年金をもらいながら個人事業を続けても大丈夫?利益と年金減額の関係
65歳を迎えて年金を受け取り始めても、個人事業主として商売を続ける方は少なくありません。
そうした方から、当事務所ではよくこんなご質問をいただきます。
「年金をもらいながら個人事業を続けたら、利益が増えると年金を減らされるのでしょうか」
「働きながら年金を受け取ると、在職老齢年金によって年金が止められると聞きました」
「個人事業の利益にも、在職老齢年金の基準があてはまるのでしょうか」
結論からお伝えすると、個人事業主として得た事業所得(売上から必要経費を差し引いた、税金の対象になる利益のことです)は、原則として在職老齢年金の計算には含まれません。
ですので、個人事業の売上や利益が増えたというだけの理由で、老齢厚生年金(会社員として働いた期間に応じて受け取れる年金です)が在職老齢年金の仕組みによって止められることはありません。
ただし、「利益がどれだけ増えても年金にはまったく影響しない」と言い切ってしまうのも、正確ではありません。
個人事業の利益によって年金そのものが直接減ることはなくても、所得税や住民税、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などは、利益の増加にあわせて増えることがあります。
また、個人事業とは別に会社から給与や役員報酬を受け取っている場合や、個人事業を法人化して役員報酬を受け取る場合には、話が変わってきます。
こうしたケースでは、在職老齢年金による年金の支給停止が生じることがあるのです。
この記事では、65歳以降も個人事業を続ける場合に、年金にどのような影響があるのかを、制度のしくみからひとつずつ丁寧に見ていきます。
※この記事は、2026年8月6日現在の制度に基づいて作成しています。
制度の数字は年度によって変わることがありますので、正確な内容は最新の情報を税務署や年金事務所にご確認ください。
結論―個人事業の利益は、在職老齢年金の計算には入らない
個人事業主として得た事業所得は、原則として在職老齢年金の計算には含まれません。
たとえば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取りながら、個人事業を営んでいる方がいるとします。
その方の個人事業の利益が、年間300万円であっても、年間1,000万円であっても、あるいは年間3,000万円であっても、その事業の利益自体は、在職老齢年金の支給停止額を計算するときの「収入」には含まれません。
つまり、個人事業の利益が増えたことだけを理由として、老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みで減額されることはないということです。
ここで気をつけていただきたいのは、この「減額されない」というのは、あくまでも在職老齢年金という制度による支給停止が起きないという意味だという点です。
年金生活者支援給付金(所得の少ない年金受給者に、年金に上乗せして支給される給付金です)の所得要件や、税金、医療保険料、介護保険料などには、影響が及ぶ可能性があります。
この点は、後ほど詳しくご説明します。
「働くと年金が減る」といわれる在職老齢年金とは
在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受け取りながら、厚生年金保険に加入する会社などで働いている方について、給与や賞与と老齢厚生年金の合計額が一定額を超えた場合に、老齢厚生年金の一部または全部を止める制度です。
2026年4月から、この基準となる金額(支給停止基準額)が、月額51万円から月額65万円に引き上げられました。
年金と収入を合わせて65万円までなら、これまでより多くの方が年金を減らされずに働き続けられるようになったということです。
2026年度は、次の2つの金額を合計して判定します。
・老齢厚生年金の基本月額(老齢厚生年金の年間の金額を、12か月で割った金額のことです)
・総報酬月額相当額(毎月のお給料に、賞与を月割りにした分を足した、年金の計算に使う金額のことです)
この合計額が月額65万円以下であれば、在職老齢年金による支給停止は起こりません。
合計額が65万円を超えた場合には、原則として、超えた金額の2分の1が老齢厚生年金から差し引かれます。
式で表すと、次のとおりです。
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2
なお、ここでいう「基本月額」は、原則として、加給年金額(一定の条件を満たす配偶者やお子さんがいる場合に上乗せされる、家族手当のような年金です)を除いた老齢厚生年金の年額を、12で割った金額です。
