個人事業主が亡くなったときの税務手続き完全まとめ─廃業届・青色申告・消費税・インボイス未登録の場合まで税務署目線で解説

個人事業主が亡くなった場合に提出すべき届出書と記載方法

個人事業を営んでいた方が亡くなった場合、相続人の方は、葬儀・金融機関・年金・保険・不動産・相続財産の整理など、多くの手続きに追われることになります。

その中で、意外と見落とされやすいのが、税務署への届出書や申告書の提出です。

特に、亡くなった方が個人事業主だった場合には、「準確定申告を出せば終わり」というわけではありません。

亡くなった方について、
・事業を廃止するのか、相続人が事業を引き継ぐのか
・青色申告(一定の帳簿をつけることで、さまざまな税務上の特典を受けられる制度)をしていたのか
・消費税の課税事業者だったのか
・従業員や家族専従者に給与を払っていたのか
・インボイス登録をしていたのか
によって、提出すべき書類が変わります。

今回は、個人事業主が亡くなった場合に必要となる税務手続き・届出書について、税務署がどこを見ているのかという視点も交えながら、実務的に解説します。

なお、この記事では、亡くなった方はインボイス登録をしていないという前提で整理します。

個人事業主が亡くなったとき、税務署はまず何を見るのか

個人事業主が亡くなった場合、税務署側では、まず次の三つの点を確認します。

【確認ポイント① 亡くなった方の事業が終了したのか】

個人事業は、法人(会社)とは異なり、事業主個人に帰属します。
会社であれば社長が亡くなっても法人自体は存続しますが、個人事業の場合、事業主本人が亡くなれば、その方の事業は原則として死亡日に終了します。

もちろん、店舗・屋号・取引先・従業員・機械・車両・在庫などを相続人が引き継いで、そのまま営業を続けることはあります。

ただし税務上は、
・亡くなった方 → 廃業
・相続人 → 新たに開業
という整理になります。

ここを混同すると、準確定申告・廃業届・開業届・青色申告・消費税・源泉所得税(給与等を支払う際に事業主が税金を差し引いて納付するしくみ)の処理がずれてしまいます。

【確認ポイント② 準確定申告が必要かどうか】

個人事業主であれば、通常は毎年確定申告をしていたはずです。
亡くなった年については、相続人が、亡くなった方の所得税を代わりに申告する必要があります。
これが「準確定申告」です。

【確認ポイント③ 青色申告・消費税・給与支払事務所などの届出が残っていないか】

準確定申告だけを提出しても、廃業届・青色申告の取りやめ届・消費税関係の届出・給与支払事務所の廃止届などが漏れていると、後日、税務署から確認が来ることがあります。

税務署の目線でいうと、死亡後の手続きで大事なのは、「亡くなった方の税務上の状態をきれいに閉じること」です。

そのためには、所得税の申告だけでなく、各種届出書も整理して提出する必要があります。

まず必要になるのは準確定申告

個人事業主が亡くなった場合、最初に取りかかるべき重要な手続きは、所得税の準確定申告です。

準確定申告とは、亡くなった方の所得税について、相続人等が代わりに行う申告のことです。

通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの所得について、翌年に申告します。
しかし、年の途中で亡くなった方は、ご自身で確定申告をすることができません。
そのため、相続人が、その年の1月1日から死亡日までの所得を計算し、申告・納税を行います。

国税庁の案内では、年の中途で亡くなった方について、相続人が「1月1日から死亡日までに確定した所得金額と税額を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告・納税する」とされています。

たとえば、令和8年3月1日に亡くなった場合は、令和8年1月1日から令和8年3月1日までの所得について、準確定申告を行います。

個人事業主の場合には、死亡日までの売上・仕入・経費・棚卸(在庫の確認)・減価償却費(機械や設備を複数年にわたって少しずつ経費にする処理)・売掛金・買掛金などを整理する必要があります。

給与所得者や年金受給者だけの場合に比べて、個人事業主の準確定申告は確認すべき項目が多くなります。
早めに資料を集め始めることをおすすめします。

令和8年3月1日に亡くなった場合の令和7年分の準確定申告期限

ここは実務上、非常に間違いやすい点です。
丁寧に確認してください。

たとえば、令和8年3月1日に亡くなった方の令和7年分の所得税申告について考えてみます。

令和7年分の所得税は、通常であれば令和8年3月15日(実務上は休日の関係で令和8年3月16日)が申告期限です。

しかし、令和8年3月1日に亡くなり、その時点でまだ令和7年分の確定申告を提出していなかった場合は、令和7年分についても「準確定申告」として扱われます。

国税庁の説明によると、確定申告をしなければならない人が「翌年1月1日から通常の確定申告期限までの間に、確定申告書を提出しないで死亡した場合、前年分と本年分の準確定申告期限は、いずれも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」とされています。

