ふるさと納税は2026年9月中にした方がいい?10月から変わるルールをわかりやすく解説
ふるさと納税というと、年末が近づいてから考え始める方が多いのではないでしょうか。
「今年はいくらまで寄付できるだろう」
「そろそろ返礼品を選ばないと」
そう思い立つのは、たいてい12月に入ってからかもしれません。
例年であれば、12月31日までに寄付をすれば、その年のふるさと納税として扱われます。
ですから、まだ9月の段階で「年末になってから考えればいい」と思うのは、ごく自然なことです。
ところが、2026年は少し事情が違います。
2026年10月1日から、ふるさと納税に新しいルールが適用されるためです。
結論からお伝えします。
今年ふるさと納税をする予定があり、すでに欲しい返礼品が決まっている方は、9月中の寄付を一度検討しておいてもよいのではないでしょうか。
ただし、これは「9月中に申し込まないと税金で損をする」という意味ではありません。
10月になったからといって、税金の控除がなくなるわけでもありません。
今回の変更で主に影響を受けるのは、自治体側のお金の使い方と、返礼品の条件です。
何が変わり、何が変わらないのか、順番に見ていきましょう。
そもそも、ふるさと納税とは?
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付をする制度です。
一定の限度額の範囲内であれば、寄付した金額のうち2,000円を超える部分について、所得税や住民税から控除(税金から差し引くこと)を受けられます。
そして、多くの自治体では、寄付をした方にお米やお肉、魚、果物、日用品などの返礼品を送っています。
そのため、利用する側から見ると「税金の控除を受けながら、地域の特産品を受け取れる制度」というイメージが強いかもしれません。
ただ、制度の本来の目的は、返礼品を受け取ることではありません。
自分が選んだ自治体に寄付をして、そのお金を子育てや福祉、教育、地域の活性化などに役立ててもらうことにあります。
今回の2026年10月からの見直しも、この本来の目的をより重視する方向の変更と考えると、分かりやすいのではないでしょうか。
2026年10月から何が変わるのか
2026年10月からの変更には、大きく分けて二つのポイントがあります。
一つ目は、自治体が寄付金のうち、実際に地域のために使える割合を増やしていくことです。
二つ目は、返礼品が本当にその地域の産品といえるのかを判断する「地場産品基準」が、より明確になることです。
まず一つ目から見てみましょう。
自治体が1万円の寄付を受け取ったとしても、その1万円をすべて地域の事業に使えるわけではありません。
返礼品を用意する費用がかかります。
寄付者へ送る送料も必要です。
ふるさと納税サイトを利用すれば、その手数料もかかります。
ほかにも、決済の費用や、寄付の証明書を発行する費用などがあります。
つまり、寄付金から、返礼品や送料といった「寄付を集めるための費用」を差し引いて残った部分が、自治体が実際に地域のために使えるお金になります。
制度上、この部分は「寄附金活用可能額」と呼ばれています。
これまでは、寄付を集めるための費用を「寄付額の5割以下」に抑えるという基準がありました。
10月からはこの基準に代わって、残るお金のほうに目を向けた新しい基準になります。
具体的には、2026年10月1日から2027年9月30日までの期間について、寄附金活用可能額を寄付金額の52.5%以上にすることが求められます。
さらにその後も、55%、57.5%と毎年2.5ポイントずつ引き上げられ、2029年10月からは60%以上とする仕組みになっています。
簡単に言えば、「寄付してもらったお金を、できるだけ地域のために使えるようにしましょう」という方向へ、制度が少しずつ変わっていくということです。
返礼品の「地場産品基準」も変わります
もう一つ重要なのが、返礼品の地場産品基準です。
ふるさと納税の返礼品は、基本的にその自治体と関係のある品物であることが求められています。
たとえば、その地域で生産された農産物や、その地域で水揚げされた魚、その地域で製造・加工された品物といったものです。
このうち製造品や加工品については、これまでも、その地域の中で生み出された価値が、品物全体の価値の半分を超えていることが求められていました。
ただ、その「価値」をどのように計算するかは、はっきり決められていませんでした。
そのため、自治体によって計算の仕方がまちまちで、分かりにくい部分があったのです。
そこで2026年10月以降は、価値の計算を原則として価格にもとづいて行う形にそろえます。