また、「総報酬月額相当額」は、原則として、その月の標準報酬月額(毎月のお給料をもとに区分された、社会保険料や年金額の計算のもとになる金額です)に、その月以前1年間の標準賞与額の合計額を12で割った金額を足したものです。
つまり、在職老齢年金では、確定申告書に書く事業所得や不動産所得、配当所得などを合計して判定するのではなく、厚生年金保険における給与や賞与を基礎として判定する制度だということです。
また、支給停止の対象になるのは、原則として老齢厚生年金だけです。
老齢基礎年金(国民年金から受け取る年金です)は、在職老齢年金による支給停止の対象にはなりません。
なぜ個人事業の利益は計算対象にならないのか
会社員や会社役員が勤務先から受け取る給与や役員報酬は、厚生年金保険のうえでの「報酬」として扱われます。
この報酬をもとに標準報酬月額が決まり、在職老齢年金の計算にも反映されます。
一方、個人事業主は、自分自身が事業の経営者です。
個人事業の売上から、仕入れ、人件費、地代家賃、減価償却費(高額なものを買ったときに、何年かに分けて少しずつ経費にしていく仕組みです)などの必要経費を差し引いた金額が、税務上の事業所得となります。
しかし、個人事業主が自分自身から給与を受け取っているわけではありません。
日本年金機構は、健康保険および厚生年金保険について、「事業所に使用される者」を被保険者とする制度であり、個人事業所の事業主本人は、通常、この「事業所に使用される者」にあたらないため、被保険者にはならないと説明しています。
言い換えると、個人事業主は厚生年金保険に加入することができず、国民年金だけに加入する立場だということです。
在職老齢年金の総報酬月額相当額は、標準報酬月額と標準賞与額を基礎として計算されます。
個人事業主は、そもそもこの標準報酬月額や標準賞与額を持たない立場ですので、事業所得は、通常、在職老齢年金の総報酬月額相当額には含まれないことになります。
したがって、個人事業の利益が大きくなっても、その利益を理由に老齢厚生年金が在職老齢年金によって止められることはありません。
「売上」と「利益」は別のもの
個人事業の年金への影響を考えるときには、売上と利益をきちんと区別しておく必要があります。
売上とは、お客様や取引先から受け取った収入の総額のことです。
一方、税務上の事業所得は、原則として次のように計算します。
事業所得=総収入金額-必要経費
たとえば、年間の売上が3,000万円あっても、仕入れや人件費、家賃などの必要経費が2,500万円であれば、事業所得は500万円ということになります。
所得税や住民税を計算するときには、売上そのものではなく、必要経費を差し引いたあとの所得が重要になります。
もっとも、在職老齢年金については、個人事業の売上だけでなく、必要経費を差し引いたあとの事業所得も、原則として計算対象にはなりません。
この点は、売上の多い少ないにかかわらず変わりません。
個人事業だけを行っている場合の具体例
65歳以上の方が、次の収入を得ているとします。
・老齢基礎年金と老齢厚生年金:年間200万円
・個人事業の利益:年間1,000万円
・会社からの給与や役員報酬:なし
この場合、個人事業の利益1,000万円は、在職老齢年金の計算には入りません。
ですので、個人事業の利益を理由とする老齢厚生年金の支給停止は起こりません。
老齢基礎年金も、もともと在職老齢年金による支給停止の対象外です。
ただし、事業所得が1,000万円あれば、所得税や住民税が増える可能性があります。
また、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、公的年金等控除額などにも、影響が生じることがあります。
つまり、年金の支給額そのものは変わらなくても、税金や保険料を差し引いたあとの手取り額は変わってくることがあるということです。
年金が減らないからといって、家計全体への影響がゼロというわけではない点は、頭の片隅に置いておいていただければと思います。
別の会社から給与や役員報酬を受け取っている場合
個人事業主であっても、別の会社で従業員や役員として勤務し、給与や役員報酬を受け取っていることがあります。
この場合、個人事業による事業所得は、在職老齢年金の計算対象にはなりません。
しかし、会社から受け取る給与、役員報酬、賞与については、厚生年金保険における標準報酬月額や標準賞与額の対象となり、在職老齢年金の計算に反映される可能性があります。
たとえば、次のような場合を考えてみましょう。
・老齢厚生年金の基本月額:10万円
・総報酬月額相当額:60万円
