介護保険の居宅サービス代は医療費控除になる? 領収書を見るときのポイントをわかりやすく解説

介護保険の居宅サービスと医療費控除

「母が自宅で介護を受けていて、介護保険のサービスを利用しています。毎月自己負担がありますが、これは医療費控除の対象になるのでしょうか?」

このご質問はとても多く、確定申告の時期になると迷われる方が少なくありません。

結論からお伝えすると、介護保険の居宅サービスの自己負担額は、一定のものに限って医療費控除の対象になります。
ただし、支払った金額がすべて対象になるわけではなく、「どのサービスを利用しているか」によって、対象になるかどうかが変わります。

「居宅サービス」とは?

まず「居宅サービス」について確認しておきましょう。
これは、要介護・要支援の方が、自宅や有料老人ホームなどの居室で受ける介護保険サービスのことです。
たとえば、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)などがこれにあたります。

居宅サービスは「2つのグループ」に分かれています

医療費控除を考えるうえで、居宅サービスは大きく次の2つのグループに分けて整理するとわかりやすくなります。

グループ①:単独でも医療費控除の対象になるサービス(医療系サービス)

これは、看護や治療・リハビリなど、医療と結びつきの強いサービスです。
ほかのサービスと組み合わせていなくても、それだけで医療費控除の対象になります。

主な例:

・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・通所リハビリテーション(医療機関が行うデイケア)
・短期入所療養介護(医療機関でのショートステイ)

グループ②:グループ①と「組み合わせて利用している場合」に限り対象になるサービス(福祉系サービス)

こちらは、介護や生活支援の色合いが強いサービスです。
グループ①のサービスを同時に利用していることが条件になります。
グループ②のサービスだけを単独で利用している場合は、残念ながら医療費控除の対象にはなりません。

主な例:

・訪問介護(生活援助中心型を除く)
・訪問入浴介護
・通所介護(デイサービス)
・認知症対応型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・短期入所生活介護(ショートステイ)

具体例で確認しましょう

たとえば、「お母様が毎月デイサービス(通所介護)だけを利用している」という場合。
デイサービスはグループ②に属するため、グループ①の医療系サービスを同時に利用していなければ、医療費控除の対象にはなりません。

一方、「デイサービスに加えて、訪問看護(グループ①)も利用している」という場合は、デイサービスの自己負担も医療費控除の対象に含めることができます。

「うちの場合はどちらになるだろう?」と思ったら、まずどのサービスを利用しているかを確認することが出発点です。

なお、対象外になるサービスもあります

グループ②の中でも、訪問介護のうち「生活援助中心型」(調理・洗濯・掃除などの家事が中心のもの)は、グループ①のサービスと組み合わせていても医療費控除の対象外とされています。
また、介護保険の給付対象外となる費用(食費・居住費など)も対象外です。

「介護サービス代だから全部入れてよい」とは考えず、必ず確認するようにしましょう。

実際に何を見ればよいのか?

答えはとてもシンプルです。サービス事業者が発行した領収書を確認する、これだけです。

国税庁は、領収書などに「医療費控除の対象となる金額」を記載するよう取扱いを定めています。
申告するときは利用料の総額ではなく、領収書に明記された「医療費控除の対象となる金額」だけを集計するのが基本です。

たとえば、毎月2万円の自己負担があったとしても、領収書に「医療費控除の対象となる金額:12,000円」と書かれていれば、申告で使えるのはその12,000円です。
領収書にこの金額が記されていれば、ご自身でサービス内容を細かく仕分けする必要はありません。

まとめ:押さえておきたいポイント

利用しているサービスが「グループ①(医療系)」か「グループ②(福祉系)」かを確認する

グループ②のサービスだけの場合、グループ①のサービスを同時に利用していないと対象外になります。

領収書を毎月きちんと保管しておく

申告のときは、領収書に書かれた「医療費控除の対象となる金額」だけを集計する

ご家族の介護にかかる費用は、家計にとって決して小さくありません。
だからこそ、使える制度はきちんと活用したいところです。
「何となく対象になりそう」と感覚で判断するのではなく、利用しているサービスの種類と領収書の記載を基準に確認する。
これが一番確実で、間違いの少ない方法です。

サービスの種類や組み合わせによって判断が変わる場合もありますので、ご不安な点は税務署にご相談ください。