外国人が日本で働くとき、税金はどう決まる?「居住者・非居住者・非永住者」の見分け方

日本に住む外国人の税金は「居住者・非居住者・非永住者」で変わります~分かりやすく解説

外国人の方が日本で働いたり、生活したりする場合、所得税(個人の収入にかかる税金)を考えるうえで、まず確認しておきたいことがあります。
それは、その方が「居住者」「非居住者」「非永住者」のどれに当てはまるのか、という点です。

この区分によって、日本で税金がかかる所得(収入から必要経費などを差し引いたもの)の範囲が変わってきます。

特に、海外にも給与や預金の利息、配当、不動産収入などがある方は、この区分を間違えると、確定申告(1年間の所得と税金を自分で計算して申告する手続き)の範囲まで変わってしまうため、注意が必要です。

外国人従業員や外国人役員を受け入れている会社にとっても、この区分は他人事ではありません。
本人の申告だけでなく、会社側の源泉徴収(お金を支払う側が、あらかじめ税金分を差し引いて国に納める仕組み)にも関わってくるからです。

国税庁の「所得税基本通達2-3」(国税庁が所得税法の取り扱いについて示している公式な解釈指針)では、日本国内に住む方がいつから「居住者」になるのか、また外国籍の居住者がいつまで「非永住者」に当たるのかを整理しています。

この記事では、税金に詳しくない方にも分かるように、このルールを順番にご説明します。
ご自身やご家族、あるいは会社の外国人スタッフに当てはまりそうな部分があれば、ぜひ照らし合わせながらお読みください。

まずは「居住者」か「非居住者」かを判断します

所得税法上の「居住者」とは、原則として、次のいずれかに当てはまる方をいいます。

・日本国内に「住所」(後ほど説明します)がある方
・日本国内に、今日まで引き続き1年以上「居所」(生活の本拠とまではいえないものの、ある程度の期間継続して住んでいる場所)がある方

これ以外の方は「非居住者」となります。

ここで注意していただきたいのが、税法上の「住所」の意味です。
所得税基本通達では、「住所」とはその方の「生活の本拠」であり、生活の本拠に当たるかどうかは、客観的な事実によって判断するとされています。

つまり、次のように単純に決めることはできません。

・「住民票が日本にあるから、それだけで居住者と判断する」
・「外国籍だから、それだけで非居住者と判断する」
・「日本に来てまだ1年たっていないから、それだけで非居住者と判断する」

住民票なども判断材料の一つにはなりますが、税務上は、実際の生活状況を踏まえて総合的に判断することが大切です。

ケース1 入国後1年間、日本に「住所」がない場合

日本へ入国したものの、日本国内に生活の本拠となる「住所」がない状態が続いている場合です。

所得税基本通達2-3では、このような場合、次のように取り扱うこととされています。

・入国後1年を経過する日まで……非居住者
・その翌日以後……居住者

これは、日本国内に「住所」がなくても、「日本国内に引き続き1年以上居所がある方」は居住者となるためです。

なお、この「1年以上」の期間を数えるときは、入国日の翌日が起算日(数え始める日)となります。
実際に何月何日から居住者になるのかを判断するときは、入国日を正確に確認しておく必要があります。

ケース2 入国して1年たつ前に、日本に「住所」ができた場合

こちらは実務上、特に注意していただきたいケースです。

入国した直後には日本に「住所」がなかったとしても、その後、日本が生活の本拠になったと判断される場合があります。
この場合、「入国から1年間は必ず非居住者」という扱いにはなりません。

所得税基本通達2-3では、次のように取り扱うこととされています。

・日本国内に住所を有することとなった日の前日まで……非居住者
・日本国内に住所を有することとなった日以後……居住者

たとえば、当初は数か月だけ日本に滞在する予定だった方が、その後、日本で継続して勤務することになり、住居や家族などの生活の中心も日本へ移した、というような場合です。

このようなケースでは、「まだ入国から1年たっていないから非居住者」と考えるのではなく、実際にいつから日本が生活の本拠となったのかを、丁寧に確認する必要があります。

「住所」があるかどうかは、実際の生活状況から判断します

税務上の「住所」は、生活の本拠であるかどうかを、客観的な事実から判断します。

そのため実務では、たとえば次のような点を確認していくことになります。

・日本での勤務状況
・日本での勤務予定期間
・日本と海外、それぞれの住居の状況
・配偶者や子どもなど、ご家族の居住地
・日本と海外での生活状況
・過去の日本滞在歴

