「法定調書」の扱い、特に不動産の支払調書について解説します。

法定調書における不動産支払調書の提出要件

「法定調書」とは、会社や個人事業主が、誰にいくら支払ったかを税務署に報告するための書類です。
今回は、その中でも「不動産の使用料等の支払調書」についてお話しします。

結論から申し上げますと、「支払先が法人なら、すべて提出不要」とは限りません。
確かに、法人への支払いは提出の範囲が限られていますが、必要なケースもあります。
税務署がこの書類で何を確認しようとしているのか、その視点から整理してお伝えしますね。

税務署が「支払調書」で注目していること

税務署が支払調書を集める最大の目的は、「支払った側の経費」と「受け取った側の売上」が一致しているかを確認することです。

特に個人の場合、確定申告を忘れてしまったり、申告が漏れてしまったりするケースがあるため、支払調書は大切な「裏付け資料」になります。

一方、法人は「きちんと帳簿を付けているはずだ」という前提があるため、個人に比べるとチェックの優先度が下がります。
これが「法人への支払いは提出不要」という誤解につながりやすいポイントです。

法人への支払いでも「提出が必要」なケース

「不動産の使用料等の支払調書」において、支払先が法人の場合でも提出が必要なのは、主に以下の項目です。

家賃や地代そのものについては、提出不要です。
一方、権利金・更新料・礼金については、同じ相手への年間合計が15万円を超える場合、提出が必要になります。

なぜ「権利金・更新料」だけは法人でも必要なのでしょうか?

毎月の家賃は経理処理がシンプルですが、権利金や更新料は金額が大きくなりがちです。
税務署としては、受け取った法人が「売上(収益)」として正しく計上しているか、あるいは複数年に分けて処理すべきものを間違えていないかを確認したい、という意図があります。

判断基準のまとめ

提出の要否を整理すると、次のようになります。

支払先が個人の場合は、家賃・地代・共益費、権利金・更新料・礼金のいずれも、年間合計が15万円を超えると提出が必要です。

支払先が法人の場合は、家賃・地代・共益費については提出不要です。
ただし、権利金・更新料・礼金については、年間合計が15万円を超えると提出が必要になります。

なお、「15万円」は、その年(1月〜12月)の合計額で判断します。
法人に対して「家賃」しか払っていない場合は、提出は不要です。

実務上のアドバイス

最後に、実務で気をつけていただきたい点を2つお伝えします。

「名目」ではなく「実態」で判断する

契約書や領収書に「手数料」と書いてあっても、実態が権利金に近いものであれば、支払調書の提出対象になる可能性があります。
書類の名前だけで判断せず、「何のためのお金か」を確認しておくと安心です。

大家さんが途中で法人に変わった場合は注意

大家さんが年の途中で「個人」から「法人」に変わった場合(いわゆる「法人成り」)、個人だった時期の支払い分については、「個人への支払い」として調書を作成する必要があります。