長期出張旅費の課税・非課税判断

長期間出張する者の旅費

結論から言うと…
まず結論から申し上げますと、その毎月支払う「旅費」は、残念ながら給料と同じように税金がかかる(課税対象となる)可能性が非常に高いです。

なぜ「出張」ではなく「給料」扱いになるの?

ポイントは、その社員さんの「本当の勤務地はどこか?」という点にあります。

税金のルールでは、「出張」とは、いつもの勤務地を一時的に離れて仕事をすることを指します。
そのための交通費や宿泊費は、かかった費用を会社が補てんするだけなので、個人の儲け(所得)にはならず、税金はかかりません。
これを「非課税」と言います。

例えるなら、「家」と「勤務地」の関係に似ています。

  • 短期の出張
    普段の「我が家」(=いつもの勤務地)から、数日間ホテルに泊まって旅行に行くようなものです。この旅費は税金がかかりません。
  • 今回のケース(約2年間の長期滞在)
    これは一時的な旅行というより、2年間だけ別の街に「新しい家」を借りて住むのに近いです。
    税務署から見ると、「2年間もそこで働くなら、その場所があなたの『本当の勤務地』ですよね?」と判断される可能性が非常に高いのです。

そうなると、会社から毎月支給される「旅費」という名目のお金は、出張のための実費精算ではなく、「新しい勤務地」で頑張ってくれる社員さんへの特別な手当、つまり「給料の一部」と見なされます。
そのため、所得税の課税対象となってしまうのです。

ちなみに、税金がかからない「旅費」とは?

ご参考までに、法律で「これは税金をかけなくていいですよ」とされているのは、主に次のような場合です。

  • 本当の意味での「出張」
    いつもの職場を離れて、打ち合わせや視察など、一時的な仕事で旅行する場合の費用です。
  • 「転勤」に伴う引っ越し費用
    正式に勤務地が変わり、それに伴って引っ越すための費用です。
  • 就職や退職に伴う引っ越し費用
    会社に入るため、あるいは退職して地元に帰るためなどの引っ越し費用です。

今回のケースは、残念ながら上記のどれにも当てはめるのが難しいと考えられます。

まとめ

社員の方を想って手当を支給されるお気持ちは、とても素晴らしいと思います。
しかし、税金のルール上、約2年という長期間の滞在に対する毎月の支給は「出張旅費(非課税)」として扱うのは難しいでしょう。