断食道場費用と医療費控除

胃腸病を治す目的で入った、断食道場の費用は医療費控除の対象にならない。

胃腸の調子を整えるために断食道場に入門されたのですね。
その費用が医療費控除の対象になるか、というご質問です。

結論から申し上げますと、残念ながら、断食道場の費用を医療費控除の対象にすることは難しいのです。

「実際に体調が良くなったのだから、これは立派な治療ではないか」とお感じになるお気持ちは、非常によく分かります。
長年お医者さんに通っても良くならなかった症状が、断食によって改善されたというお話も耳にします。

しかし、現在の税金のルールでは、医療費控除の対象となるのは「お医者さんや、国が認めた資格を持つ専門家(例えば、あん摩マッサージ指圧師など)による治療」と、はっきりと線引きがされています。

なぜ、このようなルールになっているのでしょうか。

もし、「本人が治療のためだと思ったもの」を何でも医療費として認めてしまうと、どうなるでしょう?

例えば、「体に良いと聞いたから、毎日高級なサプリメントを飲んでいます」とか、「温泉旅行に行ったら腰痛が楽になったので、その旅費も医療費です」といったケースまで、範囲がどんどん広がってしまいます。

そうなると、人によって医療費と考えるものがバラバラになり、収拾がつかなくなってしまいます。
また、お金をかけられる人とそうでない人で税金の負担に差が生まれてしまい、公平性が保てなくなってしまいます。

そこで国は、「お医者さんなど、専門家が治療として行うもの」という、誰が見ても判断しやすい客観的な基準を設けているのです。

したがいまして、たとえご自身にとって素晴らしい効果があったとしても、税金のルール上、断食道場の費用は「病気の治療」ではなく、「健康増進や体質改善のための自己投資」という位置づけになってしまうのです。