したがって、令和8年3月1日に亡くなり、相続人がその日に死亡の事実を知った場合、起算日は令和8年3月2日です。4か月後は令和8年7月1日(水曜日)になります。

つまり、このケースでは、令和7年分の所得税の準確定申告期限は、令和8年7月1日(水)です。

税務署目線で特に注意すべきのは、「令和7年分だから通常どおり令和8年3月16日まで」ではない、という点です。

死亡時点でまだ令和7年分を申告していなければ、令和7年分も準確定申告として、「死亡を知った日の翌日から4か月以内」に提出することになります。

準確定申告で使用する申告区分にも注意

e-Taxなどで準確定申告を作成する際、画面上に複数の「準確定申告」が表示されることがあります。
たとえば、
・準確定申告(所得税法第172条申告)
・準確定申告(死亡した者の申告)
のような選択肢です。

通常、相続実務でいう「亡くなった方の準確定申告」を作成する場合は、「準確定申告(死亡した者の申告)」を選びます。

これは、年の途中で亡くなった方について、相続人等が申告する一般的な準確定申告です。

一方、「所得税法第172条申告」は、一般的な死亡による準確定申告とは別の、非居住者(国内に住所や居所がない方)に関する特殊な申告です。

亡くなった個人事業主・年金受給者・不動産所得者などの準確定申告を作成する場合には、通常「準確定申告(死亡した者の申告)」を選択してください。

申告区分が実態と合っていない場合、受付後に確認や補正が必要になることもあります。
画面の選択肢は間違えやすいので、注意が必要です。

電子申告・納税等開始(変更等)届出書の職業欄について

相続人や関係者がe-Taxを利用するために、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を提出することがあります。
この届出書の「職業欄」の書き方に迷うケースもあります。

たとえば、主婦でパート勤務をしている方の場合、職業欄は「パート勤務」または「主婦・パート勤務」と記載すれば差し支えありません。

パート収入は通常、給与所得として扱われます。
税務署側では、職業欄そのものを細かく問題視することは多くありませんが、「申告内容や所得の種類と大きく矛盾していないか」は見ます。

たとえば、給与収入があるのに職業欄が「無職」だけになっていると、やや不自然に見えることがあります。

「主婦として家事をしながらパート勤務をしている」という実態であれば、「主婦・パート勤務」という書き方は実態に合っています。
より具体的に書くなら、「小売店パート」「飲食店パート」「事務パート」「介護施設パート」などでも構いません。

職業欄は「肩書きを厳密に審査する欄」というより、申告内容との整合性を見るための参考情報です。
実態に合った表現で記載すれば、問題になりにくいです。

個人事業の廃業届は原則として必要

個人事業主が亡くなった場合、準確定申告とあわせて確認すべき基本的な届出書が「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる廃業届です。

この届出は、新たに事業を始めた場合だけでなく、事業を廃止した場合にも提出する手続きです。
国税庁の案内でも、事業を廃止した場合の手続きとして「個人事業の開業・廃業等届出書」が示されています。

亡くなった方の個人事業を終了する場合には、この届出書を税務署へ提出します。
廃業日は、通常は死亡日で差し支えありません。

たとえば、令和8年3月1日に亡くなった場合は、廃業日は「令和8年3月1日」と記載します。

廃業届を提出しないでいると、税務署側の管理上、翌年以降も事業が続いているように見えることがあります。
その結果、翌年以降も申告書や申告案内が届いたり、事業所得があるという前提で確認文書が来たりすることがあります。

税務署目線でいうと、廃業届は「この納税者の事業は終了しました」ということを把握するための重要な書類です。
早めに提出しておくと、後の手続きもスムーズになります。

廃業届の「廃業の事由」は何と書けばよいか

個人事業主が亡くなった場合、廃業届の「廃業の事由」欄には、次のように記載すれば大丈夫です。

「死亡により廃業」

これが最もシンプルで分かりやすい記載です。

もう少し丁寧に書くなら、「令和8年3月1日死亡により廃業」または「事業主死亡のため廃業」でも差し支えありません。

相続人が事業を引き継がず、完全に事業を終了する場合には、「事業主死亡により事業廃止」という書き方も自然です。

一方、相続人が事業を引き継ぐ場合でも、亡くなった方本人については廃業になります。
その場合は、たとえば次のように記載しておくと、税務署側にも分かりやすいです。

「令和8年3月1日死亡により廃業。事業は相続人 山田太郎が承継。」

税務署側がこの欄で確認したいのは、「単なる任意廃業なのか」「法人成りなのか」「事業譲渡なのか」「死亡による廃業なのか」という点です。

死亡による廃業であることが明確に分かるよう、「令和○年○月○日死亡により廃業」と記載しておくのが一番無難です。

廃業届の提出者は誰になるのか

個人事業主が亡くなった場合、廃業届を提出するのは、通常、相続人です。
亡くなった方本人は、すでに届出を提出できません。

したがって、相続人が「被相続人の事業廃止に関する届出」として提出します。
実務上は、相続人代表者が提出することが多いです。

届出書には、亡くなった方の氏名・納税地・職業・屋号などを記載し、廃業の事実を明らかにします。
備考欄などに「令和8年3月1日死亡により廃業」と記載しておくと、税務署側でも事情が分かりやすくなります。

