帰省旅費の課税と非課税

帰省旅費

結論から言うと…
残念ながら、今回のケースで社員さんに支給される帰省旅費は「給料」と同じ扱いになり、税金がかかってしまいます。

会社の規程で決まっていることであっても、税金のルールでは「これは給料ですね」と判断されてしまうのです。

なぜ「給料」になってしまうの?

税金の世界には、ざっくり言うと2種類のお金があります。

  • 税金がかからないお金(非課税の旅費など)

これは、「会社のお仕事で使うお金を、社員さんが一時的に立て替えたもの」というイメージです。

例えば、社長に「A社へ出張してきて」と頼まれて、新幹線代を支払ったとします。
この新幹線代は、あくまで仕事のために必要な経費ですよね。
後で会社からその代金を受け取っても、それは社員さん個人の儲けではありません。
だから税金はかからないのです。

  • 税金がかかるお金(給料)

これは、「社員さんの生活のために、会社から支払われるお金」のことです。

基本給や残業代、ボーナスなどがこれにあたります。
個人の収入になるので、税金の対象となります。

さて、今回の「帰省旅費」はどちらに当てはまるでしょうか。
これは、社員さんがご家族に会うための、いわばプライベートな旅行ですよね。
会社の命令で行く出張とは少し目的が異なります。

そのため、税務署からは「会社が社員さんのプライベートな支出を肩代わりしてあげている、つまり『帰省手当』という名前の給料を渡しているのと同じですね」と見なされてしまうのです。

海外で働く社員さんの場合は、ちょっと特別です

ただし、海外の支店で1年以上働く予定の社員さんについては、少し話が変わってきます。

ポイント:「日本に住んでいるかどうか」

税金のルールでは、1年以上海外で暮らす予定の人は「非居住者(ひきょじゅうしゃ)」、つまり「日本に住んでいない人」として扱われます。

日本に住んでいない人の給料は、原則として日本の所得税はかかりません。
(その代わり、住んでいる国で税金を納めることになります。)

今回の帰省旅費も、海外で頑張ってくれている社員さんに対して会社が支払うものですから、「海外での勤務に対する給料の一部」と考えられます。
そのため、会社が日本で税金を天引き(源泉徴収)する必要はありません。

今回のポイントまとめ

  • 国内で働く新入社員さん・単身赴任者さんへの帰省旅費

→残念ながら「給料」と見なされ、税金がかかります。

  • 海外に1年以上勤務する社員さんへの帰省旅費

→日本に住んでいない人への支給なので、日本の所得税はかかりません。
(会社は税金を天引きしなくてOKです)

会社のルールと税金のルールは、必ずしもイコールではない、という点が少しややこしいところですね。