障害者控除対象者認定書が後から交付された場合の更正の請求

障害者控除対象者認定書が後から届いた場合の税務手続|所得税の更正の請求と住民税への影響

理由欄の書き方・認定書の添付・所得税と住民税への影響を税務署の視点から解説

※本記事は、2026年8月21日時点で確認できる国税庁・浜松市の公式情報、および提示された「令和7年分 障害者控除対象者認定書」の記載内容を前提に整理しています。

はじめに

確定申告を終えた後になって、市区町村から「障害者控除対象者認定書」の交付を受け、
「本来は障害者控除を受けられたのではないか」
「すでに確定申告を済ませているが、税金を取り戻すことはできるのか」
「更正の請求書の理由欄には何を書けばよいのか」
「認定書は更正の請求書に添付する必要があるのか」
と疑問を持つことがあります。

今回提示された書類は、浜松市が発行した「令和7年分 障害者控除対象者認定書」です。

書面には、対象者について、所得税法施行令第10条および地方税法施行令の規定に定める「障害者」として認定する趣旨が記載されています。

さらに障害事由を見ると、「知的障害者(軽度・中度)に準ずる」という一般の「障害者」に該当する区分に○が付されています。

したがって、この認定書の対象となっている方については、令和7年分について、原則として税法上の一般障害者に該当することを証明する資料と考えることができます。

所得税における一般障害者の障害者控除額は27万円です。
国税庁も、障害者控除について、一般障害者27万円、特別障害者40万円、一定の同居特別障害者75万円としています。

また、浜松市の市民税・県民税では、一般障害者の控除額は26万円、特別障害者は30万円、同居特別障害者は53万円です。

ただし、ここで重要なのは、「認定書がある=必ず27万円の税金が戻ってくる」という意味ではないことです。

障害者控除は「税額控除」ではなく「所得控除」です。

また、更正の請求をするためには、障害者控除を追加した結果、原則として当初申告よりも所得税額が減る、または還付額が増えるなど、最終的な税額等に異動が生じる必要があります。

以下、順番に整理していきます。

そもそも「更正の請求」とは何か

「更正の請求」とは、いったん提出した確定申告について、
・税額を多く申告していた
・本来受けられる所得控除を入れ忘れていた
・還付される税金が本来より少なかった
などの場合に、納税者から税務署長に対して、正しい税額への訂正を求める手続です。

国税庁は、申告した税額等が実際より多かった場合や、還付金が少なかった場合などを更正の請求の対象としています。

今回のケースを単純化すると、

当初の令和7年分確定申告

障害者控除を適用していなかった

その後、令和7年分について障害者に該当することを示す認定書が交付された

障害者控除27万円を加えると課税所得が減る

所得税額が減少する、または還付額が増える

更正の請求を検討する

という流れになります。

なお、正式な名称は、「更生の請求」ではなく「更正の請求」です。

「更正」は、申告内容や税額を正しいものに改める、という意味です。

障害者控除を入れ忘れた場合、何が間違っていたことになるのか

ここは税務上、言葉を正確に使う必要があります。

障害者控除を27万円入れ忘れていた場合、所得控除額が「過少」になっています。

その結果、課税される所得金額が「過大」となり、さらに、所得税額も「過大」になっていた、という関係になります。

したがって、「障害者控除を入れ忘れたため、所得控除額が過大だった」という表現は逆です。

正しくは、「障害者控除の適用漏れにより所得控除額が過少となり、その結果、課税される所得金額および税額が過大となった」となります。

国税庁も、更正の請求の添付書類の例として、国民年金保険料の記載漏れがあった場合を、社会保険料控除の金額が過少となっていた場合と説明しています。

今回も同じ考え方です。

今回の認定書から確認できること

今回提示された認定書では、重要なポイントがいくつかあります。

「令和7年分」と記載されている

まず非常に重要なのが、認定書の左上に、「令和7年分」と明記されていることです。

今回訂正しようとしている所得税が令和7年分であるなら、その年分について障害者として認定されていることが重要になります。

所得税と住民税の両方を前提とした認定書である

認定書本文には、所得税法施行令だけでなく、地方税法施行令についても記載されています。

したがって、この認定書は所得税だけを対象としたものではなく、住民税における障害者控除についても利用されることを予定した書類と考えられます。

浜松市も、市民税・県民税の障害者控除について、65歳以上で障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受け、「障害者控除対象者認定書」の交付を受けている方を対象者として明示しています。