相続人が複数いる場合でも、届出自体は代表者が提出するケースが一般的です。

ただし、事業用資産・売掛金・在庫・店舗・機械・車両などがある場合には、相続財産としての整理も別途必要になります。

青色申告をしていた場合は「青色申告の取りやめ届出書」も確認

亡くなった方が青色申告者(一定の帳簿を備えることで、青色申告特別控除・青色事業専従者給与・純損失の繰越控除などの税務上の特典を受けられる制度を利用していた方)だった場合には、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出も検討します。

個人事業主の方であれば、青色申告を選択しているケースは多いです。
亡くなった方の事業が死亡によって終了するのであれば、青色申告も取りやめることになります。

国税庁は、青色申告の取りやめ手続きについて、「青色申告を取りやめようとする年分の所得税の確定申告期限まで」に提出するよう案内しています。

理由欄には、たとえば次のように記載します。
・「死亡により事業廃止のため」
・「令和8年3月1日死亡により廃業」

準確定申告書や廃業届と一緒に提出しておくと、税務署側にも事情が伝わりやすくなります。

令和8年3月1日に亡くなった場合、青色申告の取りやめは「何年分から」と書くのか

青色申告の取りやめ届出書には、「○年分の所得税から、青色申告書による申告を取りやめることとしたので届けます」という趣旨の記載欄があります。

令和8年3月1日に亡くなった場合、この「年分」には何と書くのかが問題になります。

結論としては、通常は「令和8年分」と記載します。

つまり、「令和8年分の所得税から、青色申告書による申告を取りやめることとしたので届けます」という形です。

なぜなら、亡くなった方は令和8年3月1日まで事業を営んでいたため、令和8年1月1日から死亡日までの所得について準確定申告を行うからです。

死亡により事業を廃止した年が令和8年であれば、青色申告の取りやめも「令和8年分から」という整理になります。

ここで「令和7年分」と書いてしまうと、税務署側から見ると不自然です。
令和7年中は亡くなった方が生存して事業を営んでおり、青色申告の承認を受けていたのであれば、令和7年分は通常どおり青色申告の対象です。

したがって、令和8年3月1日に亡くなった場合、青色申告の取りやめ届出書の該当欄には「令和8年分」と記載するのが自然です。

なお、令和7年分の確定申告をまだ提出しないまま令和8年3月1日に亡くなった場合でも、令和7年分は原則として青色申告による準確定申告として提出することになります。
「令和7年分まで白色申告にする」という意味ではありません。

税務署目線では、ここは非常に大切な点です。整理すると次のとおりです。
・令和7年分 → 青色申告として申告。
・令和8年分 → 青色申告を取りやめ。ただし、令和8年1月1日から死亡日までの申告について、実際の帳簿や青色申告の要件も確認する。

青色申告の取りやめ届で注意すべきケース

青色申告の取りやめ届出書で注意したいのは、亡くなった方に事業所得だけでなく、不動産所得(賃貸収入など)もある場合です。

たとえば、亡くなった方が個人事業と不動産賃貸を両方行っていた場合、死亡後に相続人が不動産賃貸を引き継ぐことがあります。

この場合、亡くなった方本人については青色申告を取りやめるとしても、相続人側では新たに不動産所得が発生します。
相続人が引き続き青色申告をしたい場合には、相続人自身が「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります(提出期限については、次の節で詳しく解説します)。

ここでよくある誤解は、「亡くなった親が青色申告だったから、相続人もそのまま青色申告を使える」というものです。

しかし、青色申告の承認は、個人ごとに行われるものです。
被相続人の青色申告の承認が、そのまま相続人に引き継がれるわけではありません。

税務署側では、「相続人本人が青色申告の承認を受けているか」を確認します。
相続人が事業や不動産賃貸を引き継いで青色申告をしたい場合には、相続人自身の青色申告承認申請を、期限内に忘れず提出するようにしましょう。

相続人の青色申告承認申請書には「3段階の提出期限」がある

相続人が事業を引き継いで青色申告をしたい場合、相続人自身が「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

ここで特に注意していただきたいのが、提出期限が死亡日の時期によって3段階に分かれているという点です。

国税庁の案内(A1-8)によれば、相続によって事業を承継した場合の青色申告承認申請の特例として、提出期限は次のように定められています。

・1月1日〜8月31日に死亡した場合 → 死亡の日から4か月以内
・9月1日〜10月31日に死亡した場合 → その年の12月31日まで
・11月1日〜12月31日に死亡した場合 → 翌年2月15日まで

