大人の「おむつ代」も、税金が戻ってくる「医療費控除」の対象になります

成人用おむつの購入費用は医療費控除の対象になる

大人の「おむつ代」と「医療費控除」のお話

ご家族が病気やケガで、長い間ベッドで過ごさなければならない(いわゆる「寝たきり」の)状態になったとき、おむつは毎日の生活に欠かせないものになります。

「医療費控除(いりょうひこうじょ)」というのは、簡単に言えば「1年間に治療費がたくさんかかったご家庭は、その分、納める税金を安くしますよ」という国の制度です。

もし、治療を担当しているお医者さんが「この方の治療には、おむつが絶対に必要です」と認めてくれた場合、そのおむつ代も「治療に必要な費用」として、医療費控除の仲間に入れることができます。 (もちろん、病院ではなくご自宅で介護している場合も対象です)

対象となるための「2つの条件」

ただし、どなたでもおむつ代を医療費控除に入れられるわけではなく、次の2つの条件を両方とも満たす必要があります。

  • 病気やケガが原因で、6ヶ月以上、寝たきりの状態であること。
  • お医者さんから見て、「引き続き治療が必要で、その治療のためにおむつの使用が欠かせない」と判断されていること。

申告の「4ステップ」と「必要な書類」

実際に医療費控除を受けるための手順は、次の4ステップです。

ステップ1: 「おむつが必要なことの証明書」を手に入れる

ここが一番のポイントです。
必要な書類は「初めて申告する年」と「2年目以降」で変わります。

  • 初めて(1年目)の場合

原則として、お医者さんに「おむつ使用証明書」を発行してもらう必要があります。(治療を受けている病院でご相談ください)

  • 2年目以降の場合 (ここが便利になります!)

毎年お医者さんに証明書をもらうのは大変ですよね。

そのため、2年目からは、お医者さんの「おむつ使用証明書」の代わりに、お住まいの市区町村が発行する「確認書類」(※)や、「主治医意見書」の写し(コピー)を使えるようになっています。

(※介護保険の申請などで使われる「主治医意見書」の内容を、市区町村が確認して発行してくれる書類のことです。詳しくはお住まいの役所(介護保険の窓口)にご確認ください。)

ステップ2: 「領収証」をまとめて保管する

おむつを買ったときの「領収証」(またはレシート)は、すべて大切に保管してください。

(重要!) 申告のときに領収証を税務署に提出する必要はありません。 その代わり、ご自宅で「5年間」保管しておく義務があります。

ステップ3: 「医療費控除の明細書」を作成する

保管しておいた領収証をもとに、「いつ、どこで、いくら使ったか」をまとめた「医療費控除の明細書」という専用の集計表を作成します。

(この「明細書」は国税庁のホームページからダウンロードできます)

ステップ4: 「確定申告」をする

毎年(通常 2月16日〜3月15日)の確定申告の時期に、ステップ3で作った「明細書」を申告書に添付して税務署に提出します。

(※ステップ1の「証明書」やステップ2の「領収証」は、提出せず、ご自宅で保管しておきます)

いかがでしょうか? 特に「2年目以降は、役所の手続きで済む場合がある」という点は、ご家族の負担を減らすためにも大切なポイントですね。

介護は費用も手間もかかり本当に大変ですが、使える制度は上手に使って、少しでも負担を減らしてください。