そのうえで、製造や加工を行う事業者が「価値の半分超がその地域で生じている」ことを証明し、自治体がその内容を公表する仕組みになります。
あわせて、地域の名前やロゴを入れただけのグッズなどについても、返礼品として扱える範囲が整理されます。
この変更によって、これまで返礼品として扱われてきた品物の中には、条件が見直されたり、掲載が終了したりするものが出てくる可能性があります。
つまり2026年10月からは、「返礼品などに使える費用のルール」と「その品物を本当に地域の返礼品として扱えるのかというルール」の両方が、厳しくなると考えられます。
変わらないことも確認しておきましょう
変わる点ばかりに目が向きがちですが、変わらない点もあります。
まず、返礼品の調達にかかる費用を寄付額の3割以下に抑えるという、おなじみのルールはそのままです。
また、寄付の申し込み方法や、確定申告をしなくても控除を受けられる「ワンストップ特例」の仕組みも変わりません。
ワンストップ特例は、寄付先が5自治体以内であることなどが条件で、申請書は寄付した翌年の1月10日までに自治体へ届く必要があります。
この点もこれまでどおりです。
私たちにはどんな影響があるのか
では、この変更は、ふるさと納税をする私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。
考えられるのは、返礼品に必要な寄付額が上がること、返礼品の内容量が少なくなること、返礼品そのものが取り扱い終了になることといった変化です。
たとえば、現在は1万円の寄付でもらえる返礼品が、10月以降は1万2,000円の寄付が必要になるかもしれません。
あるいは、寄付額は1万円のままでも、お米10kgだったものが8kgになったり、お肉1kgだったものが800gになったりすることも考えられます。
もっとも、すべての返礼品が10月から変わるわけではありません。
今までと同じ寄付額、同じ内容で続くものも多いと思われます。
特に、1年目の引き上げ幅は2.5ポイントです。
これまでも費用に余裕を持って運営していた自治体であれば、大きな変更はないかもしれません。
一方で、上限ぎりぎりで運営していた自治体や、地場産品基準の見直しに関わる品物では、影響が出やすいと考えられます。
どの品物がどの程度変わるのかは、自治体や返礼品によって異なります。
ですから、「10月になったら全部値上がりする」という話ではありません。
ただし、すでに欲しい返礼品が決まっているのであれば、あえて10月まで待つ理由も特にありません。
ここが、2026年は9月中の寄付を一度検討しておいた方がよいと考える理由です。
税金の控除が10月から不利になるわけではありません
ここは、とても大切なところです。
10月からルールが変わると聞くと、「9月までに寄付した方が、税金が多く戻ってくるの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、そういう意味ではありません。
今回の見直しは、自治体側の基準や返礼品に関するものです。
一定の限度額の範囲内であれば、寄付した金額のうち2,000円を超える部分について所得税や住民税の控除を受ける、という基本的な仕組みは変わりません。
したがって、同じ2026年中の寄付であれば、9月に寄付したから控除額が多くなる、10月に寄付したから控除額が少なくなる、ということはありません。
今回注目したいのは、税金の控除ではなく、返礼品の条件が変わる可能性がある、という点なのです。
なお、少し先の話として、2027年の寄付からは、住民税の控除のうち一部に上限(193万円)が設けられることになっています。
ただ、これは給与収入でいえば1億円程度の、ごく所得の高い方を想定した上限です。
多くの方には直接関係しないと考えられますし、2026年中の寄付には影響しません。
昨年の「ポイント禁止」とは別の話です
「10月からふるさと納税が変わるという話、昨年も聞いたような気がする」という方もいらっしゃるかもしれません。
それは、2025年10月から行われた別の制度変更です。
2025年10月1日から、ふるさと納税サイトが寄付額に応じて独自にポイントを付ける仕組みが禁止されました。
たとえば楽天ふるさと納税では、寄付に対して楽天市場のポイントが上乗せされる仕組みが終了しています。
なお、クレジットカードで支払ったときに、カード会社から付く通常のポイントは、この禁止の対象外です。
これはすでに2025年に実施された変更です。
今回の2026年10月からの変更は、それとは別のもので、自治体側の費用の使い方や、返礼品の地場産品基準などを見直すものです。
