
不動産所得を計算する場合の必要経費
アパートや駐車場をお持ちの大家さんから、「不動産所得って何?」「どこまで経費になるの?」といったご質問をたくさんいただきます。
専門用語が多くて、少しとっつきにくいですよね。
そこで今回は、大家さんのための「不動産所得のキホン」を、できるだけ分かりやすく、かみ砕いてご説明します!
そもそも「不動産所得」ってなあに?
不動産所得とは、一言でいえば「不動産経営による1年間の儲け」のことです。
計算式はとってもシンプルですよ。
不動産所得 = 1年間の総収入 − 必要経費
「総収入」というのは、主に家賃や礼金、更新料など、入居者さんからいただくお金の合計です。
そして、その収入を得るためにかかった費用のことを「必要経費」と呼びます。
この「儲け」の部分に対して、税金がかかってくるわけですね。
これって経費になる?大家さんの「必要経費」リスト
では、具体的にどんなものが「必要経費」として認められるのでしょうか?
大家さんが不動産経営のために支払ったお金は、基本的に経費になります。代表的なものをいくつか見てみましょう。
- 税金や保険料
固定資産税や都市計画税、不動産取得税など
火災保険料や地震保険料など
- 管理や修繕にかかる費用
管理会社に支払う管理委託費
建物の修繕費(雨漏りの修理、壁紙の張り替えなど)
- 減価償却費(げんかしょうきゃくひ)
少し難しい言葉ですが、とても大切な経費です。
建物は年々古くなって価値が下がっていきますよね?
その価値の目減り分を、帳簿上の費用として毎年計上できる仕組みです。
車が年々古くなるのと同じイメージですね。
- 借入金の利子
アパートローンなど、建物を買うために銀行から借りたお金の「利息」の部分です。(※元本の返済額は経費になりませんのでご注意を!)
- その他
入居者募集のための広告宣伝費
税理士への報酬など
知っておくと安心!計算するときの注意点3つ
不動産所得を計算するときに、特にご質問が多い3つのポイントを解説します。
(1) 家族への給料は経費にできる?
「妻が帳簿付けを手伝ってくれているから、給料を経費にしたい」というご相談をよく受けます。
これは、アパート経営が「事業的規模」(目安として、アパートなら10室以上、戸建てなら5棟以上)として認められる場合に限り、家族への給料を経費にすることができます。
お小遣い稼ぎの副業というレベルだと、残念ながら認められないんです。
(2) 入居者に支払う「立退料」の扱いは?
「古いアパートを建て替えるので、入居者に出て行ってもらうために立退料を支払った」というケース。
この立退料は、支払ったその年の必要経費になります。
ただし、もしそのアパートを「売るため」に立ち退いてもらった場合は、経費の種類が変わり、「譲渡費用」という扱いになります。
(3) 古い建物を取り壊したときの損失はどうなる?
古くなったアパートを取り壊した場合、まだ帳簿上に残っていた建物の価値は「損失」として経費にできます。
このとき、扱いが2つに分かれます。
- 事業的規模で経営している大家さんの場合
損失の全額を必要経費にできます。
- それ以外の大家さんの場合
その年の不動産所得の儲けの範囲内でしか、経費にできません。
つまり、不動産所得が赤字になるほどの大きな損失は計上できない、というルールになっています。
いかがでしたでしょうか?
不動産所得の計算は、ポイントさえ押さえれば決して難しくありません。
大切なのは、何にいくら支払ったのかが分かるように、領収書や請求書をきちんと保管しておくことです。