準確定申告の確認書、還付金がある場合の税額欄の書き方
妻と子2人のケースでわかりやすく解説
親御さんが亡くなり、悲しみのなかで相続の手続きに追われているとき、「準確定申告もしなければならない」と知って、途方に暮れる方は少なくありません。
準確定申告は、通常の確定申告とは違う書類が複数登場します。
特に、所得税の還付金(払いすぎた税金が戻ってくること)が発生するケースでは、「確認書の税額欄をどう書けばよいのか」という点で迷う方がとても多いです。
今回は、妻と子2人が相続人というケースを例に、確認書の税額欄の正しい書き方を、順を追ってわかりやすくお伝えします。
まず「準確定申告」とはどんな手続きか
準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)がその年の1月1日から亡くなった日までに得た収入について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。
通常の確定申告は本人が行いますが、亡くなった方は申告ができませんので、相続人が代わりに手続きをします。
申告の期限は、相続の開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から4か月以内です。
還付金が発生する場面としては、たとえば会社員として給与をもらっていた方が年の途中で亡くなった場合や、年間の医療費が多くかかっていた場合などが挙げられます。
こうした場合、源泉徴収(給与や報酬から会社があらかじめ差し引いて税務署に納める仕組み)で払いすぎていた税金が、準確定申告によって戻ってくることがあります。
「確認書」はどんな書類か
相続人が複数いる場合、準確定申告を1人の代表者(相続人代表者)がまとめてe-Tax(インターネットで税務申告を行う仕組み)で提出することができます。
ただし、申告の内容は相続人全員に関わることです。
そのため、他の相続人が「この内容を確認しました」「代表者に提出をお任せします」ということを書面で示す必要があります。
その書面が「準確定申告の確認書」です。
確認書のなかには、相続人ごとに税額欄が設けられています。
ここには、各相続人に対応する税額や還付額を記載します。
よくある誤解:代表者の欄に還付金の全額を書いてしまう
相続人代表者がe-Taxで申告し、還付金も代表者(妻)の口座でまとめて受け取る場合、「妻の欄に還付金の全額を書けばよいのでは?」と思ってしまう方がいます。
これは、準確定申告でよく見られる誤解の一つです。
確認書の税額欄は、「誰の口座に還付金を振り込むか」を書く欄ではありません。
各相続人にそれぞれいくらの還付額があるのかを示す欄です。
還付金をまとめて受け取ることと、確認書の税額欄の書き方は、別の話です。
この点がとても重要です。
還付の場合は「△」を付けて金額を書く
確認書の税額欄に還付額を書くとき、金額の前に「△」を付けます。
これは、通常の「支払う税金」ではなく、「戻ってくるお金(還付)」であることを示すための表記です。
会計・税務の世界では、マイナスやマイナスに相当するお金を表すときに「△」を使う慣習があります。
たとえば、妻に対応する還付額が10万円の場合は「△100,000円」と記載します。
家計簿でいえば、「支払う金額」ではなく「戻ってくる金額」だと分かるように印を付けるイメージです。
妻と子2人の法定相続分とは
確認書の税額欄を書く前に、まず各相続人の相続分を確認しましょう。
法定相続分とは、民法で定められた相続の割合のことです。
妻と子2人が相続人の場合、妻が全体の2分の1、子2人が残りの2分の1を均等に分けますので、子1人あたりは全体の4分の1になります。
還付金が合計20万円のケースで考えると、妻に対応する還付額は10万円(20万円×2分の1)、子1人目に対応する還付額は5万円(20万円×4分の1)、子2人目に対応する還付額は5万円(20万円×4分の1)です。
なお、相続人が遺産分割協議などで法定相続分とは異なる割合で合意している場合は、その割合に基づいて計算することになります。
具体的な計算方法や判断に迷う場合は、税務署に確認することをお勧めします。
確認書の税額欄の書き方(具体例)
妻と子2人が相続人で、還付金が合計20万円、法定相続分に従って分ける場合、確認書の税額欄は次のように記載します。
妻の欄には「△100,000円」、子1人目の欄には「△50,000円」、子2人目の欄には「△50,000円」と記載します。
代表者が妻であっても、妻の欄だけに「△200,000円」と書くのは誤りです。
代表者だからといって、他の相続人の分までまとめて自分の欄に書く必要はありません。
各相続人に対応する還付額を、それぞれの欄に分けて記載することが正しい書き方です。
妻が20万円をまとめて受け取るには
では、妻が代表者として還付金20万円を一括で受け取る場合、そのことはどこで示すのでしょうか。
それは、確認書ではなく「還付金の受領に関する委任状」です。
