年3%台の国債は本当に魅力的?新窓販国債の仕組みと注意点をやさしく解説【2026年10月募集】
「預金だけでは利息が少ないけれど、株式のように値動きが大きい商品を買うのは不安」。
そんな方にとって、国債は一度調べてみたいお金の置き場所かもしれません。
日本の金利が上昇するなか、2026年10月募集の「新窓販国債」では、10年債の応募者利回りが税引前で年3.048%となりました。
年3%という数字に、魅力を感じる方も多いでしょう。
ただし、国債は預金とは違います。
購入時に支払う金額と、満期に戻ってくる金額が一致するとは限りません。
また、途中で売却すると、その時点の市場価格によって損失が出る場合があります。
今回は2026年10月募集の新窓販国債だけを取り上げ、その仕組みと注意点を順番に整理します。
特に10年債については、額面100万円分を購入した場合の利子、税金、購入時の支払額、満期まで保有した場合の収支を具体的に計算してみましょう。
新窓販国債は、国にお金を貸して利子を受け取る商品です
国債は、国が資金を調達するために発行する債券です。
購入した人は、あらかじめ決められた条件で国から利子を受け取り、満期になると額面のお金を返してもらいます。
国が元本と利子の支払いに責任を持つという点は、国債の大きな特徴です。
「新窓販国債」とは、新型窓口販売方式で募集される国債のことです。
銀行や証券会社、郵便局などの金融機関で扱われ、個人だけでなく法人なども購入できます。
新窓販国債には、固定2年、固定5年、固定10年があります。
いずれも固定金利型で、購入後に世の中の金利が変わっても、その国債の表面利率は満期まで変わりません。
利子は原則として半年ごとに支払われ、満期には額面100円につき100円が償還されます。
購入できるのは額面5万円からで、5万円単位です。額面10万円分、50万円分、100万円分といった金額を選べます。
ただし「額面100万円分を買う」と「購入するときに100万円を支払う」は同じ意味ではありません。
この違いは、後ほど具体的な金額で確認します。
また、国債は紙の証券を受け取るのではなく、金融機関の口座に記録されて管理されます。
初めて購入する場合には、国債を管理する口座の開設が必要です。
金融機関によっては、口座管理手数料などがかかる場合があります。
2026年10月募集の2年・5年・10年を比較してみます
2026年10月募集の新窓販国債では、固定2年の表面利率が年2.0%、応募者利回りが年1.923%です。
募集価格は額面100円につき100円14銭で、募集期間は10月5日から28日までとなっています。
固定5年の表面利率は年2.4%、応募者利回りは年2.312%です。
募集価格は額面100円につき100円38銭で、募集期間は10月19日から30日までです。
固定10年の表面利率は年3.1%、応募者利回りは年3.048%です。
募集価格は額面100円につき100円39銭で、募集期間は10月9日から28日までとなっています。
ここで紹介している利率と利回りは、いずれも税引前の数字です。
財務省が示す税引後の応募者利回りは、2年債が年1.517%、5年債が年1.827%、10年債が年2.421%です。
税金が差し引かれることに加え、募集価格が額面と異なるため、表面利率をそのまま実際の収益率と考えることはできません。
最も利回りが高いのは10年債ですが、長く資金を置くことになる分、途中で売却する場合には金利変動の影響を受けやすくなります。
なお、募集期間中であっても、金融機関によって取り扱わない期間や商品があります。
実際に申し込む場合は、財務省の発行条件と販売する金融機関の案内を両方確認しておきましょう。
「表面利率3.1%」と「応募者利回り3.048%」は何が違うのでしょうか
表面利率は、国債の「額面」に対して支払われる利子の割合です。
一方、応募者利回りは、実際の募集価格と満期に戻る額面との差なども考慮した、満期まで保有する場合の収益性を表しています。
10年債の表面利率は年3.1%です。
額面100万円分を保有すれば、1年間の利子は税引前で3万1,000円、半年ごとの利子は1万5,500円です。
この利子は、購入代金がいくらだったかとは関係なく、額面をもとに計算されます。
一方、今回の10年債の募集価格は額面100円につき100円39銭です。
