
確定申告をしなくてもよい少額配当所得
株の配当金は、税金があらかじめ引かれた(源泉徴収された)状態で受け取ります。
そのため、基本的には確定申告をしなくてもOKです。
しかし、「あえて確定申告する」という選択もできます。
これを申告分離課税や総合課税といった方法で申告することで、税金が戻ってくることがあるからです。
これを「申告不要制度」といい、確定申告をするかしないか、納税者自身が選べる制度です。
ご質問の場合の具体的なお話
ご質問の内容を整理すると、2種類の配当金がありますね。
- ご自身の会社の株(非上場株)の配当:12万円
- その他の上場株の配当:14万円
この2つは、少しルールが違います。
1. ご自身の会社の株(12万円) →「必ず確定申告が必要」です
こちらは、残念ながら選ぶことはできず、必ず確定申告に含めなければいけません。
ご自身の会社のような「非上場株式」の配当は、年間の配当が「10万円×(配当の計算期間の月数)÷12」という計算式で出した金額を超える場合、必ず申告するルールになっているからです。
今回は12万円ですので、この基準を超えてしまいます。
2. 上場株の配当(14万円) → 「申告するか、しないか選べます」
こちらはあなたの自由な選択です。
確定申告に含めても良いですし、含めなくても構いません。
「申告する」と「しない」、どっちがお得?
では、なぜわざわざ「申告する」という選択肢があるのでしょうか。
それは、申告した方が得になる可能性があるからです。
【申告する場合のメリット】
「配当控除」という割引が使える!
これは、配当金にかかる税金を軽くしてくれる制度です。
いわば「税金のキャッシュバック」のようなもの。
これを使うと、払いすぎていた税金が戻ってくる可能性があります。
【申告する場合の注意点】
あなたの「公式な年収」が上がってしまう。
- 申告した配当金は、あなたの「合計所得金額」に含まれます。これは、いわばあなたの公式な年収のようなものです。
- この金額が上がると、例えばご家族の扶養から外れてしまったり、国民健康保険料が上がったりと、他の制度に影響が出ることがあります。
まとめ:あなたの取るべき選択
- 自社株の配-当(12万円):必ず申告してください。
- 上場株の配当(14万円):申告するかどうかを選べます。
判断のポイント:「配当控除のキャッシュバック」を受けたいか、それとも「扶養や保険料への影響」を考えて公式な年収を抑えたいか、という視点で決めると良いでしょう。
【とても大切なこと】
この選択は、一度決めたら後から変更することはできません。
「やっぱり申告するのをやめたい」「やっぱり申告したい」ということは認められないので、慎重に判断してください。