子1人目と子2人目がそれぞれ「自分の還付金の受け取りを、代表者である妻に任せます」と委任するための書類が委任状です。
委任状を提出したうえで、申告書の第一表(申告書の表紙に当たる書類)の還付口座に妻名義の口座を記載することで、実際に妻の口座に20万円がまとめて振り込まれます。
確認書の税額欄が「各相続人の還付額の割り振り」を示すのに対し、委任状は「その受け取りを代表者に任せる」ことを示します。
役割がそれぞれ異なるのです。
4つの書類の役割を整理する
準確定申告の手続きでは、似たような書類がいくつか登場します。
混乱を防ぐために、それぞれの役割を整理しておきましょう。
「準確定申告書の付表」は、相続人が誰か、各相続人の相続割合や税額を示す書類です。相続人の名簿と金額の一覧表のようなものです。
「準確定申告の確認書」は、各相続人が申告内容を確認し、代表者に提出を任せたことを示す書類です。
「この内容で申告してよいですよ」という相続人全員のサインのようなイメージです。
「還付金の受領に関する委任状」は、各相続人の還付金を代表者がまとめて受け取ることを示す書類です。
「お金の受け取りを代表者に任せます」という同意書です。
「申告書第一表の還付口座」は、実際に還付金を振り込んでもらう口座を記載する欄です。
この4つを混同してしまうと、書類の記載内容が矛盾したり、還付手続きに時間がかかってしまうことがあります。
それぞれの役割をしっかり区別することが、手続きをスムーズに進めるための第一歩です。
e-Taxで提出する場合の注意点
相続人代表者がe-Taxで準確定申告を提出する際は、代表者自身の利用者識別番号(e-Taxを使うためのIDのようなもの)を使います。
亡くなった方の利用者識別番号を使うのではない点に注意してください。
また、他の相続人が申告内容に同意し、代表者に提出を任せていることを示すために、確認書の提出が必要となります。
確認書の税額欄に各相続人の還付額が正しく記載されることで、税務署側も「それぞれの相続人が自分の還付額を把握し、確認している」と判断することができます。
単なる形式的な記載ではなく、各相続人が申告内容をきちんと確認したことを示す大切な欄です。
よくある間違いを3つ確認しておきましょう
準確定申告の確認書に関して、実務でよく見かける間違いをご紹介します。
今から確認しておくだけで、手続きをずっとスムーズに進めることができます。
1つ目の間違いは、代表者の欄に還付金全額を書いてしまうことです。
「代表者が全額を受け取るから、代表者の欄に全額を書く」という発想は自然ですが、確認書の税額欄の役割はそこではありません。
各相続人ごとの還付額を、それぞれの欄に分けて記載します。
2つ目の間違いは、子の欄を空欄にしてしまうことです。
妻が還付金をまとめて受け取るからといって、子に対応する還付額がなくなるわけではありません。
子にも相続分に応じた還付額がありますので、確認書にも記載が必要です。
受け取りを妻に任せることは、委任状で示します。
3つ目の間違いは、確認書だけで還付金の一括受領まで完了すると思ってしまうことです。
確認書はあくまで、申告内容の確認と提出の委託を示す書類です。
還付金を代表者がまとめて受け取る場合は、別途、還付金の受領に関する委任状の提出が必要です。
手続きの全体の流れをまとめると
妻と子2人が相続人で、妻が代表者としてe-Taxで準確定申告を提出し、還付金20万円を妻の口座でまとめて受け取るケースを整理すると、次のような流れになります。
まず、準確定申告書の付表に、各相続人の相続割合と還付額(妻△100,000円、子1人目△50,000円、子2人目△50,000円)を記載します。
次に、準確定申告の確認書にも、同じく各相続人の還付額(妻△100,000円、子1人目△50,000円、子2人目△50,000円)を記載します。
そのうえで、子1人目と子2人目が「自分の還付金の受け取りを妻に任せる」という内容の委任状を提出します。
最後に、申告書第一表の還付口座に妻名義の口座を記載して、e-Taxで送信します。
この一連の流れが書類上つながって初めて、税務署側でスムーズに処理されます。
「確認書で還付額の割り振りを示し、委任状で一括受領を示す」という2段階の整理が、ポイントです。
もし不安なことがあれば、早めにご相談を
準確定申告は、相続という精神的にも大変な時期に、通常の確定申告とは異なる複数の書類を準備しなければなりません。
書類の記載内容が少しずれているだけで、税務署から問い合わせが来たり、還付の処理に時間がかかることもあります。
「確認書の書き方が合っているか確認したい」「委任状はどこから入手すればよいか」「そもそも還付金があるのかどうかわからない」など、どんな小さなことでも、早めにご相談いただくことをお勧めします。早い段階で確認しておくことで、手続きを落ち着いて進めることができます。
なお、この記事は作成時点の情報に基づいています。
実際の適用には個別の状況による判断が必要です。
詳細については、最寄りの税務署にご確認ください。