つまり額面100万円分を購入するには、国債そのものの代金として100万3,900円が必要です。
それでも満期に戻るのは額面の100万円です。
購入時に額面より3,900円多く支払う分を考慮するため、応募者利回りは表面利率より低い年3.048%となっています。
金利の数字が大きく見えても、「利率」と「利回り」を区別し、実際の購入価格と、受け取る利子・償還金をあわせて確認することが大切です。
10年債を額面100万円分購入すると、利子は全部でいくらになるのでしょうか
ここからは、2026年10月募集の固定10年債を額面100万円分購入し、満期まで保有する場合を考えます。
この国債の発行日は2026年11月10日、償還日は2036年9月20日です。
「10年債」という名前ですが、今回の募集で発行されてから償還されるまでは約9年10か月で、ちょうど10年間ではありません。
利払いは毎年3月20日と9月20日で、初回が2027年3月20日、最後が2036年9月20日です。
金融機関の休業日に当たる場合、実際の支払いは翌営業日になります。
表面利率は年3.1%なので、額面100万円に対する年間利子は3万1,000円、半年分は1万5,500円です。
利払いは合計20回あるため、1万5,500円を20回受け取ると、税引前の利子総額は31万円になります。
これに満期で返ってくる額面元本100万円を加えると、国債から支払われる税引前の総受取額は131万円です。
ただし、131万円が満期にまとめて入金されるわけではありません。利子を半年ごとに受け取り、最後に額面元本が戻るという流れです。
なお、この131万円は利益ではなく、購入代金を差し引く前の受取総額です。
また、受け取った利子を再投資しない前提で計算しています。
税引後の利子は、半年で1万2,352円になります
税引前の利子は半年ごとに1万5,500円ですが、通常はその全額が振り込まれるわけではありません。
個人が受け取る国債の利子には、原則として所得税等15.315%と住民税5%を合わせた20.315%の税金が源泉徴収されます。
所得税等15.315%を1万5,500円に掛けると2,373.825円で、1円未満を切り捨てると2,373円です。
住民税5%は775円です。
したがって、1回の利払いで差し引かれる税金は合計3,148円、手元に入る金額は1万2,352円となります。
これを20回分合計すると、税引後の利子総額は24万7,040円です。
満期に返ってくる額面元本100万円と合わせると、利子の源泉徴収後の総受取額は124万7,040円となります。
利子の総額31万円に20.315%を一括して掛けるだけでは、1回ごとの源泉徴収の端数処理を正しく反映できません。
実際の手取りは、利払いごとに計算する必要があります。
なお、2027年1月からは所得税額の1%の防衛特別所得税が新設され、同時に復興特別所得税は所得税額の2.1%から1.1%に引き下げられます。
上乗せ部分の合計は2.1%のまま変わらないため、所得税等15.315%、住民税5%という税率は、現在決まっている改正を前提とすれば引き続き同じです。
ただし、2036年までに制度がさらに変わる可能性もあるため、今回の数字は現行税制にもとづく試算です。
購入時に必要な金額には「初回の利子の調整額」も含まれます
額面100万円分の10年債の、募集価格による購入代金は100万3,900円です。
しかし、申し込み時の支払いはこれだけではありません。
新窓販国債では、購入時に「初回の利子の調整額」を支払います。
発行日から初回の利払日までは半年に満たない一方、初回の利払日には半年分の利子が支払われるため、そのずれを調整する仕組みです。
いわゆる経過利子に当たり、国債を買うための手数料ではありません。
今回の10年債では、初回の利払日の半年前に当たる2026年9月20日から発行日までの51日分が調整の対象で、額面100円につき0.4331506円です。
額面100万円分では約4,332円となります。
そのため、募集価格による購入代金100万3,900円と合わせて、最初に支払う金額は約100万8,232円です。
3,900円は額面より高い募集価格による差額、約4,332円は利子の調整額であり、両者は性格が異なります。
初回の利子の調整額は、あとで受け取る最初の半年分の利子と対応しています。
