「なぜ円安が続くの?」—金利のしくみを友だちへの貸し借りでたとえてみた

日銀の利上げ可能性

30秒でわかる要約

何が起きた?

世界では物価が高い状態が続いていて、金利を上げる国が増えています。
日本も先日、金利を少し上げました。

なぜ大事?

日本だけ金利が低いままだと、円安が進みやすくなります。
円安が続くと、食べ物やガソリンなど外国から買うものの値段が上がります。

生活にどう関係する?

スーパーの値段やガソリン代、電気代がじわじわ上がる可能性があります。
今のうちに家計の変化をチェックしておくと安心です。

まず結論から—「世界が動くと、日本も動かざるを得ない」

一言でいうと、こういう話です。
「世界の国々が金利を上げ続けると、日銀(日本銀行)も何もしないではいられなくなる」

日銀というのは、日本のお金のルールを決めている銀行のことです。
私たちが使うお札を発行したり、金利を決めたりしています。

最近、この日銀が「金利を上げるかどうか」で悩んでいます。
なぜかというと、世界中で金利が上がっているからです。
日本だけが低いままだと、いろいろな問題が起きやすくなるんですね。

今日はこの話を、ニュースを普段見ない方にも「なるほど」と思っていただけるように、やさしく説明していきます。

何が起きた?—世界で「金利上げ」の動きが広がっている

まず、今ニュースで何が起きているのか、ポイントを3つだけ押さえましょう。

アメリカやヨーロッパで、金利が下がらない

少し前まで「そろそろ金利を下げるかも」と言われていました。
でも最近は「まだ下げられない」「むしろ上げるかも」という空気に変わってきています。

日銀も、久しぶりに金利を上げた

日本はずっと金利がほぼゼロでした。
でも先日、少しだけ金利を上げました。
これは大きなニュースでした。

それでも日本の金利は、世界と比べるとまだ低い

日本が少し上げても、アメリカやヨーロッパと比べると、まだまだ低い状態です。
この「差」が問題になっています。

そもそも「金利」って何?—お金を借りるときの”手数料”

ここで「金利」という言葉を確認しておきましょう。
金利とは、お金を借りるときに上乗せで払う料金のことです。

たとえば、100万円を借りて、1年後に「101万円にして返してね」と言われたら、その1万円が金利です。

・金利が高い → 借りるときの負担が大きい
・金利が低い → 借りるときの負担が軽い

これだけ覚えておけば大丈夫です。

なぜ世界は金利を上げるの?—物価が高いから

では、なぜ世界の国々は金利を上げているのでしょうか。
理由はシンプルで、物価(モノの値段)が高いからです。

物価が高いとき、金利を上げると何が起きるかというと、みんながお金を借りにくくなります。
お金を借りにくくなると、買い物や投資が減ります。買い物が減ると、お店も値段を下げざるを得なくなります。

つまり、金利を上げることで、物価の上昇にブレーキをかけようとしているのです。

【たとえ話①】友だちからお金を借りるなら、どっちがいい?

ちょっと想像してみてください。あなたがお金を借りたいとします。

・Aくん:「利息なしでいいよ。いつでも返して」
・Bくん:「1週間で1割ね。1万円借りたら1万1000円で返してね」

どちらから借りますか?
……ほとんどの人が「Aくん」を選びますよね。

今の世界では、こういう状況になっています。

・日本円 = Aくん(利息がほとんどない)
・ドルやユーロ = Bくん(利息が高い)

だから世界中の投資家は、「日本円で借りて、利息の高い国で運用しよう」と考えます。
これが円安につながる理由なのですが、詳しくはこの後で説明しますね。

「金利差」があると、なぜ円安になるの?

ここが少しややこしいところです。
でも大事なので、ゆっくり説明します。

「日本に投資するお金が増えたら、円が買われて円高になるんじゃないの?」
そう思った方、正しいです。ふつうはそうなります。

でも、今起きているのは少し違う動きです。
今、世界のお金持ちや投資家がやっていること

1.金利が安い日本円を借りる(利息がほとんどかからない)
2.借りた円を売って、ドルなどに両替する
3.金利が高いアメリカなどで運用する(利息をたくさんもらえる)

この場合、円は「日本で使うため」ではなく、「借りるための道具」として使われています。

借りた円は売られるので、円がどんどん売られて、円安が進むという流れになります。

生活への影響—円安になると何が変わる?