通常の新規開業では「開業日から2か月以内」または「その年の3月15日まで」という期限が適用されます。
一方、相続で事業を引き継いだ場合には、上記の3段階の特例が適用されます。

令和8年3月1日に亡くなった場合の具体例

令和8年3月1日は、1月1日〜8月31日の区分に該当します。
したがって、相続人が青色申告承認申請書を提出できる期限は、死亡の日から4か月以内、すなわち令和8年7月1日(水)です。

この期限は、準確定申告の提出期限(同じく令和8年7月1日)と同じ日になります。
つまり、準確定申告の手続きに追われる中で、相続人自身の青色申告承認申請書の期限も同日に迫ってくることになります。

9月・10月に死亡した場合は、死亡日にかかわらず「その年の12月31日まで」が期限です。
たとえば10月31日に亡くなった場合でも申請期限は12月31日で、年末を前にした慌ただしい時期に準備が必要になります。
11月・12月に死亡した場合は「翌年2月15日まで」が期限です。
所得税の確定申告期限(翌年3月15日)より1か月早い点に注意が必要です。

この期限を過ぎてしまうと、その年分については青色申告の承認を受けられない可能性があります。
青色申告の特典(青色申告特別控除、専従者給与、純損失の繰越控除など)を活用したい相続人は、事業の引き継ぎが決まったら、できるだけ早めに申請書の準備に取りかかることをおすすめします。

相続人が事業を引き継ぐ場合の考え方

個人事業主が亡くなった後、相続人が同じ事業を続けることがあります。

たとえば、
・父が営んでいた飲食店を子が引き継ぐ。
・母が営んでいた小売店を配偶者が続ける。
・亡くなった事業主の得意先・設備・屋号を相続人が引き継ぐ。
・家族がそのまま店舗を営業し続ける。

このようなケースでは、事業の実態としては継続しているように見えます。

しかし税務上は、亡くなった方については死亡日に廃業、相続人については新たに開業、という整理になります。

亡くなった方と相続人は別の納税者です。
所得税は個人ごとに課税されるため、亡くなった方の事業所得と、相続人が引き継いだ後の事業所得は、別々に計算します。

したがって、相続人が事業を引き継ぐ場合には、亡くなった方の廃業届に加えて、相続人自身の「個人事業の開業届」が必要になります。

相続人が事業を引き継ぐ場合に必要となる主な届出書

相続人が事業を引き継ぐ場合、相続人側で確認すべき届出書は次のとおりです。

個人事業の開業・廃業等届出書(相続人自身の開業届)

開業日は、実際に相続人が事業を開始した日を記載します。
死亡日の翌日からそのまま事業を続けている場合には、死亡日の翌日を開業日とするケースが多いです。

所得税の青色申告承認申請書

相続人が青色申告をしたい場合には、相続人本人が提出します。
提出期限は死亡日の時期によって3段階に分かれており、令和8年3月1日死亡の場合は令和8年7月1日(水)が期限です(詳細は前述の第12節をご確認ください)。

給与支払事務所等の開設届出書

従業員を引き続き雇う場合には、相続人側で必要になることがあります。

消費税関係の届出

消費税についても、相続人側で課税事業者になるかどうかの判定が必要です。
特に消費税は、相続による事業承継の場合、被相続人の課税売上高などが関係することがあります。
所得税の開業届だけで終わらせず、消費税の判定も必ず確認してください。

インボイス登録をしていない場合の取扱い

今回の前提では、亡くなった方は「インボイス登録をしていない」とのことです。
この場合、原則として「適格請求書発行事業者の死亡届出書は不要」です。

インボイス制度では、適格請求書発行事業者として登録している個人事業者が亡くなった場合、一定の届出が必要になります。
しかし、そもそもインボイス登録をしていなければ、適格請求書発行事業者ではありません。

したがって、インボイス登録関係については、通常、次の届出は不要です。
・適格請求書発行事業者の死亡届出書
・適格請求書発行事業者の登録取消関係の届出

ここは混同しやすいところです。「個人事業主だったこと」と「インボイス登録をしていたこと」は、別の問題です。
個人事業主であっても、インボイス登録をしていない方は多くいます。
その場合、死亡時にインボイス関係の死亡届出を出す必要は通常ありません。

ただし、相続人が事業を引き継ぎ、今後インボイス登録をしたい場合には、相続人自身が新たに登録申請を行う必要があります。
亡くなった方の登録番号を、そのまま相続人が使うことはできません。

インボイス未登録でも消費税の確認は必要

ここは非常に重要な点です。

「インボイス登録をしていないから、消費税は一切関係ない」とは限りません。

インボイス登録をしていない方でも、消費税の課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)である場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
・基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えていた。
・「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、自ら課税事業者になっていた。
・前年・前々年の売上の関係で、課税事業者になっていた。
・過去に消費税の申告書を提出していた。
・簡易課税制度(売上高に一定の割合をかけて消費税を計算する特例)を選択していた。