区分は「一般障害者」と読むのが妥当

今回の認定書では、「障害者」の欄にある、「知的障害者(軽度・中度)に準ずる」に○が付されています。

一方で、
・知的障害者(重度)に準ずる
・身体障害者(1級、2級)に準ずる
・ねたきり高齢者
などの「特別障害者」区分には○が付いていません。

したがって、提示された認定書そのものから判断する限り、一般障害者として取り扱うのが妥当です。

所得税の障害者控除額は27万円です。

浜松市の市民税・県民税では26万円となります。

(注)ここでいう「一般障害者」とは、所得税法上正式に用いられている呼び名ではなく、法令上は単に「障害者」と規定されている区分を、「特別障害者」「同居特別障害者」と区別するために実務上用いられている呼び方です。
国税庁の確定申告書等作成コーナーの入力画面でも、障害者の区分として「一般障害者・特別障害者・同居特別障害者」という表記が実際に使われており、税理士業務でも広く定着した呼称ですので、本記事でもこの呼び方を用いています。

令和8年に発行された認定書を令和7年分に使えるのか

ここは今回のケースで非常に重要なポイントです。

認定書の発行日は令和8年6月29日ですが、認定書自体には、「令和7年分」と明記されています。

したがって、「令和8年に発行された書類だから、令和7年分には使えない」ということにはなりません。

税務上重要なのは、単純な「発行日」ではなく、どの年分について障害者に該当するものとして認定されているのかです。

浜松市の市民税・県民税では、障害者控除の判定について、前年12月31日の現況により判断すると明記されています。

また、浜松市の障害者控除対象者認定制度でも、一定の場合には「年末の状態」について確認することが示されています。

したがって、今回の状況は、「令和8年6月29日に初めて障害者になった」という話ではなく、「令和7年分について障害者控除の対象となる状態であったことを証する認定書が、令和8年6月29日に交付された」と整理するのが適切です。

更正の請求理由を書く場合にも、この点を誤解されない表現にしておくことが重要です。

なお、この整理をより明確にしておくために、今回の認定書の法的な位置づけについても触れておきます。
所得税法施行令第10条第1項第7号は、精神または身体に障害のある65歳以上の方について、その障害の程度が一定の要件に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている場合に、その方を税法上の障害者として扱う旨を定めています。
今回の認定書は、この規定に基づき、浜松市が市町村長等としての権限で「令和7年分」について正式に認定したものです。

これは、たとえば身体障害者手帳の交付を受けた本人が、医師の証明書などをもとに「手帳交付前の年分についても同程度の障害があった」として自ら遡って控除を適用しようとするケースとは、制度上の位置づけが異なります。
後者のような、納税者側の申立てによる遡及適用については、国税庁の質疑応答事例においても、所得税基本通達2-38はその年12月31日の現況に基づいて障害者控除の適用を認める趣旨であり、過去に遡及して適用を認める趣旨ではないとして、認められないとされています。

今回のケースは、納税者側が遡及適用を申し立てているのではなく、市町村長等が法令上の権限に基づいて「令和7年分」について公的に認定した結果を用いるものですので、上記の質疑応答事例とは前提が異なります。
この点は、理由欄や事情の詳細欄に一言加えておくと、税務署からの問い合わせがあった場合の説明がより明確になります。

更正の請求ができるための重要な条件

障害者控除27万円を追加できることと、更正の請求が成立することは、厳密には同じではありません。

国税庁は、所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または純損失の金額に異動がない場合には、更正の請求はできないと明記しています。

例えば、もともと令和7年分の所得税額が0円であり、障害者控除27万円を追加しても所得税額が0円のままで、還付額にも変化がない場合には、所得税について更正の請求が成立しないことがあります。