・個人事業の利益:年間1,000万円
この場合、個人事業の利益1,000万円は計算に入りません。
しかし、老齢厚生年金の基本月額10万円と、会社から受け取る給与等に基づく総報酬月額相当額60万円を合計すると、70万円になります。
2026年度の基準額65万円を、5万円超えることになります。
支給停止額は、次のように計算します。
(10万円+60万円-65万円)÷2=2万5,000円
そのため、老齢厚生年金の基本月額10万円のうち、2万5,000円が支給停止され、支給後の老齢厚生年金は月額7万5,000円となります。
この場合に老齢厚生年金が支給停止される原因は、個人事業の利益ではありません。
会社から受け取っている給与や役員報酬が原因です。
この違いを混同しないことが、とても大切なポイントになります。
個人事業を法人化すると、取扱いが変わる
個人事業のまま商売を続ける場合と、株式会社や合同会社を設立して法人化する場合とでは、在職老齢年金の取扱いが変わる可能性があります。
個人事業主本人の事業所得は、原則として在職老齢年金の計算対象にはなりません。
一方、法人化したあと、その法人から役員報酬を受け取る場合には、その役員報酬が厚生年金保険上の報酬となることがあります。
株式会社などの法人の事業所は、事業主だけの一人会社であっても、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。
ですので、一人会社であっても、代表者が役員報酬を受け取り、厚生年金保険の加入対象となれば、その役員報酬に基づいて標準報酬月額が決まります。
その結果、役員報酬と老齢厚生年金の基本月額との合計額によっては、在職老齢年金による支給停止が生じる可能性があるのです。
整理すると、次のようになります。
個人事業の場合は、事業主本人の利益は事業所得となり、原則として在職老齢年金の計算対象にはなりません。
一方、法人化した場合は、法人から受け取る役員報酬が厚生年金保険上の報酬となり、在職老齢年金の計算対象になる可能性があります。
法人化をご検討されている場合には、所得税や法人税の比較だけでなく、社会保険料や在職老齢年金への影響も含めて判断することが大切です。
「節税になるから」という理由だけで決めてしまうと、思わぬところで年金が減ってしまうこともありますので、総合的に考えていくことをおすすめします。
70歳を超えて働く場合も、注意しておきたいこと
厚生年金保険の被保険者となるのは、原則として70歳までです。
そのため、通常は70歳になると厚生年金保険料の負担はなくなります。
しかし、70歳を超えれば在職老齢年金の対象から完全に外れる、というわけではありません。
70歳以上であっても、厚生年金保険の適用事業所で働き、給与や役員報酬を受け取っている場合には、老齢厚生年金と給与等の金額に応じて、年金の一部または全部が支給停止されることがあります。
一方、70歳以上の方が個人事業主として事業を行っているだけであれば、その事業所得が在職老齢年金の計算対象にならないという基本的な考え方は、70歳を境に変わることはありません。
年金は減らなくても、所得税や住民税は増えることがある
個人事業の利益によって老齢厚生年金が在職老齢年金の対象にならなくても、所得税や住民税への影響がまったくないわけではありません。
公的年金は、税務上、原則として「公的年金等に係る雑所得」(給与所得や事業所得など、ほかの所得の種類にあてはまらない所得のことで、年金もここに含まれます)として扱われます。
個人事業の利益は事業所得です。所得税は、公的年金等に係る雑所得や事業所得などを合計し、所得控除を差し引いたあとの課税所得金額をもとに計算します。
ですので、個人事業の利益が増えれば、所得税や住民税の負担が増える可能性があります。
ここで、次の2つは分けて考えていただく必要があります。
・年金の支給額が在職老齢年金によって減ること
・年金や事業所得に対する所得税・住民税が増えること
個人事業の利益が増えても、在職老齢年金による支給停止は生じません。
しかし、年金と事業所得を合算した課税所得が増えれば、税負担は増える可能性があります。
この2つを一緒くたに考えてしまうと、「年金は減らないと聞いていたのに、手取りが減った」と戸惑われることになりかねませんので、あらかじめ整理しておくと安心です。
事業所得が多いと、公的年金等控除額が縮小することがある
公的年金等に係る雑所得は、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額(年金を受け取る方の税金を計算するときに、年金収入から一定額を差し引ける仕組みのことです)を差し引いて計算します。
