
不動産所得の帰属者
旦那様のアパート経営を奥様が手伝うケース、よくありますよ。
誰の名前で確定申告をすればいいのか、分かりやすく解説します。
アパートの大家さんは誰?という視点で考えましょう
ご相談の内容を拝見しました。旦那様が建てたアパートの管理を、奥様がすべて行っているのですね。
契約書の名義も奥様ですし、消防署への届け出や入居者さんの対応まで、本当にご苦労様です。
「これだけ私がやっているのだから、家賃収入の申告は私の名前で良いのでは?」と思われるお気持ち、とてもよく分かります。
しかし、税金のルールでは、「その収入の元となる資産(この場合はアパート)を本当に持っているのは誰か?」という点で判断します。
たとえるなら、リンゴの木のオーナーは旦那様で、奥様はその木のお世話をして、美味しいリンゴ(家賃収入)を収穫しているようなイメージです。
収穫したリンゴは、木のお世話をした奥様のものではなく、木のオーナーである旦那様のものになりますよね。
ですので、今回の場合、アパートの土地と建物の名義が旦那様である以上、そこから生まれる家賃収入(不動産所得)は、旦那様のものとして申告するのが正しいルールとなります。たとえ、契約書の名義や実際の管理を奥様が行っていても、この原則は変わりません。
奥様の頑張りもしっかり評価されます!「専従者給与」という仕組み
「じゃあ、私が頑張っている分はまったく評価されないの?」とがっかりされるかもしれませんが、ご安心ください。
ちゃんと奥様の働きを申告に反映できる仕組みがあります。
旦那様のアパート経営が「事業的規模」と認められる場合、奥様のお仕事に対して給料を支払うことができるのです。
これを「専従者給与」(青色申告の場合)または「専従者控除」(白色申告の場合)と呼びます。
事業的規模ってどのくらい?
アパート経営が「事業」と呼べるくらいの規模かどうか、ということです。一般的には「5棟10室基準」といって、アパートなら10室以上、戸建てなら5棟以上あれば事業的規模と判断されることが多いです。
奥様への給料が経費になります
この「専従者給与」の仕組みを使うと、旦那様が奥様に支払った給料を、アパート経営の経費にすることができます。
経費が増えれば、その分、旦那様の不動産所得が減ります。
つまり、旦那様が支払う税金が安くなるという大きなメリットがあるのです。
もちろん、給料を受け取った奥様には所得税がかかる可能性がありますが、世帯全体で考えたときに税金の負担を軽くできるケースがほとんどです。
まとめ
- アパートの家賃収入は、建物の所有者である旦那様の所得として申告します。
- 奥様の頑張りは、「専従者給与(控除)」という形で給料として申告に反映できます。
- これにより、世帯全体で節税につながる可能性があります。
アパート経営は色々と大変なことも多いと思いますが、税金の仕組みを上手に活用してくださn。