したがって、最初に確認すべきなのは、「障害者控除27万円を追加すると、令和7年分所得税及び復興特別所得税の金額が実際に変わるか」です。

当初申告で障害者控除をすでに使っていないか確認する

当然ですが、当初の確定申告ですでに障害者控除が入っている場合には、もう一度控除することはできません。

したがって、更正の請求を行う前に、令和7年分の確定申告書の控えまたはe-Taxの申告データを確認します。

一般障害者1人について、当初申告で控除していなかったのであれば、基本的なイメージは、

更正前の障害者控除:0円

更正後の障害者控除:270,000円

となります。

ただし、他にも障害者控除の対象者がいる場合や、すでに別の方について障害者控除を計上している場合には、合計額で確認する必要があります。

認定された本人以外が障害者控除を受ける場合には別の要件もある

ここも重要な注意点です。

「障害者控除対象者認定書」は、その対象者本人が税法上の障害者に該当することを証明するものです。

しかし、誰が障害者控除を受けられるかは別問題です。

国税庁によれば、障害者控除は、
・納税者本人が障害者である場合
・同一生計配偶者が障害者である場合
・扶養親族が障害者である場合
などに適用されます。

したがって、認定対象者本人が自分自身の確定申告で障害者控除を受ける場合は比較的単純ですが、子や配偶者など別の納税者が控除を受けようとする場合には、同一生計配偶者や扶養親族等としての要件を満たしているかも確認する必要があります。

認定書だけで、すべての扶養関係まで証明されるわけではありません。

「更正の請求をする理由」には何を書けばよいか

税務署として重要なのは、長い説明ではありません。

次の4点が分かれば十分です。

・当初申告で何が漏れていたのか
・その結果、どの金額が誤っていたのか
・なぜ今回訂正できることが分かったのか
・どの控除を追加するのか

今回であれば、

障害者控除の適用漏れ

所得控除額が過少

課税所得・税額が過大

浜松市の令和7年分認定書により障害者該当性を確認

障害者控除27万円を追加

という流れにすると明確です。

更正の請求理由としておすすめする記載例

今回の状況であれば、次の文言が最も分かりやすいでしょう。

標準的な記載例

「令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告において、障害者控除の適用が漏れていたため、所得控除額が過少となり、その結果、課税される所得金額及び税額が過大となっていました。浜松市から令和7年分の障害者控除対象者認定書の交付を受け、所得税法施行令第10条に定める障害者に該当することが確認されたため、障害者控除27万円を適用して更正の請求をするものです。」

この書き方であれば、税務署の担当者が読んだ際にも、
・「なぜ更正するのか」
・「どの控除が追加されるのか」
・「その根拠は何か」
が一度で分かります。

理由欄が小さい場合の短縮版

書面の記入欄が小さい場合は、無理に長文を書く必要はありません。

例えば、「令和7年分の確定申告において障害者控除の適用が漏れていたため。浜松市から令和7年分障害者控除対象者認定書の交付を受けたため、障害者控除27万円を追加して更正の請求をします。」でも趣旨は伝わります。

さらに短くするなら、「令和7年分の確定申告において、障害者控除27万円の適用が漏れていたため。」でも構いません。

詳細欄が別にある場合には、そちらに認定書の交付事情を記載するとよいでしょう。

「理由」と「事情の詳細」が分かれている場合

様式上、「更正の請求をする理由」と、「請求をするに至った事情の詳細その他参考となる事項」などが分かれている場合には、次のように整理すると非常に分かりやすくなります。

更正の請求をする理由

「令和7年分の確定申告において、障害者控除の適用が漏れていたため。」

事情の詳細

「浜松市から令和7年分の障害者控除対象者認定書の交付を受け、所得税法施行令第10条に定める障害者に該当することが確認されました。当初の令和7年分所得税及び復興特別所得税の確定申告では障害者控除を適用していなかったため、一般障害者に係る障害者控除27万円を追加し、更正の請求をするものです。なお、本認定書は、所得税法施行令第10条第1項第7号に基づき市町村長等が発行するものであり、納税者本人による遡及適用の申立てではなく、浜松市が令和7年分として公的に認定したものです。」

こちらの方が実際の様式には書きやすいことがあります。

認定書は更正の請求書に添付すべきか

結論として、添付すべきです。

ここは単なる「おすすめ」というより、更正の請求制度そのもののルールから考える必要があります。

国税庁は所得税の更正の請求について、「請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を添付してください」と明記しています。

今回、更正の請求理由の基礎となる事実は、「令和7年分について障害者控除の対象となる障害者に該当していた」ということです。

そして、その事実を直接裏付ける公的書類が、浜松市発行の「令和7年分 障害者控除対象者認定書」です。

したがって、この認定書は、更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類として添付するという位置づけになります。