この公的年金等控除額は、年齢や年金収入だけでなく、公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額によっても変わります。
所得区分は、次の3段階に分かれています。
・公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下
・1,000万円超2,000万円以下
・2,000万円超
たとえば、65歳以上で公的年金等の収入金額が330万円以下の場合、公的年金等控除額は次のようになります。
・年金以外の合計所得金額が1,000万円以下:110万円
・1,000万円超2,000万円以下:100万円
・2,000万円超:90万円
したがって、個人事業による所得などが大きくなり、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円を超えると、公的年金等控除額が縮小します。
さらに2,000万円を超えると、控除額がもう一段階縮小します。
これは、受け取る年金の支給額自体が減るという意味ではありません。
年金に対する税金を計算するときの公的年金等控除額が少なくなり、その結果、公的年金等に係る雑所得の金額が増えるということです。
年金額そのものと、税金の計算上の所得額は、別のものだとイメージしていただくとわかりやすいかと思います。
事業所得が20万円を超えた場合の確定申告
公的年金を受け取っている方には、一定の要件を満たす場合に、所得税の確定申告をしなくてもよい「年金所得者の確定申告不要制度」があります。
この制度を利用するためには、原則として次の両方を満たす必要があります。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であること
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること
個人事業による事業所得が20万円を超える場合には、この年金所得者の確定申告不要制度を利用することはできません。
ただし、事業所得が20万円を超えたからといって、すべての方について必ず所得税の確定申告義務が生じるとまでは言い切れません。
20万円を超えると、あくまでも「年金所得者の確定申告不要制度」が使えなくなるだけです。
そのあとは、公的年金等に係る雑所得と事業所得などを合算し、基礎控除、社会保険料控除、医療費控除、扶養控除などの所得控除を反映したうえで、通常の基準にしたがって確定申告が必要かどうかを判定することになります。
一般的には、個人事業で一定の利益が生じている場合には、所得税の確定申告が必要になるケースが多いと考えられます。
また、所得税の確定申告が不要な場合であっても、住民税の申告が必要になることがありますので、あわせてご確認いただくと安心です。
国民健康保険料などは、増える可能性がある
65歳以上75歳未満の個人事業主で、勤務先の健康保険に加入しておらず、ご家族の健康保険の被扶養者にも該当しない場合には、原則として国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険料または国民健康保険税の計算方法や料率は、市区町村によって異なります。
所得に応じて計算される部分や、所得基準による軽減制度があるため、個人事業の利益が増えると保険料が増えたり、低所得者向けの軽減を受けられなくなったりすることがあります。
75歳以上になると、原則として後期高齢者医療制度に加入します。
後期高齢者医療保険料には、加入者お一人おひとりが負担する均等割と、所得に応じて負担する所得割があります。
そのため、個人事業の利益が増えれば、後期高齢者医療保険料や、医療機関での窓口負担割合に影響する可能性があります。
介護保険料にも、影響する可能性がある
65歳以上の方は、介護保険の第1号被保険者になります。
65歳以上の介護保険料は、市区町村が定める所得段階に応じて決まります。
2024年度から2026年度については、国が示す標準的な所得段階が9段階から13段階に増やされ、高所得の方の標準的な負担割合が引き上げられています。
具体的な保険料額は、市区町村によって異なります。
したがって、個人事業の利益が増えると、所得段階が上がり、介護保険料が増える可能性があります。
年金生活者支援給付金は、対象外になることがある
所得が一定水準以下の年金受給者には、年金に上乗せして年金生活者支援給付金が支給されることがあります。
老齢年金生活者支援給付金には、ご本人の年金収入金額とそのほかの所得の合計額に関する要件があります。
個人事業による所得も、この「そのほかの所得」に影響します。
