「何を心配しているか」
担当者が気にしているのは、ざっくり言うと次の2つです。
・同じものに二重で税金がかかっていないか
(固定資産税でも償却資産でも課税されていないか)
・逆に、どちらにも入っておらず漏れていないか
(申告漏れになっていないか)
この2つを防ぐために、まず「どちらの税金の対象になるか」を整理しておきましょう。
「建物(家屋)」として扱われるもの
登記されている建物部分は、市町村が「家屋」として評価し、固定資産税(家屋分) がかかります。
一般的には、「屋根・壁があって、土地にしっかり固定されているもの」は、家屋(建物)に含まれやすいです。
たとえば、自走式の立体駐車場で、柱・床・屋根・壁などがあり、建物に近い構造のものは、家屋として評価されることが多いです。
(ただし、最終的な判断は構造や仕様、自治体の評価のしかたによって変わることがあります。)
「償却資産」として申告が必要になりやすいもの
一方で、機械として動く部分は、建物とは別に「償却資産」として申告する対象になりやすいです。
たとえば、機械式駐車装置の機械部分(昇降機、モーター、パレットなど)、ターンテーブル、駐車場専用の制御盤・操作盤などがこれに当たります。
建物全体の電気設備とは別で、明らかに駐車設備だけに使うものが対象です。
ポイントは、「建物の一部」というより「機械装置としての性格が強いかどうか」 です。
機械式で動くタイプの設備は、ここに当てはまりやすいです。
償却資産の申告書を書くときの「分け方」の考え方
建物と一緒に工事した場合でも、申告では分けて書くことが多いです。
そのときは、まず 見積書・請負契約書・明細書・図面(設備表) を見て、金額を分解していきます。
分けるときの基本イメージ
「建物(家屋)」に含まれやすいのは、建物の骨組み・床・外壁・屋根など、構造そのものに近い部分です。
一方、「償却資産」になりやすいのは、機械として動く装置や専用の制御装置など、機械装置として独立しているものです。
申告の際の注意点(ここが一番大事です)
よくあるミスは、次の2パターンです。
(A)二重申告のミス
固定資産税(家屋)の評価にすでに入っているものを、償却資産でも申告してしまう。
→ 同じものに二重に税金がかかり、払い過ぎになるリスクがあります。
(B)申告漏れのミス
機械式設備を「建物に含めて登記したから」といって、償却資産の申告をしない。
→ 市町村から申告漏れを指摘されるリスクがあります。
つまり、担当者は「二重になっていないか」「漏れていないか」の両方を見ています。
だからこそ、”建物に含まれている部分”と”償却資産として別に出す部分”を、資料をもとに説明できる状態にしておくのが安心です。
たとえば、「見積明細で機械式駐車装置の金額が分かれているので、その部分を償却資産として申告しています」と説明できると、話がスムーズに進みます。
法人税(減価償却費)の考え方—固定資産税とは目的が違います
ここも混同しやすいところですが、整理しておきましょう。
法人税の減価償却は「利益計算のための経費配分」が目的です。
一方、固定資産税・償却資産は「地方税としての課税区分」が目的です。
目的が違うので、分け方も「まったく同じである必要はない」のですが、実務では台帳上で分けておく方がトラブルが少ないです。
なぜ分けた方がいいのか
建物と機械式設備では、一般的に使える年数(耐用年数) が異なります。
もし全部を建物としてまとめて長い年数で償却してしまうと、毎年の経費(減価償却費)が少なくなります。
その結果、法人税を多く払い過ぎてしまうことにつながりかねません。
耐用年数のイメージ(参考)
耐用年数の目安としては、建物(鉄筋コンクリート造の店舗・事務所など)は長めで、38年〜50年程度になることが多いです。
一方、機械式駐車設備(機械装置)は建物より短めで、15年程度になることが多いです。
ただし、耐用年数は資産の内容・構造で変わります。正確な区分は、資産の仕様や取得状況によって判断が必要です。
実務でおすすめの方法
法人税の申告(固定資産台帳)では、次のように整理しておくのが本来の姿で、後々も安心です。
建物本体は、建物として台帳に登録し、建物の耐用年数で償却します。
機械式駐車設備などは、機械装置として別の資産で台帳に登録し、機械装置の耐用年数で償却します。
こうしておくと、法人税の計算が適正になりやすく、償却資産申告書でも金額の根拠を説明しやすくなります。
また、税務調査でも「区分の考え方」が伝わりやすいというメリットがあります。
迷ったときの進め方(実務の手順)
最後に、迷ったときは次の順番で進めると安心です。
まず、見積書・明細・図面で「機械式部分の金額」が分かれるかを確認します。
分かれるなら、台帳も申告もその区分に沿って整理します。
分からない場合(工事一式など)は、施工会社に内訳を依頼するか、合理的な按分方法を検討します。
自治体によって取り扱いが異なることもあるので、必要なら市町村の資産税課に事前相談するのがおすすめです。
資料を持参できると、話がスムーズに進みます。
最後にひとこと
「とりあえず全部まとめておく」のが一番リスクが高く、二重課税か申告漏れのどちらかに寄りやすいです。
逆に、資料にもとづいて区分し、台帳と申告の整合性が取れていれば、調査でも説明がしやすく、安心感がぐっと上がります。






