ストマ用装具と医療費控除
がんの治療などで直腸の手術を行い、体に人工肛門(ストマ)が作られることがあります。
ストマとは、手術によってお腹に作られた排泄のための出口のことです。
ストマをお持ちの方は、「ストマ用装具(蓄便袋など)」を継続して使用する必要があります。
これらの装具は使い捨てのものが多く、退院後も日常生活を送るために、定期的に購入し続けることになります。
なぜ継続的なケアが必要なのか
人工肛門や尿路変向などでストマをお持ちの方は、内臓の一部が外に露出した状態になるため、細菌感染などのリスクがあります。
そのため、入院中だけでなく、退院後も「ストマケア」と呼ばれる専門的なお手入れを続けることが、治療の一環として大切になります。
医療費控除の対象になる場合
このように、治療のためにストマ用装具を継続して使う必要があると医師が認めた場合には、その購入費用を「医療費控除」の対象にすることができます。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに、税金の負担が軽くなるしくみです。
申告までの流れ
医療費控除を受けるためには、次のような手順で準備を進めます。
- 医師の証明書をもらう
主治医などに「ストマ用装具が治療上必要である」という内容の証明書(診断書など)を作成してもらいます。 - 領収書を保管する
ストマ用装具を購入したときの領収書を、1年分まとめて保管しておきます。 - 確定申告で申告する
医師の証明書を確定申告書に添付するか、税務署から求められたときに提示できるように保管しておきます。
そのうえで、ストマ用装具の購入費用を、ほかの医療費と合わせて医療費控除として申告します。
具体的なイメージ
たとえば、直腸がんの手術を受けて人工肛門になったAさんが、退院後も毎月ストマ用装具を購入しているケースを考えてみましょう。
主治医から「感染予防や皮膚トラブルを防ぐため、治療上、適切なストマ用装具の継続使用が必要です」という内容の証明書をもらいます。
そして、1年間に支払ったストマ用装具の代金の領収書をきちんと保管しておけば、その金額を医療費控除の対象として確定申告できます。
知っておいていただきたいこと
- 医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象です。
ストマ用装具の費用も、支払った年ごとに集計して、その年分の確定申告で申告します。 - 医療費控除には、所得や支払った医療費の合計額によって、適用できるかどうかや控除額が変わるしくみがあります。
ストマ用装具以外の医療費(手術代、通院の交通費、その他の治療費など)と合わせて計算しますので、実際にどのくらい控除が受けられるかは、年間の医療費の総額や所得の状況によって異なります。
まとめ:大切なポイント
ストマ用装具が医療費控除の対象となるには、次の2点がポイントです。
- 治療上、使用が必要とされていること
- 医師の証明書があること