そのため、個人事業の利益が増えた場合、老齢基礎年金や老齢厚生年金の支給額は変わらなくても、年金生活者支援給付金が減額されたり、支給対象外になったりする可能性があります。
この点からも、「個人事業でどれだけ利益を上げても、年金関係にはまったく影響がない」と表現するのは、正確ではありません。
より正確には、次のように整理していただくのがよいかと思います。
個人事業の利益が増えても、そのことだけを理由として、老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みによって支給停止されることはありません。
ただし、年金生活者支援給付金や税金、保険料には、影響が及ぶ可能性があるということです。
年金を繰下げ受給する場合の注意点
65歳以降も年金を受け取らず、繰下げ受給(65歳で受け取り始めるはずの年金を、あえて先延ばしにして、あとから多い金額で受け取る制度です)を選択される方もいらっしゃいます。
個人事業を行っていること自体は、繰下げによる年金の増額率に直接影響しません。
一方、会社員や会社役員として給与や役員報酬を受け取り、在職老齢年金による支給停止が生じる場合には、その支給停止部分は繰下げ増額の対象にはなりません。
そのため、個人事業だけを行っている方と、法人から役員報酬を受け取っている方とでは、老齢厚生年金を繰り下げた場合の効果が異なる可能性があります。
繰下げ受給をご検討の際には、この点もあわせて確認しておくと、あとから「思っていたのと違った」ということが起きにくくなります。
65歳以降も個人事業を続ける場合の確認事項
65歳以降も個人事業を続ける場合には、少なくとも次の点を確認しておくと安心です。
個人事業以外に給与を受け取っていないか
別の会社から給与、役員報酬、賞与を受け取っている場合には、その給与等が在職老齢年金の計算対象になる可能性があります。
法人化を予定していないか
法人化して役員報酬を受け取ると、個人事業の利益とは取扱いが変わります。
法人税や所得税だけでなく、社会保険料と在職老齢年金への影響も含めて検討する必要があります。
受け取っている年金の種類は何か
在職老齢年金による支給停止の対象になるのは、原則として老齢厚生年金です。
老齢基礎年金は支給停止の対象になりません。
一方、年金生活者支援給付金などには、別途、所得要件があります。
税金や保険料を含めた手取り額を確認しているか
個人事業の利益によって老齢厚生年金が支給停止されなくても、所得税、住民税、医療保険料、介護保険料などが増えることがあります。
65歳以降の働き方を考える際には、年金の支給額だけでなく、最終的な手取り額で判断することが重要です。
まとめ
65歳以上で年金を受け取りながら個人事業を続けている場合、個人事業の売上や事業所得は、原則として在職老齢年金の計算対象にはなりません。
そのため、個人事業の利益が増えても、そのことだけを理由として老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みによって支給停止されることはありません。
一方、個人事業とは別に会社から給与や役員報酬を受け取っている場合や、個人事業を法人化して役員報酬を受け取る場合には、在職老齢年金による支給停止が生じる可能性があります。
また、個人事業の利益が増えると、次のような影響が生じることがあります。
・所得税や住民税が増える
・公的年金等控除額が縮小する
・国民健康保険料や後期高齢者医療保険料が増える
・介護保険料が増える
・年金生活者支援給付金の対象外になる
・年金所得者の確定申告不要制度を利用できなくなる
したがって、結論は次のように整理できます。
個人事業の利益がどれだけ増えても、その利益自体を理由として、老齢厚生年金が在職老齢年金の仕組みによって支給停止されることはありません。
ただし、会社から給与や役員報酬を受け取る場合は取扱いが異なり、税金や医療保険料、介護保険料、年金生活者支援給付金などには影響が生じる可能性があります。
65歳以降の働き方を考える際には、「年金が減るかどうか」だけでなく、個人事業のまま続ける場合と法人化する場合の違い、税金、社会保険料、最終的な手取り額まで含めて検討することが大切です。
※この記事は作成時点(2026年8月6日)の情報に基づいています。
在職老齢年金の基準額や公的年金等控除額、介護保険料の所得段階などは、年度によって見直されることがあります。
また、実際の適用にあたっては、お一人おひとりの状況に応じた個別の判断が必要です。
正確な金額や取扱いについては、最新の情報を年金事務所・税務署にご確認ください。