税務署から見ても、この書類が添付されていれば請求理由と証拠資料が直接対応します。

「添付した書類」の欄には何と書けばよいか

更正の請求書に添付書類名を記載する欄がある場合は、「令和7年分 障害者控除対象者認定書(浜松市発行)」とすれば十分です。

枚数まで記載するのであれば、「浜松市発行 令和7年分 障害者控除対象者認定書 1通」としてもよいでしょう。

大切なのは、更正理由と添付資料が対応していることです。

認定書は原本かコピーか

ここは一律に断定しない方が安全です。

国税庁の更正の請求手続では、「請求理由の基礎となる事実を証明する書類を添付する」ことは明示されていますが、今回の障害者控除対象者認定書について、あらゆる提出方法で必ず原本を提出しなければならないという一般的な説明までは示されていません。

したがって、実務上は、
・書面提出か
・e-Tax提出か
・税務署がどの提出方法を案内しているか
を確認するのが確実です。

原本を不用意に手放さず、手元には少なくとも写しを残しておくことをおすすめします。

税務署から原本の提示・提出等を求められた場合には、その指示に従えばよいでしょう。

更正の請求書だけ提出すれば終わりではない

更正の請求書が提出されたからといって、その場で自動的に還付が確定するわけではありません。

国税庁は、更正の請求が提出されると、請求に係る税額等について調査し、請求が適正であるか等を審査するとしています。

税務署側では今回なら、主に次の事項を確認します。

・令和7年分についての認定書か
・認定対象者と障害者控除の対象者が一致しているか
・一般障害者か特別障害者か
・当初申告で障害者控除を適用済みではないか
・納税者本人の控除なのか、配偶者・扶養親族についての控除なのか
・27万円を追加した計算が正しいか
・実際に所得税額または還付額が変わるか
などです。

資料が整っていれば、今回のような控除漏れは理由を説明しやすい類型です。

所得税はいくら戻るのか

障害者控除27万円は、

27万円がそのまま還付される制度ではありません。

27万円は「所得控除」です。

例えば、障害者控除適用前の課税所得が200万円であれば、単純化すると、200万円 − 27万円 = 173万円という形で課税所得が減ります。

その27万円部分に対応する所得税が減税されます。

例えば、その部分に5%の税率が適用されるケースなら、

270,000円 × 5% = 13,500円

が所得税本体の減少額の一つの目安になります。

10%なら、

270,000円 × 10% = 27,000円

が一つの目安です。

ただし、所得税は超過累進税率ですので、単純に「現在の最高税率×27万円」で常に計算できるわけではありません。

さらに復興特別所得税も連動して変わります。

したがって、正確な還付額は、令和7年分確定申告書全体を再計算して求める必要があります。

住民税はいくら変わるのか

浜松市の一般障害者控除は26万円です。

こちらも、26万円の住民税が返ってくるという意味ではありません。

26万円だけ住民税の所得控除が増える、ということです。

その結果として、市民税・県民税の所得割額が減ることになります。

所得税と住民税では控除額が違うため、

所得税:27万円

住民税:26万円

という違いがあります。

「令和7年分所得税」と「令和8年度住民税」の関係

ここは名称が違うため、非常に混乱しやすいところです。

令和7年1月1日から12月31日までの所得について、所得税では、令和7年分所得税と呼びます。

一方、その令和7年中の所得を基礎として翌年度に課税される個人住民税は、令和8年度市民税・県民税です。

浜松市の令和8年度市民税・県民税の案内でも、令和7年中の所得を基礎として申告する仕組みが示されています。

したがって、市役所に問い合わせる場合には、「令和7年分所得に係る令和8年度市民税・県民税について、障害者控除を追加した場合の訂正について確認したい」と伝えると、担当者にも伝わりやすくなります。

所得税の更正の請求をすれば住民税にも自動的に反映されるのか

所得税の確定申告書を提出した場合、その申告データは税務署から地方公共団体へ送信されます。

国税庁も、所得税等の確定申告書を提出した場合、その確定申告書等が地方公共団体へデータ送信されるため、原則として改めて住民税の申告書を提出する必要はないと説明しています。

