東芝を監査される会計士の方には責任の自覚を!
公認会計士・監査審査会は15日、金融庁長官に対し、新日本有限責任監査法人への行政処分その他の措置を講ずるように勧告したそうです。
この勧告には、以下のような内容で監査体制が十分に機能していなかったとしています。
「重要な会計上の見積りの監査における被監査会社が用いた仮定及び判断について遡及的に検討をしていない」
「被監査会社の行った見積り方法の変更や事業計画の合理性について批判的に検討しておらず」
「重要な勘定において多額の異常値を把握しているにもかかわらず、監査の基準で求められている実証手続が未実施」
「仕訳テストにおいて抽出した仕訳の妥当性が未検討」
「監査チームが不正リスクを識別している工事進行基準に係る収益認識について、監査調書を確認せず、監査チームが経営者の偏向が存在する可能性を検討していないことを見落としている」
以前のブログ(以下の関連記事をご覧ください。)でも記載した通り、私は上場企業の子会社で経理責任者として監査法人の監査を受けてきました。その経験から監査法人が東芝の粉飾問題を見抜けないのはおかしいと思っていました。
12月16日付の日本経済新聞によると「水増しした利益などの虚偽記載を検証しなかった上、会社側の財務担当者の説明をうのみにするケースがみられた」としています。
ただ単純に担当会計士の方が怠慢だったのか、解約リスク(東芝の新日本有限責任監査法人への監査報酬は年間約10億円)を恐れたのか、それとも何か表に出せない理由があったかは分かりませんが、結果として東芝の多くの人が退職という形で犠牲を払うことになりました。
今後、東芝を監査される会計士の方には責任の大きさを自覚してもらい、役目をきちんと果たしてもらいたいと思います。