初回の利払日には通常どおり1万5,500円の税引前利子が支払われますが、その一部は購入前の期間に対応するものです。
したがって、初回の入金額をそのまま購入後の利益と考えない方が正確です。
さらに税金の計算では、初回の利子の調整額を、国債の売却や償還の際に取得費に加えることができます。
購入時の取引明細は保管しておきましょう。
満期まで保有した場合、最終的な収支差は約23万8,808円です
購入時に支払う金額は、募集価格による購入代金100万3,900円と、初回の利子の調整額約4,332円を合わせた約100万8,232円です。
一方、税引前の利子は20回で31万円、満期の額面償還金は100万円です。
税引前の総受取額131万円から最初の支払額を差し引くと、税引前の単純な収支差は約30万1,768円になります。
利子の税金を反映すると、半年ごとの税引後利子は1万2,352円で、20回分の合計は24万7,040円です。
これに償還金100万円を加えた総受取額は124万7,040円です。
そこから購入時の支払額約100万8,232円を差し引くと、収支差は約23万8,808円となります。
これが、利子にかかる源泉徴収税だけを反映し、国債を満期まで保有した場合の基本的な試算です。
ただし、これは約10年間にわたる収支の合計であって、毎年23万円を受け取れるという意味ではありません。
また、途中で受け取った利子を運用し直すことによる利益は含めていません。
口座管理手数料が発生する場合には、その分だけ手取りは減ります。
さらに、満期時に生じる償還差損を損益通算できるかどうかによって、最終的な収支は少し変わる可能性があります。
償還差損は、条件を満たせば利子などと損益通算できます
今回の10年債では、満期に戻る元本は100万円ですが、募集価格による購入代金は100万3,900円です。
さらに初回の利子の調整額約4,332円は、税務上の取得費に加算することができます。
そうすると、取得費は合計約100万8,232円です。
満期償還金100万円との差は約8,232円になります。
この差額は、満期まで保有したにもかかわらず生じる「償還差損」です。
利子も含めた運用全体の損失ではなく、税務上の取得費と償還金との差額です。
現行の税制では、国債の償還差損は、上場株式等の譲渡損失として扱われます。
同じ年の上場株式等の譲渡益や、申告分離課税を選択した国債の利子、上場株式等の配当などと損益通算できます。
通算しきれない損失は、確定申告を続けることで翌年以降3年間繰り越すことも可能です。
一方、預金の利息や給与所得などとは相殺できません。
たとえば、約8,232円の償還差損の全額を税率20.315%で通算できると仮定すると、税負担は約1,672円軽くなる計算です。
その場合、先ほどの約23万8,808円という収支差に、その軽減分を加えた約24万480円が、一つの試算になります。
ただし、すべての人が必ず約1,672円の税負担軽減を受けられるわけではありません。
通算できる所得があるか、国債の利子をどの口座で受け取るか、確定申告をするかなどによって結果が変わります。
国債を源泉徴収ありの特定口座で保有し、利子もその口座で受け取っている場合は、口座内で自動的に損益通算されます。
今回の例では、満期の年に受け取る利子だけで3万1,000円あり、償還差損の約8,232円を上回ります。
そのため、確定申告をしなくても、その年の利子から源泉徴収された税金の一部が戻る形で調整される可能性があります。
ただし、取扱いは金融機関や口座の種類によって異なるため、購入前に確認しておきましょう。
2036年までに税率や損益通算の制度が変わる可能性にも注意が必要です。
本記事では、基本の収支差を約23万8,808円とし、条件によって税負担の軽減が生じる場合がある、と整理しておきます。
新窓販国債の最大の注意点は、途中売却による元本割れです
新窓販国債を途中で売る場合、国が額面で買い取ってくれる制度はありません。
銀行や証券会社などを通じて、そのときの市場価格で売却することになります。
発行から1年が経てば、一定の調整額を差し引いたうえで国が額面を基準に買い取ってくれる「個人向け国債」とは、この点が大きく異なります。
市場金利が上がると、すでに発行されている固定金利の国債の価格は、一般に下がりやすくなります。