インボイス登録の有無と、消費税の課税事業者かどうかは、必ずしも一致しません。

税務署側では、インボイス未登録であっても、消費税の課税事業者であれば、消費税関係の申告や届出を確認します。

したがって、亡くなった方が個人事業主だった場合には、過去の申告書や届出書控えを確認し、「消費税の課税事業者だったかどうか」を必ず確認してください。

消費税の課税事業者だった場合に必要な届出書

亡くなった方が消費税の課税事業者だった場合には、「個人事業者の死亡届出書」を提出します。

国税庁の案内では、この手続きについて「個人の課税事業者が死亡した場合の手続きであり、手続き対象者は死亡した課税事業者の相続人、提出時期は事由が生じた場合速やかに」とされています。

この届出により、税務署は消費税の課税事業者であった個人事業者が死亡したことを把握します。

また、死亡した年の消費税の申告義務がある場合には、消費税の申告も必要になります。
所得税の準確定申告だけに意識が向きがちですが、消費税の課税事業者だった場合には、消費税の申告も忘れないようにしてください。

税務署側でよく確認するのは、「所得税の準確定申告は出ているが、消費税の申告が漏れていないか」という点です。
過去に消費税申告をしていた個人事業主が亡くなった場合には、特に注意が必要です。

消費税の事業廃止届出書や不適用届出書

消費税の課税事業者だった場合には、状況に応じて、消費税関係の届出書も確認します。
たとえば、次のようなものです。
・消費税の事業廃止届出書
・消費税課税事業者選択不適用届出書
・消費税簡易課税制度選択不適用届出書
・消費税課税期間特例選択不適用届出書

亡くなった方が過去にどのような消費税関係の届出を提出していたかによって、必要性が変わります。
国税庁の「消費税の各種届出書」の案内では、個人事業者が死亡した場合の届出関係についても触れられています。

たとえば、簡易課税制度を選択していた場合には、その選択が残っていることがあります。
また、任意で課税事業者を選択していた場合には、その選択関係をどう整理するか確認が必要です。

税務署目線でいうと、消費税関係は後から問題になりやすい部分です。
所得税の準確定申告は相続人も意識しやすいのですが、消費税の届出や申告は見落とされがちです。

特に、次のような方は注意が必要です。
・売上規模が大きかった方。
・過去に消費税申告をしていた方。
・簡易課税を選択していた方。
・建設業・飲食業・小売業・製造業など課税売上が多い業種の方。
・不動産賃貸のうち、店舗・事務所・駐車場収入があった方。

インボイス登録をしていない場合でも、消費税の課税事業者であったかどうかは必ず確認しましょう。

従業員や家族専従者がいた場合の届出

亡くなった方が従業員を雇っていた場合や、家族に専従者給与(青色申告者が、事業に専従する家族に支払う給与のこと)を支払っていた場合には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」も確認が必要です。

個人事業主が給与を支払っていた場合、税務署では給与支払事務所として管理されています。
死亡により給与支払事務を廃止する場合には、給与支払事務所等の廃止届を提出します。

たとえば、次のような支払いがあった場合には注意してください。
・従業員への給与。
・パート・アルバイトへの給与。
・青色事業専従者給与。
・家族従業員への給与。
・退職金。
・源泉徴収(税金をあらかじめ差し引いて納付するしくみ)が必要な報酬料金。

給与支払事務所等の廃止届を提出しておかないと、翌年以降も給与支払者として管理が続き、年末調整関係書類・源泉所得税関係の照会・法定調書関係の案内などが届くことがあります。

源泉所得税の納付漏れにも注意

従業員や専従者に給与を支払っていた場合には、届出書だけでなく、源泉所得税の納付にも注意が必要です。

給与を支払う際には、原則として所得税を源泉徴収し(差し引いて)、税務署に納付します。
事業主が亡くなった場合でも、死亡日までに支払った給与に対する源泉所得税については、納付が必要です。

また、死亡後に未払給与を相続人が支払う場合や、退職金を支払う場合には、その支払いの性質に応じて源泉徴収の要否を確認する必要があります。

特に、「納期の特例」を受けている場合には注意が必要です。
納期の特例とは、従業員が常時10人未満の事業者が利用できる特例で、毎月納付する代わりに、原則として年2回にまとめて源泉所得税を納付できる制度です。

この特例を利用していると、死亡時点でまだ納付していない源泉所得税が残っていることがあります。
税務署側では、給与支払事務所の廃止届が提出された場合、未納の源泉所得税がないかを確認することがあります。