したがって、所得税の更正内容も税務行政上、地方公共団体側の課税資料に反映されることが通常想定されます。

ただし、「更正の請求を出したその日に必ず住民税も自動訂正される」とまでは考えない方がよいでしょう。

税務署での審査、減額更正、市へのデータ連携、市側での税額変更処理などには時間差が生じることがあります。

特に、すでに令和8年度住民税の納税通知書が届いている場合は、浜松市の市民税担当部署にも確認しておくのが確実です。

要介護認定と障害者控除は同じものではない

高齢者の障害者控除で特に誤解されやすいのが、「要介護認定を受けていれば、自動的に障害者控除が使える」という考え方です。

これは正確ではありません。

介護保険制度上の要介護認定と、所得税法・地方税法上の障害者控除は別の制度です。

浜松市では、一定の65歳以上の人について、浜松市の障害者控除認定基準に該当する場合に障害者控除対象者認定書を交付する制度を設けています。
対象者としては、65歳以上で介護保険の要介護認定を受けている人などが挙げられていますが、さらに浜松市の認定基準への該当が必要です。

したがって、「要介護だから障害者控除」ではなく、「市町村長等から税法上の障害者に準ずるものとして認定を受けたので障害者控除」という説明が適切です。

今回のケースでは、そのための認定書が実際に交付されています。

更正の請求には期限がある

更正の請求はいつまでもできるわけではありません。

国税庁によれば、通常の計算誤り等による更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。

令和7年分について今回手続するのであれば、2026年8月時点では通常、この5年の期間内です。

したがって、「かなり前の申告だからもう無理ではないか」と心配する時期ではありません。

今回の認定書は「後発的理由」の2か月期限に当たるのか

更正の請求には、原則5年という期限とは別に、一定の「後発的理由」が生じた場合には、その事実が生じた日の翌日から2か月以内という特則があります。

ただし国税庁がいう後発的理由とは、例えば、申告時に計算の基礎とした事実がその後の判決等により異なることが確定した場合など、法律上限定された事情です。

今回のように、もともと令和7年分について適用できた障害者控除を当初申告で適用していなかったという整理であれば、通常は単純な控除漏れとして、原則5年以内の更正の請求を検討することになります。

認定書の交付日から2か月以内でなければ一切請求できない、と考える必要は通常ありません。

提出前にそろえて確認したい資料

実際に更正の請求を進める際には、少なくとも次の資料を確認するとよいでしょう。

・令和7年分の当初確定申告書の控え
・令和7年分の障害者控除対象者認定書
・令和7年分の源泉徴収票等
・当初申告時に使用したその他の資料
・更正の請求書
・還付金受取口座の情報
・書面提出の場合に必要となる本人確認関係資料

国税庁は、書面でマイナンバーを記載した申請書等を提出する場合、本人確認書類の提示または写しの添付を求めています。
一方、e-Taxの場合には本人確認書類の提示・添付は不要としています。

税務署から見て今回の請求で最も重要な4点

税務署の審査担当者という視点で整理すると、今回の更正の請求で核心になるのは次の4点です。

本当に令和7年分の認定か

→ 認定書に「令和7年分」と明記されています。

一般障害者か特別障害者か

→ 提示された認定書では一般の「障害者」区分に○が付いているため、所得税27万円の区分と読むのが妥当です。

当初申告で控除していないか

→ 当初申告書を確認します。

27万円を追加すると税額等が実際に変わるか

→ 変わる場合には更正の請求の対象となり得ます。
変わらない場合は、所得税について更正の請求ができないことがあります。

この4点がそろえば、請求の内容はかなり明確になります。

税務署に提出する際のおすすめの完成形

今回のケースで、更正の請求書の「理由」欄にある程度スペースがあるなら、次の文章をそのまま使用して差し支えないでしょう。

「令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告において、障害者控除の適用が漏れていたため、所得控除額が過少となり、その結果、課税される所得金額及び税額が過大となっていました。浜松市から令和7年分の障害者控除対象者認定書の交付を受け、所得税法施行令第10条に定める障害者に該当することが確認されたため、一般障害者に係る障害者控除27万円を適用して更正の請求をするものです。なお、本認定書は所得税法施行令第10条第1項第7号に基づき浜松市が市町村長等としての権限で令和7年分について公的に認定したものであり、納税者本人による遡及適用の申立てによるものではありません。」