特に、日本と海外を頻繁に行き来している方や、複数の国に生活の拠点がある方については、書類の形式だけで判断せず、実態を確認することが大切です。

居住者になったら、次に「非永住者」かどうかを確認します

居住者に当てはまることが分かったら、外国籍の方については、次に「非永住者」に該当するかどうかを判断します。

所得税法上の「非永住者」とは、居住者のうち、次の両方を満たす方をいいます。

・日本国籍を持っていないこと
・過去10年以内に、日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下であること

ここでいう「非永住者」は、入管法(出入国や在留資格について定めた法律)上の在留資格である「永住者」とは、まったく別の税法上の区分です。ですので、「永住権を持っていないから、税法上も非永住者になる」という意味ではありません。
また、日本国籍をお持ちの方は、所得税法上の「非永住者」には該当しません。

「5年」は、今回の入国から単純に5年ではありません

非永住者の判定で、特に間違いやすいのがこの「5年」の考え方です。

よく、「外国人は日本に来てから5年間は非永住者です」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。

判定するのは、その時点から過去10年以内に、日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下かどうかです。
そのため、今回の入国より前に日本へ住んでいた期間があれば、その期間も過去10年以内に含まれる限り、原則として合算して考えます。

たとえば、以前、日本に3年間住んでいた外国籍の方が海外へ戻り、数年後に再び日本へ来たとします。
この場合、今回の入国からだけ5年を数えるわけではありません。以前の3年間が「過去10年」の中に含まれていれば、その期間も含めて5年判定を行います。

実際に国税庁も、過去に在日外交官として日本に居住していた期間について、非永住者の5年判定に含めるという取り扱いを示しています。

したがって、過去に日本へ留学していた方、以前日本企業に勤務していた方、日本と海外の勤務を繰り返している方などは、今回の入国日だけでなく、過去10年間の日本滞在歴を確認することが重要です。

過去10年は、どこからどこまでを見るのでしょうか

所得税基本通達2-4の2では、「過去10年以内」とは、判定する日の10年前の同日から、判定する日の前日までとされています。

また、日本国内に住所または居所を有していた期間については、暦に従って年・月・日で計算し、複数の期間がある場合はそれぞれを合計します。
その際、日数については30日を1か月、月数については12か月を1年として合計するルールも定められています。

そのため、「ちょうどいつ5年を超えるのか」を判定する場合、単純にカレンダー上の5周年を見るだけでは足りないことがあります。
過去に複数回日本へ住んでいる方は、入出国履歴をもとに個別に計算したほうが安心です。

非永住者でなくなると、所得税の対象範囲が変わります

この区分が重要なのは、日本で課税される所得の範囲が変わるからです。

「非永住者以外の居住者」については、原則として、日本国内で生じた所得だけでなく、国外で生じた所得も含め、すべての所得が日本の所得税の課税対象となります。

一方、非永住者については、課税範囲が異なります。
国税庁の説明によれば、非永住者について日本で課税対象となるのは、原則として次の所得です。

・国外源泉所得(海外で発生した所得)以外の所得
・国外源泉所得のうち、日本国内で支払われたもの
・国外源泉所得のうち、一定の「国外から送金されたもの」

ここは、非常に誤解されやすいところです。
「非永住者なら海外で得た所得はすべて日本で非課税になる」というわけではありません。
海外に給与、利息、配当、不動産所得などがある場合は、それぞれが税法上どこで生じた所得なのか、どこで支払われたのか、国外から国内への送金があるのかなどを、一つひとつ確認する必要があります。

「海外から送金した金額」に、そのまま所得税がかかるわけではありません

もう一つ、よくある誤解があります。
「非永住者が海外の銀行口座から日本へ100万円送金したら、その100万円に所得税がかかるのですか」という疑問です。

結論から言うと、海外から日本へお金を送金したという事実だけで、その送金額そのものが所得になるわけではありません。

非永住者については、その年の国外源泉所得や国外で支払われた所得と、国外から国内への送金額との関係をもとに、どこまでが日本の課税対象になるのかを計算します。国税庁の所得税基本通達7-2、7-3にも、その具体的な計算方法が定められています。

したがって、「海外から送金すると、その送金額に税金がかかる」と単純に考えるのは適切ではありません。
反対に、「自分のお金を自分の海外口座から送っただけだから、税金とはまったく関係ない」と決めつけることも、避けたほうがよいでしょう。

非永住者の方が海外所得をお持ちの場合には、その年の所得と送金状況をあわせて確認することが大切です。

非居住者でも、日本の税金がまったくかからないとは限りません

「非居住者」という名前から、日本では所得税がかからないと思われることがあります。

しかし、非居住者についても、日本国内から生じる一定の「国内源泉所得」については、日本で所得税が課税されることがあります。
たとえば、日本国内で行った勤務に対応する給与などが、これに当たる場合があります。

