養子と代襲相続の二重資格

二重資格の相続

Cさん(お孫さん)が相続する権利は?

「養子として相続するのか、代襲相続するのか」についてですが、結論から申しますと、「両方の立場で相続する」ことになります。

Cさんは、いわば「2つの帽子」を持っているような状態だとイメージしてください。

2つの帽子とは?

1つ目の帽子:「養子」としての権利

まず、Cさんはお父様(亡くなった方)の「養子」になっていますね。
法律では、養子と実の子はまったく同じ権利を持ちます。

  • お父様には、もともと実子として長男Aさんと次男Bさん(あなた)がいました。
  • そこに養子としてCさんが加わりました。

この時点で、お父様の「子」はAさん、Bさん、Cさんの合計3人として数えます。
もし全員が生きていれば、財産は3人で均等に分ける、つまり「3分の1」ずつとなります。

ですから、Cさんはまず「養子」として、3分の1をもらう権利を持っています。

2つ目の帽子:「代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)」としての権利

次に、長男Aさん(Cさんにとっての実のお父さん)は、お父様(Cさんのお祖父さん)より先に亡くなっています。

このように、本来相続するはずだった子(Aさん)が先に亡くなっている場合、その子の子(つまりお孫さんであるCさん)が、「亡くなった親の代わりに相続する」というルールがあります。
これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。

  • Aさんがもらうはずだった権利は、先ほどの計算で「3分の1」でした。
  • Cさんは、Aさんの「代わりの相続人」として、このAさんの3分の1の権利も引き継ぎます。

相続する割合のまとめ

その結果、Cさんの相続する割合は、この2つの権利(帽子)を合計したものになります。

  • Cさん:

「養子」としての権利: 3分の1

「Aさんの代わり」としての権利: 3分の1

合計: 3分の2

  • Bさん(あなた):

「実子」としての権利: 3分の1

このように、Cさんは「養子」としての立場と、「先に亡くなった長男Aさんの代わり」という立場の、両方の権利を併せ持つことになります。

「二重の資格」というのは、まさにこの「2つの帽子を持っている」状態のことを指しています。