そして、添付書類の欄には、「浜松市発行 令和7年分 障害者控除対象者認定書 1通」と記載します。

これで、

請求理由

法律上の障害者該当性

控除額

証拠書類

が一つにつながります。

「認定書が令和8年発行」という点を理由欄でわざわざ説明する必要はあるか

通常は、必ずしも書く必要はありません。

認定書に「令和7年分」と明記されている以上、税務署の担当者はその年分を確認できます。

したがって、理由欄で、「令和8年6月29日に認定書が発行されたが……」と長々と説明する必要は通常ありません。

もし税務署から、「この認定書は翌年発行ですが、どの年分についてのものですか」と確認された場合には、「書面記載のとおり令和7年分についての認定書です。所得税法施行令第10条第1項第7号に基づき、市町村長等である浜松市が正式に認定した年分です」と説明すれば足ります。

今回のケースで避けたい書き方

例えば、次のような表現は避けた方がよいでしょう。

「令和8年6月に障害者として認定されたため、令和7年分に遡って控除します。」

この書き方では、「令和8年に初めて障害者となったのではないか」という誤解を招く可能性があります。

また、「所得控除額が過大だったため」という表現も誤りです。

今回正しいのは、「所得控除額が過少で、その結果、課税所得・税額が過大だった」です。

税務書類では、こうした「過少」「過大」の使い分けが意外に重要です。

今回のケースの結論

提示された認定書の内容を前提にすると、令和7年分について、一般の障害者として認定されていると読むのが妥当です。

したがって、当初の令和7年分確定申告でこの障害者控除を適用しておらず、かつ、障害者控除を追加することによって所得税額が減少する、または還付額が増加するのであれば、

所得税及び復興特別所得税について「更正の請求」を行うことが考えられます。

所得税の一般障害者控除額は、

27万円

です。

浜松市の市民税・県民税の一般障害者控除額は、

26万円

です。

また、今回の「令和7年分 障害者控除対象者認定書」は、更正の請求理由である障害者該当性を直接証明する資料ですから、更正の請求理由の基礎となる事実を証明する書類として添付するという取扱いが適切です。

最終的に使う記載文

最後に、実務上そのまま使用しやすい形をまとめます。

更正の請求をする理由

「令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告において、障害者控除の適用が漏れていたため、所得控除額が過少となり、その結果、課税される所得金額及び税額が過大となっていました。浜松市から令和7年分の障害者控除対象者認定書の交付を受け、所得税法施行令第10条に定める障害者に該当することが確認されたため、一般障害者に係る障害者控除27万円を適用して更正の請求をするものです。なお、本認定書は所得税法施行令第10条第1項第7号に基づき浜松市が市町村長等としての権限で令和7年分について公的に認定したものであり、納税者本人による遡及適用の申立てによるものではありません。」

添付書類

「浜松市発行 令和7年分 障害者控除対象者認定書 1通」

税務上の整理

所得税
一般障害者の所得控除額:27万円

市民税・県民税
一般障害者の所得控除額:26万円

所得税の年分
令和7年分所得税及び復興特別所得税

対応する住民税
令和8年度市民税・県民税

まとめ

今回のポイントは、「認定書を取得したから新しく障害者になった」のではなく、令和7年分について障害者控除の対象となることを示す認定書が後から交付されたという点です。

当初の令和7年分確定申告で障害者控除を適用していなかったのであれば、所得控除額が過少となっていたことになります。

その結果として所得税額が過大、または還付額が過少となっているのであれば、更正の請求によって正しい税額への訂正を求めることができます。

更正の請求では、その理由の基礎となる事実を証明する書類の添付が必要です。今回であれば、浜松市の「令和7年分 障害者控除対象者認定書」がその中心的な資料になります。

税務署から見ても、

「当初申告では障害者控除が漏れていた」
→「令和7年分の認定書がある」
→「一般障害者なので27万円を追加する」
→「所得税額または還付額が訂正される」

という一連の関係が確認できれば、請求内容を理解しやすい形になります。

したがって、今回の更正の請求では、認定書を証拠資料として添付し、理由欄には「所得控除額が過少となり、その結果、課税所得および税額が過大となっていた」と正確に記載することが重要です。
あわせて、認定書が所得税法施行令第10条第1項第7号に基づく市町村長等の公的な認定であり、納税者本人による遡及適用の申立てではないことを事情の詳細欄などで一言添えておくと、税務署からの問い合わせに対してもより明確に説明できます。