相続人としては、給与台帳・源泉徴収簿・納付書控え・通帳・帳簿などを確認し、納付漏れがないか整理しておく必要があります。

事業専従者がいた場合の注意点

個人事業では、配偶者や親族が事業に従事しているケースがあります。

青色申告者であれば、一定の要件のもとで、「青色事業専従者給与」を必要経費にすることができます。

亡くなった方が青色事業専従者給与を支払っていた場合、死亡日までの給与については、準確定申告で必要経費として処理します。

一方、死亡後に相続人が事業を引き継ぎ、その親族に給与を支払う場合には、相続人側で新たに青色事業専従者給与に関する届出が必要になることがあります。
亡くなった方の届出が、そのまま相続人に引き継がれるわけではありません。

税務署側では、
・誰の事業に専従していたのか
・誰が給与を支払ったのか
・その給与はどの申告で経費にしているのか
を見ます。

死亡日を境に、被相続人の事業と相続人の事業を区分することが大切です。

事業用資産・売掛金・買掛金の整理

届出書とは別に、個人事業主が亡くなった場合には、事業用資産や債権・債務(受け取る権利・支払う義務)の整理も重要です。

準確定申告では、死亡日までの売上と経費を計算します。
このとき、次のようなものを確認します。
・死亡日までに発生した売上
・死亡日時点の売掛金(受け取り待ちの代金)
・死亡日までに発生した経費
・未払金や買掛金(支払い待ちの代金)
・棚卸資産(在庫)
・事業用車両・機械装置・工具器具備品
・減価償却資産(複数年で経費にしていく資産)
・前払費用・未収入金
・借入金・リース契約

死亡日までの収入と必要経費を正しく区分し、死亡後に相続人が引き継いだ分と混同しないことが大切です。

税務署側で問題視されやすいのは、死亡日後の売上や経費が、亡くなった方の準確定申告に混ざってしまうケースです。

死亡後に相続人が営業を続けて得た売上は、原則として相続人の所得です。
一方、死亡前に発生していた売掛金を死亡後に回収した場合は、亡くなった方の所得計算や相続財産の評価に関係します。

死亡日を境に、取引を区分することが重要です。

棚卸資産がある場合の注意点

小売業・飲食業・製造業・建設業などでは、棚卸資産(商品・製品・原材料・仕掛品など)があることが多いです。

死亡日時点で棚卸資産がある場合には、準確定申告で棚卸を行う必要があります。
亡くなった方の事業所得を計算するうえで、期末棚卸高は重要な項目です。

税務署側では、棚卸資産があるはずの業種であるにもかかわらず、準確定申告で棚卸がまったく計上されていない場合、不自然と見ることがあります。

相続人が事業を引き継ぐ場合には、死亡日時点の棚卸資産が相続財産となり、その後、相続人の事業で使用・販売されることになります。
この場合、亡くなった方の準確定申告・相続税の財産評価・相続人の事業所得の計算がそれぞれ関係します。

棚卸資産がある場合には、死亡日時点の数量や金額をできるだけ記録しておくことをおすすめします。

事業用預金口座の確認

個人事業主の場合、事業用の預金口座を持っていることが多いです。
事業専用口座であれば整理しやすいですが、生活費と事業資金が混在しているケースもあります。

準確定申告では、死亡日までの事業収入や経費の確認が必要になりますので、通帳やインターネットバンキングの明細を確認します。

死亡後に入金された売掛金や、死亡後に引き落とされた経費については、「それが死亡前の事業に関するものか、死亡後の相続人の事業に関するものか」を区分します。

税務署側では、銀行口座の動きと申告内容に大きなずれがないかを確認することがあります。

売上入金があるのに準確定申告の売上に反映されていない場合や、死亡後の売上を被相続人の申告に含めている場合は、確認の対象になりやすいです。

相続税申告との関係

個人事業主が亡くなった場合、所得税の準確定申告だけでなく、相続税申告が必要になる場合もあります。

相続税の基礎控除を超える財産がある場合には、相続税申告が必要です。
個人事業主の場合、相続財産には事業用資産や事業上の債権・債務も含まれます。

たとえば、
・事業用預金・売掛金・棚卸資産
・機械装置・工具器具備品・車両
・店舗設備・事業用不動産
・買掛金・借入金・未払金

これらは相続財産の整理にも関係します。
準確定申告で把握した事業関係の数字は、相続税申告にも影響します。

税務署内では、所得税部門と資産税部門で情報が共有されることがあります。
たとえば、準確定申告で売掛金や棚卸資産が把握されているのに、相続税申告でそれらが財産に含まれていない場合、確認される可能性があります。
逆に、相続税申告に事業用資産が計上されているのに、準確定申告では事業所得の整理が不十分な場合も、確認の対象になり得ます。

