IT導入補助金の罠

「IT導入補助金」で失敗した会社

先週、平成29年補正予算の「IT導入補助金」の交付申請受付が開始されました。

IT導入補助金を検討する際は、「自社が使いこなせるか」と「サポートが受けられるか」をしっかりと確認してください。

補助金がもらえるからと安易に導入しても、結果として損することもある

先日、「会計ソフトが使えなくて困っている」と新規のお問い合わせをいただきました。

この会社は、前回のIT導入補助金で、約30万円の会計ソフトを導入されていました。
導入にあたってサポートを受けていて、総額は約80万円です。

50万円以上の補助金を受けたとはいえ、実質27万円を負担しています。

そして、その導入した会計ソフトの使い方が分からず、そのまま放置しているとのこと。

なぜ、このようになってしまったのでしょうか?

1、税理士・会計事務所に相談しなかった。

自社で経理をし、申告まで行う会社は多くありません。
そうすると税理士・会計事務所が関与する場合がほとんどです。
この会社は、自社でエクセルにより月次の管理をしていて、そのエクセルシートを会計事務所に渡していたとのこと。

新しい会計ソフトの導入後に、会計事務所に話しをしたら「うちでは対応できない」とあっさり断られたそうです。

そして、この会社は取引のない会計事務所にも相談したところ「その会計ソフトは対応していないので、新しいソフトを入れなおしてください。なお、うちが提供できる会計ソフトは月額14,500円です。」とこちらも断られ、かつ、再び会計ソフトの入れ直しを提案されたそうです。

2、システム提供会社の提案を安易に受けてしまった。

自社でどういうことができそうかを検討せずに、補助金がもらえるからと会計ソフトメーカーの提案を安易に受けてしまったことが2つ目の失敗の原因です。

IT導入補助金は、会計ソフトだけではなく、「勤怠システム」、「ホームページ」、「ビジネスチャット」など多くのサービスが対象となっています。

サービスを提供する会社は、売るためにメリットだけしか伝えてくれません。
ITに強くない方が、ITを導入したらすぐにメリットがでるとは限らないのです。

ソフトやシステムは、使いこなしてこそ効率化に繋がるのです。

新しいソフトやシステムを導入される場合は、
➀自社で対応できそうか。
➁会計事務所などの関係者からサポートを受けられるか。
を事前に調べておく必要があります。



結局、この会社は、「IT導入補助金」で導入した会計ソフトを使わないことになりました。
実質負担した27万円以外にも多くのムダが発生したことになります。
・補助金申請に使った時間。
・会計ソフトメーカーに導入してもらうために使った時間。
・経理担当者が新しい会計ソフトと格闘した時間。

安易にIT導入補助金を使って、会計ソフトを入れたことにより、「お金」と「時間」を大きくムダにしたことになります。

会計ソフトについて

会計ソフトは数え切れないくらいたくさんの種類があります。
この会社の例でいうと
・IT導入補助金で導入した会計ソフトは30万円。
・次に相談した会計事務所で奨められた会計ソフトは年間17万円(使い続ける限りずっと)。
数十万円の会計ソフトも数多くあります。

しかし、会計ソフトは数十万円を出さなくても、良いものはたくさんあります。
当事務所がオススメするのは個人事業主なら年間約1万円、会社なら年間約3~4万円くらいです。

高い会計ソフトを導入しても、機能が多すぎて使いこなせないというのはよく聞く話しです。
それならば、必要な機能だけ備えている会計ソフトにして、負担が少ない方が良いと思います。

なお、当事務所は、一般の会計事務所と違い、5つの会計ソフトに対応しております。
話題のクラウド会計にもしっかりと対応できます。

IT導入補助金を使った会計ソフトの導入でも、お気軽に当事務所までお問い合わせください。