AIで「調べる」がタダ同然に—中小企業がコンサルなしで前に進める時代

AIで“調べる力”が誰の手にも:コンサル依存から一歩抜け出す

はじめに—「調べること」の値段が下がっている

AIによって「調べること」が誰でもできるようになりつつあります。

これまで中小企業が何かを調べようとすると、「コンサルタントに頼むと数十万円」「自分で調べると時間ばかりかかる」という二択でした。
でも今は、AIを使えばかなりの部分を社内でできるようになっています。

実際、ニュースでは世界の大手コンサル会社で人員削減の動きが報じられています。
背景には「AIで代替できる業務が増えている」ことがあるようです。

ここで大事なのは、「コンサルが不要になる」という話に飛びつくことではありません。
もっと現実的に言うと、コンサルが得意としてきた「調査・整理・たたき台作り」が、安く速く手に入るようになった、ということです。

中小企業にとっては、これはチャンスです。
今までなら「それ、調べるだけで数十万円かかるよね」と諦めていたことが、社内で試しながらできるようになります。

なぜ今、コンサルの仕事に変化が起きているのか

報道によると、米マッキンゼーが間接部門を中心に人員削減に踏み切る動きがあり、アクセンチュアも削減計画を発表しています。
さらにPwCやデロイトもAI教育や人員調整に触れており、業界全体が「仕事の再定義」に向き合っている状況です。

理由の一つとして挙げられているのが、AIの進化で「調査などの作業」が置き換わりつつあること。

ここで、たとえ話をさせてください。

昔は、初めて行く場所に行くのに「地図を買う」「詳しい人に聞く」「タクシーに乗って案内してもらう」のどれかが必要でした。
でも今は、スマホの地図アプリでだいたい行けますよね。
「道を調べる」こと自体の値段が下がったからです。

AIが起こしているのは、これに近い変化です。
市場調査、競合の整理、資料の要約、たたき台の作成—こうした「調べて整える」工程のコストが下がっています。

もちろん、地図アプリがあっても、雪道の運転や渋滞の回避は経験者のほうが上手なことがあります。
同じように、AIが進んでも「最後の判断」「現場への落とし込み」「人を動かすこと」は簡単に置き換わりません。
ここは今後も人の仕事です。

ただし、中小企業の目線で言えば、「高い相談料を払って、まず調べてもらう」という必要が薄くなる。
ここが大きいのです。

事例:従業員10名前後の会社で、どう活かせるか

ここからは、読者の皆さんが「明日から」想像できる形でお話しします。

ポイントは、AIに丸投げではなく、AIを「調査担当の新人」として使うことです。

事例1:町工場(従業員9名)——「値上げの根拠づくり」を社内で回す

たとえば金属加工や部品製造の会社を想像してください。
悩みは「材料費が上がった。でも値上げを言い出しづらい」というもの。

ここでAIを使うと、次のようなことが社内でできるようになります。

まず、取引先の業界ニュースを集めて「業界全体でコストが上がっている」という根拠を整理する。
次に、同業他社の価格改定事例(公開されている情報)を集めて、説明の言い回しを参考にする。
そして、「値上げしない場合に起きそうなこと」を社内向けに1枚にまとめる。

こういった「たたき台」は、これまで外部に頼むと時間もお金もかかりがちでした。
でもAIを使えば、社長と現場リーダーが半日ほどで叩けるかもしれません。

ただし、注意点もあります。AIはそれっぽい文章を作れますが、あなたの会社の原価—材料費、外注費、毎月ほぼ必ず出ていくお金—までは知りません。
最後は必ず、社内の数字と照らし合わせてください。
ここだけ外さなければ、AIは強力な味方になります。

事例2:地域のサービス業(従業員12名)—「採用と育成」を手順書にして離職を減らす

飲食、整骨院、美容室、訪問系サービスなど、人の入れ替わりが起きると現場が崩れる業種を想像してください。

こういった会社でAIを活かすなら、次のような使い方があります。

新人がつまずきやすい質問を10個集めて、AIに「わかりやすい回答文」を作らせる。
接客の基本(言い方、クレーム対応の初動、予約対応)を短い手順にまとめる。
ベテランの頭の中にある「コツ」を聞き取って、箇条書きに落として共有する。

これをやると何が起きるか。
新人が「毎回、人に聞きに行く」回数が減ります。
ベテランが「同じ説明を何度もする」回数も減ります。
結果として、現場のイライラが減り、離職のきっかけを減らせる可能性があります。

ポイントは、AIに「会社のやり方」を覚えさせようとする前に、まず素材を整えること。
一つのルールを一つの短い文にする。
AIは文章の整理が得意なので、素材さえあれば見やすく整えてくれます。

まとめ—「自分で考える速度」を上げることが勝ち筋

報道が示しているのは、AIの普及で「調査・整理・下書き」が速く安くなり、コンサル業界ですら仕事の形を変えざるを得ない、という現実です。

だからこそ、調査の民主化、中小企業の内製化、AIを使わない選択肢はほぼない—という流れになっています。

ただし、勘違いしないほうがいい点もあります。

AIは万能ではありません。
「何を決めたいのか」が曖昧だと、出てくる答えもぼやけます。
逆に言えば、問いが良ければ、少人数の会社でも驚くほど前に進めます。
中小企業は意思決定が速い分、ここで有利に立てるのです。

明日からできること—3つに絞ります

1つ目。 「まず何を決めたいか」を1行で書く。たとえば「値上げの説明文を作りたい」「採用の求人票を直したい」など、できるだけ具体的に。
2つ目。 AIに頼むのは「下書き・整理」までにする。最終判断は社内の数字と現場感で必ず確認する。
3つ目。 社内のよくある質問を10個集めて、文章を短く整える。これが手順書やFAQの種になります。

この3つを回し始めるだけで、「外に頼む前に社内で8割つくる」状態に近づきます。コンサルに払う・払わないの話ではなく、「自社で考える速度」を上げること。
そこが今いちばんの勝ち筋だと思います。