税務署目線では、準確定申告と相続税申告の整合性は重要です。

※相続税の基礎控除額や申告要件の詳細については、税務署に最新の情報をご確認ください。

地方税関係の届出も忘れない

個人事業主が亡くなった場合、税務署への届出だけでなく、地方税関係の届出も確認する必要があります。
具体的には、都道府県税事務所や市区町村への届出です。

個人事業税(一定の事業を行う個人事業主に課される都道府県の税金)の対象業種であれば、都道府県税事務所へ個人事業の廃止に関する届出が必要になる場合があります。

また、市区町村によっては、個人事業の開始・廃止に関する届出書を用意しているところもあります。

地方税関係の様式や提出期限は、自治体によって異なります。
そのため、亡くなった方の事業所所在地を管轄する都道府県税事務所や市区町村に確認するのが確実です。

税務署に廃業届を出したからといって、自動的にすべての自治体手続きが完了するわけではありません。
忘れず確認しておきましょう。

償却資産申告にも注意

個人事業主が事業用の機械・器具備品・看板・厨房設備・工具・構築物などを所有していた場合、固定資産税の一種である「償却資産税(毎年少しずつ価値が減っていく事業用資産に課される地方税)」の申告をしていることがあります。

償却資産申告は、市区町村に対して行う手続きです。
事業を廃止した場合や、事業用資産を相続人が引き継いだ場合には、償却資産の申告内容も整理する必要があります。

税務署の所得税申告では減価償却資産として処理していても、地方税の償却資産申告は別途必要なケースがあります。

亡くなった方がこれまで償却資産申告をしていた場合には、翌年1月の申告時期に、市区町村から申告書が届くことがあります。
その際、廃業したのか・相続人が引き継いだのか・資産を処分したのかを整理して申告します。

この点も相続時に見落とされやすい部分ですので、ご注意ください。

提出すべき届出書のチェックリスト

個人事業主が亡くなった場合に確認すべき主な書類を整理します。

亡くなった方について確認するもの

準確定申告書

死亡した年の1月1日から死亡日までの所得を申告します。
死亡日が翌年1月1日から通常の確定申告期限までの間で、前年分の確定申告をしていなかった場合には、前年分も準確定申告になります。

個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)

亡くなった方の事業を終了する場合に提出します。
廃業日は通常、死亡日です。
廃業の事由は「令和○年○月○日死亡により廃業」と記載します。

所得税の青色申告の取りやめ届出書

亡くなった方が青色申告者だった場合に確認します。
令和8年3月1日に亡くなった場合、取りやめる年分は通常「令和8年分」と記載します。

個人事業者の死亡届出書

亡くなった方が消費税の課税事業者だった場合に提出します。
インボイス登録の有無とは別に判断します。

消費税関係の届出書

簡易課税・課税事業者選択・課税期間特例などを選択していた場合には、不適用届出や事業廃止届出の要否を確認します。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員・パート・家族専従者などに給与を支払っていた場合に確認します。

源泉所得税の納付確認

給与や報酬に係る源泉所得税について、納付漏れがないか確認します。

地方税関係の廃業届等

都道府県税事務所・市区町村への届出、償却資産申告などを確認します。

相続人が事業を引き継ぐ場合に確認するもの

相続人の個人事業の開業届

相続人が事業を続ける場合に提出します。

相続人の青色申告承認申請書(提出期限に注意)

相続人が青色申告をしたい場合に提出します。
被相続人の青色申告承認は相続人に自動的には引き継がれません。
提出期限は死亡日の時期によって3段階に分かれています(1月1日〜8月31日死亡:死亡の日から4か月以内、9月1日〜10月31日死亡:その年の12月31日まで、11月1日〜12月31日死亡:翌年2月15日まで)。
令和8年3月1日死亡の場合は令和8年7月1日が期限です。

給与支払事務所等の開設届出書(相続人側)

相続人が従業員を引き続き雇う場合に確認します。

消費税関係の届出(相続人側)

相続人側で課税事業者になるか・簡易課税を使うか・インボイス登録をするかなどを確認します。

税務署が問題視しやすいポイント

個人事業主が亡くなった場合、税務署が問題視しやすいポイントを整理します。

準確定申告が提出されていない

毎年確定申告をしていた個人事業主が亡くなったのに、準確定申告が提出されていなければ、税務署側では当然確認対象になります。

廃業届が出ていない

廃業届が出ていないと、税務署側では事業が継続しているように見えることがあります。

消費税の申告や届出が漏れている

所得税の準確定申告は提出されているのに、消費税の申告や個人事業者の死亡届出書が出ていない場合、過去の申告状況と照合されることがあります。

給与支払事務所の廃止届や源泉所得税の納付漏れ

従業員や専従者がいた場合には、死亡日までの給与や源泉所得税の処理を確認する必要があります。

相続人が事業を引き継いだ場合の届出漏れ

亡くなった方の廃業届は出したものの、相続人側の開業届や青色申告承認申請書が出ていないというケースがあります。
相続人が青色申告をするつもりでいても、承認申請が期限内に間に合っていなければ、青色申告の特典を受けられない可能性があります。
令和8年3月1日死亡の場合、相続人の青色申告承認申請書の期限は令和8年7月1日(水)です。
準確定申告の対応に追われる中で、見落としやすいポイントです。