二つの変更は、分けて考えた方が分かりやすいでしょう。
では、9月中に限度額いっぱいまで寄付した方がいいのか
ここまで読むと、「だったら9月30日までに、今年のふるさと納税を全部済ませた方がいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、必ずしもそこまでする必要はありません。
ふるさと納税で、自己負担を原則2,000円に抑えながら控除を受けられる金額には、限度があります。
その限度額は、その方の所得や家族構成などによって変わります。
特に、会社員の方で今年の年収がまだ確定していない場合や、個人事業主の方で今年の所得がまだはっきりしない場合には、9月の時点で限度額を正確に判断するのは難しいこともあります。
限度額を超えて寄付をすると、超えた部分は一部しか控除されず、その分だけ自己負担が増えてしまいます。
そうした方が、「10月から制度が変わるから」という理由だけで、無理に限度額いっぱいまで寄付する必要はないのではないでしょうか。
むしろ、今年どうせ申し込む予定で、今の時点ですでに欲しいものが決まっている返礼品から、優先的に検討するのがよいと思います。
たとえば、毎年頼んでいるお米がある方。
毎年同じ自治体のお肉や魚を選んでいる方。
トイレットペーパーやティッシュなど、必ず使う日用品を頼む予定がある方。
すでにお気に入りに登録している返礼品がある方。
こうした方は、9月中に現在の寄付額や内容量を確認してみる価値があるでしょう。
一つ、例を挙げてみます。
会社員のAさん(40代)は、毎年12月に、同じ町のお米を寄付で申し込んでいます。
今年の限度額は昨年とほぼ同じ見込みで、そのうちお米の分は、限度額の半分ほどです。
こういう場合は、お米の分だけ9月中に申し込み、残りは年収がはっきりする年末に考える、という分け方ができます。
制度の変更に備えつつ、限度額を超えてしまう心配も少ない、無理のない進め方ではないでしょうか。
反対に、今年の収入がまだまったく読めない方や、特に欲しいものが決まっていない方、「とりあえず何か申し込まなければ損だ」と感じているだけの方まで、慌てて寄付をする必要はありません。
9月中に寄付するときの注意点
9月中に寄付をする場合は、「申し込み」だけでなく、「支払い」までを9月30日中に済ませておくことが大切です。
ふるさと納税では、一般的に、支払いが完了した日が寄付をした日として扱われます。
クレジットカードであれば決済が完了した日、銀行振込であれば自治体の口座に入金された日が目安になります。
お気に入りに入れただけ、申し込み画面を開いただけでは、寄付をしたことにはなりません。
また、9月中に寄付をしても、返礼品の到着が10月以降になることがあります。
その場合でも、申し込んだ時点で表示されていた内容で届くのが一般的と考えられます。
ただ、取り扱いは自治体やサイトによって異なる可能性もありますので、気になる方は申し込みの際に確認しておくと安心です。
今年は「年末まで放置」ではなく「9月に一度確認」
ふるさと納税は、どうしても12月に利用が集中します。
「年末になったら考えよう」という方も多いでしょう。
しかし、2026年は10月1日から制度の一部が変わります。
今年だけは、「年末になってから考えればいい」ではなく、「9月中に一度確認しておく」という考え方がよいのではないでしょうか。
お気に入りに入れている返礼品があれば、現在の寄付額と内容量を確認してみる。
毎年申し込んでいる返礼品があれば、今年も申し込む予定なのかを考えてみる。
そして、今年の所得から見て控除の限度額に十分な余裕があり、どうせ申し込む予定の返礼品なのであれば、9月中に寄付しておく。
このくらいの考え方で、十分だと思います。
制度が変わるからといって、必要のないものまで慌てて申し込む必要はありません。
一方で、10月になってから「9月までなら、この寄付額でこの内容だったのか」と気づくのも、少し残念な気がします。
2026年のふるさと納税は、いつもの年より少しだけ早めに確認してみる。
まずは9月30日までに、お気に入りに入れている返礼品や、毎年利用している返礼品を一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
なお、ふるさと納税の控除の限度額や手続きは、お一人おひとりの所得や家族構成、ほかの控除の状況によって変わります。
ご自身の限度額や申告の方法について不安がある場合は、お近くの税務署に相談されることをおすすめします。
また、各返礼品の最新の条件は、自治体やふるさと納税サイトで必ずご確認ください。