また、会社側では、非居住者に給与や報酬などを支払う際に、源泉徴収が必要になるケースがあります。
国税庁も、非居住者に対して国内で行う人的役務(労働やサービスの提供)の対価として給与などを支払う場合について、非居住者向けの支払調書(税務署へ提出する、支払った金額などを記載した書類)の取り扱いを案内しています。

外国人従業員や外国人役員がいる会社では、本人の確定申告だけでなく、会社側の源泉徴収についても、あわせて確認しておくと安心です。

非居住者の場合は「租税条約」も確認します

外国人の税務では、日本の所得税法だけを見ればよいとは限りません。

その方の居住地国と日本との間に租税条約(二重に税金がかからないようにするなどの目的で、国同士が結んでいる税金に関する取り決め)が結ばれている場合、日本国内法では課税される所得であっても、租税条約によって税金が軽減されたり、免除されたりすることがあります。

代表的なのが、一定の条件を満たす短期滞在者の給与についての免税です。
日本が締結している多くの租税条約では、一定の滞在期間その他の条件を満たした場合に、勤務を行った国での課税が免除される規定が設けられています。
具体的な要件は、相手国との租税条約によって確認する必要があります。

また、租税条約による軽減や免除を受けるためには、「租税条約に関する届出書」などの手続きが必要になる場合があります。

そのため、「日本に183日以内しかいないから必ず日本では非課税」といった判断も、避けたほうが安全です。183日という日数だけでなく、適用される租税条約や給与の支払者など、複数の条件を確認する必要があります。

実務では「いつ区分が変わったのか」が重要です

居住者・非居住者・非永住者の判定では、単に「今年は居住者です」と判断するだけでは足りないことがあります。
年の途中で、次のようなケースもあるためです。

・非居住者から居住者になった
・非永住者から、非永住者以外の居住者になった

所得税基本通達2-3では、居住者や非永住者の区分が変わる時期を、日単位で示しています。

そのため、外国人従業員や外国人役員を受け入れている会社では、次のような資料をいつでも確認できるようにしておくと安心です。

・パスポートなどで確認できる入出国履歴
・過去10年間の日本滞在歴
・雇用契約書や赴任に関する書類
・日本での住居に関する資料
・ご家族の居住状況
・海外での勤務・居住状況
・海外所得がある場合の収入資料
・海外から日本への送金履歴

特に大切なのが、「以前、日本に住んだことがありますか」という確認です。
今回の入国日だけを確認していると、過去10年以内の以前の日本滞在期間を見落とし、非永住者の5年判定を誤ってしまう可能性があるためです。
早めに確認しておけば、あとから慌てることもなく安心です。

まとめ 「1年」と「5年」だけで機械的に判断しないことが大切です

日本に住む外国人の所得税を考えるときは、まず「居住者か非居住者か」を判断し、そのうえで外国籍の居住者について「非永住者に該当するか」を確認します。

ポイントを整理すると、次のようになります。

・日本国内に生活の本拠となる住所があれば、原則として居住者になります。
・日本国内に住所がなくても、引き続き1年以上居所があれば居住者になります。
・入国後1年以内でも、日本に住所を有することとなれば、その日から居住者となります。
・日本国籍を持たない居住者については、過去10年以内の日本での居住期間を確認します。
・その期間の合計が5年以下であれば、原則として非永住者に該当します。
・「5年」は今回の入国からだけでなく、過去10年以内の日本居住期間を合計して判断します。

そして、税金を計算するときには、次のような単純な思い込みをしないことが重要です。

・「非永住者だから海外所得は全部非課税」
・「海外から送金したら、送金額の全部に税金がかかる」
・「183日以内なら、日本では税金がかからない」

国外所得については、所得の発生場所や支払場所、送金状況などを確認し、非居住者については租税条約の適用もあわせて確認する必要があります。

外国人の居住者・非居住者の判定は、給与計算、源泉徴収、確定申告、海外所得の申告など、さまざまな手続きに直接影響します。
特に、海外と日本の両方に収入や資産がある方、過去に日本へ住んだことがある方、日本と海外を頻繁に行き来している方については、早めに入出国履歴や所得・送金状況を整理しておかれると、いざというときに慌てずに対応できます。

※この記事は、2026年9月3日時点で国税庁に掲載されている所得税基本通達等を確認して作成しています。
国税庁の所得税基本通達は、同日時点で令和8年3月31日付通達までが掲載されています。

※居住者・非居住者の判定は、実際の住居、職業、家族の状況、滞在目的など、個別の事実関係によって結論が変わる場合があります。
また、国外所得の課税や租税条約の適用についても、個別の判断が必要です。正確な取り扱いについては、税務署へご確認ください。