では、円安が進むと私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

【注意点】外国から買うものが高くなる

日本は食べ物やエネルギーの多くを外国から買っています。
円安になると、同じものを買うのに、より多くの円が必要になります。

具体的には、こんな影響が出やすいです。
・ガソリン代 → 石油は外国から買っているので、円安だと高くなりやすい
・食料品 → 小麦、大豆、肉など輸入品の値段が上がりやすい
・電気代 → 発電に使う燃料(天然ガスなど)が高くなると、電気代も上がる

【たとえ話②】海外のゲームで課金するとき

スマホゲームで、海外のアイテムを買うことを想像してみてください。

・1ドル=100円のとき → 1ドルのアイテムが100円で買える
・1ドル=160円のとき → 同じアイテムが160円になる

同じものなのに、円安だと60円も高くなってしまいます。
これと同じことが、ガソリンや食べ物でも起きているわけです。

【良い面】円安にもメリットはある

一方で、円安には良い面もあります。

・海外に売る会社は儲かりやすい → トヨタのような輸出企業は、円安だと利益が増えやすい
・外国人観光客が増える → 日本が「お得な旅行先」になるので、観光業が潤う

だから、円安が「悪いこと」とは限りません。
ただ、私たちの日常の買い物という点では、負担が増えやすいのは事実です。

家計で考えると、こうなる

ここで、もう少し具体的に家計への影響を見てみましょう。

円安が続くと起きやすいこと
・スーパーの値段がじわじわ上がる(特に輸入食品、油、小麦製品)
・ガソリン代が下がりにくい
・電気代・ガス代が高止まりしやすい

これは「急にドカンと上がる」というより、「じわじわと上がっていく」イメージです。
だから気づきにくいのですが、1年前と比べると「あれ、けっこう高くなってる?」と感じることがあります。

落ち着いて見るポイント

ただ、必要以上に不安になることはありません。

・円安は永遠に続くわけではない
・日銀も金利を上げることで対応しようとしている
・政府も電気代やガソリン代の補助を出すことがある

「今すぐ生活が大変になる!」というより、「少しずつ変化しているから、意識しておこう」くらいの気持ちで大丈夫です。

日銀はこれからどうする?

さて、話を日銀に戻しましょう。

世界が金利を上げ続けると、日本との金利差が広がります。
金利差が広がると、円安が進みやすくなります。
円安が進むと、物価が上がりやすくなります。

だから日銀は、「世界が利上げを続けるなら、日本も追加で利上げを考えないといけないかも」という状況にあります。

ただし、金利を上げすぎると、住宅ローンの返済が大変になったり、会社がお金を借りにくくなったりします。
だから日銀も慎重に判断しています。

今後のニュースで「日銀が追加利上げを検討」という話が出てきたら、「ああ、あの話か」と思い出してみてください。

まとめ—大事なポイント3つ

・世界では、物価が高い状態が続いていて、金利を上げる国が増えている
・日本だけ金利が低いままだと、円安が進みやすく、輸入品の値段が上がりやすい
・だから日銀も、追加の利上げを考えざるを得ない状況にある

今日からできる一歩

所要時間:10分
「金利とか円安とか言われても、自分の生活に関係あるの?」と思うかもしれません。
でも、意外と身近なところに影響は出ています。

今日は、こんなことを試してみてください。

ステップ1(3分)
電気代やガス代の明細を見てみる。
紙の明細がなければ、電力会社のアプリやウェブサイトで確認できます。

ステップ2(3分)
去年の同じ月と比べて、金額が上がっているかチェックする。
「使用量」ではなく「金額」を見るのがポイントです。

ステップ3(4分)
「これって円安の影響かもしれないな」と意識してみる。
ニュースを追わなくても、自分のお財布から世界のお金の動きを感じることができます。
これだけで、「なんとなく値上がりしてる気がする」が「こういう理由かも」に変わります。
お金の流れを意識するきっかけにしてみてください。