新しく発行される国債が高い利子を付けるようになると、それ以前の低い利子の国債を同じ価格で買いたい人は少なくなりがちだからです。
反対に市場金利が下がれば、持っている国債の価格が上がる場合があります。
例えば、約100万円で買った国債を急に売却する必要が生じ、そのときの価格が95万円だったら、売却による損失が発生します。
これは将来の相場予測ではなく、説明のための仮定です。受取済みの利子を含めた総合的な損益は、売却の時期や価格によって変わります。
価格変動は、一般に満期までの残り期間が長い国債ほど大きくなります。
同じ幅だけ市場金利が上がった場合、2年債より10年債の方が価格の下落幅は大きくなる傾向があります。
長い期間にわたって利率を固定できることは魅力ですが、その分、途中売却時の価格変動には注意が必要です。
しかも、市場で売却できる仕組みがあることと、希望する日に希望する価格で売れることは同じではありません。
相場の状況によっては、思うような価格で売却できないこともあります。
金利上昇、物価上昇、購入先の違いも確認しておきましょう
新窓販国債は固定金利です。今回の10年債を年3.1%の表面利率で買えば、その後に市場金利が上昇しても、保有中の利率は上がりません。
一方、金利が下がっても約束された利子が続くことは、固定金利の良さといえます。
物価上昇にも目を向けたいところです。
額面の元本が満期に戻るとしても、物価が上がっていれば、同じ100万円で買えるものは少なくなっているかもしれません。
国債の額面が守られることと、お金の購買力が守られることは別です。
また、国債は国の信用に基づく商品であり、国の支払い能力に関するリスクがまったくないわけではありません。
購入先によって条件が異なる点も大切です。
新窓販国債の募集価格は財務省が決めますが、金融機関が市場から仕入れた国債を独自の価格で販売する場合もあります。
窓口で「10年国債」と案内されても、今回の新窓販国債と同じ価格や利回りとは限りません。
購入時には商品名、回号、募集価格、実際の利回り、口座管理手数料を確認してください。
そして、今後さらに金利が上がるかどうかは、誰にも正確にはわかりません。
時期を分けて購入する考え方もありますが、その間に受け取れたはずの利子を逃す可能性があります。
金利の予想を当てることより、自分の生活に無理のない金額を選ぶ方が大切です。
購入するかどうかは、使う時期から考えます
毎月の生活費や、数か月後に支払う税金、突然必要になる医療費などは、すぐに引き出せる預金に置いておく方が安心です。
利回りが高くても、必要な日に元本割れを覚悟して売らなければならないのでは困ります。
一方、当面使う予定がなく、満期まで保有できるお金については、2年債、5年債、10年債を検討する余地があります。
2年後に使う予定があるなら短い期間の商品を中心に考え、10年近く使う必要がないなら10年債も選択肢になります。
ただし、実際の償還日は商品名の年数と完全に一致するとは限りません。
家族の進学や住まいの修繕、自動車の購入、仕事の変化など、10年の間には思いがけない支出もあります。
購入前には「予定どおりにいかなくても、このお金には手を付けずに済むか」を想像してみてください。
まとめ 年3%という数字より、最後まで持てるかが大切です
2026年10月募集の新窓販国債は、2年債の応募者利回りが年1.923%、5年債が年2.312%、10年債が年3.048%です。
10年債を額面100万円分購入した場合、利子と償還金の税引前総受取額は131万円になります。
半年ごとの源泉徴収を反映すると、利子は1回1万2,352円、20回分で24万7,040円です。
満期の額面元本を含む総受取額は124万7,040円で、購入時の支払額約100万8,232円を差し引いた基本的な収支差は約23万8,808円となります。
さらに、償還差損の損益通算によって税負担が軽減される場合もありますが、適用には条件があり、将来の税制も確定していません。
新窓販国債は、満期まで保有できれば、決まった条件で利子を受け取れる商品です。
その一方で、額面より高い価格で買うこともあり、途中売却では元本割れの可能性があります。
高い利回りだけに目を奪われず、購入に必要な金額と満期までの期間、途中でお金が必要になる可能性を確かめておきたいところです。
「このお金はいつ使うのか」を先に考えることが、自分に合った国債を選ぶ第一歩です。