よくある誤解

準確定申告を出せば全部終わりではない

準確定申告は重要ですが、それだけですべての税務手続きが終わるわけではありません。
個人事業主の場合には、廃業届・青色申告の取りやめ・消費税関係・給与支払事務所の廃止など、別途確認すべき届出があります。

インボイス登録していないから消費税は関係ない、とは限らない

インボイス登録をしていなくても、消費税の課税事業者である可能性があります。
過去の売上規模や届出状況を確認する必要があります。

親が青色申告だったから子も青色申告できる、わけではない

青色申告の承認は個人ごとです。
相続人が事業を引き継いで青色申告をしたい場合には、相続人自身が期限内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

事業をそのまま続けているから廃業届は不要、ではない

事業の看板や店舗が続いていても、納税者が変わる場合には、亡くなった方については廃業、相続人については開業という整理になります。

令和8年3月1日死亡なら、青色申告の取りやめは令和7年分からではない

令和8年3月1日に亡くなった場合、青色申告の取りやめ届出書の「何年分から」の欄は、通常「令和8年分」と記載します。
令和7年分は、亡くなった方が生前に事業を営んでいた年分ですので、青色申告の承認があれば、原則として青色申告として準確定申告する整理になります。

相続人の青色申告承認申請書はいつでも出せる、わけではない

死亡日の時期によって期限が3段階に分かれており、それぞれ基準が異なります。
たとえば令和8年3月1日死亡の場合は「死亡の日から4か月以内」で令和8年7月1日(水)が提出期限です。
この期限を過ぎると、その年分の青色申告の承認を受けられない可能性があります。

実務上の進め方

個人事業主が亡くなった場合には、次の順番で整理するとよいです。

まず、亡くなった方の過去の申告書を確認します。
所得税の確定申告書・青色申告決算書・収支内訳書・消費税申告書・届出書控え・源泉所得税の納付書控えなどを確認します。

次に、事業を廃止するのか、相続人が引き継ぐのかを決めます。
ここが決まらないと、廃業届・開業届・青色申告承認申請書・消費税関係の届出の判断ができません。
特に、相続人が青色申告をしたい場合は、承認申請の提出期限が早いため、事業の引き継ぎの方針を速やかに確認することが重要です。

そのうえで、亡くなった方について、準確定申告・廃業届・青色申告の取りやめ届・消費税関係・給与支払事務所の廃止届を確認します。

相続人が事業を引き継ぐ場合には、相続人側の開業届・青色申告承認申請書(提出期限に注意)・給与支払事務所の開設届・消費税関係の届出を確認します。

最後に、地方税関係・償却資産・個人事業税・相続税申告との整合性を確認します。

まとめ

個人事業を営んでいた方が亡くなった場合、必要な税務手続きは、準確定申告だけではありません。

亡くなった方について確認すべき書類

・準確定申告書
・個人事業の開業・廃業等届出書(廃業届)
・所得税の青色申告の取りやめ届出書
・個人事業者の死亡届出書(消費税の課税事業者だった場合)
・消費税関係の各種届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
・地方税関係の事業廃止届等

相続人が事業を引き継ぐ場合の届出(相続人側)

・個人事業の開業届
・所得税の青色申告承認申請書(提出期限に注意)
・給与支払事務所等の開設届出書
・消費税関係の届出書

今回のように、亡くなった方がインボイス登録をしていない場合には、通常「適格請求書発行事業者の死亡届出書は不要」です。
ただし、インボイス登録をしていないことと、消費税の課税事業者でないことは同じではありません。
過去の売上・消費税申告の有無・消費税関係の届出状況は必ず確認する必要があります。

廃業届の廃業事由は、「令和○年○月○日死亡により廃業」と記載すれば分かりやすいです。

令和8年3月1日に亡くなった場合、青色申告の取りやめ届出書の「何年分から」の欄は、通常「令和8年分」と記載します。

また、令和8年3月1日に亡くなり、その時点で令和7年分の確定申告をまだ提出していない場合、令和7年分の準確定申告期限は、通常「令和8年7月1日(水)」です。

相続人が事業を引き継いで青色申告をしたい場合、青色申告承認申請書の提出期限は死亡日の時期によって3段階に分かれています(国税庁A1-8)。
令和8年3月1日死亡の場合は「死亡の日から4か月以内」、すなわち令和8年7月1日(水)が期限です。
この期限は準確定申告の期限と同じ日に重なるため、事業の引き継ぎが決まったら早めに動き始めることが重要です。

税務署目線で最も重要なのは、「死亡日を境に、亡くなった方の事業と相続人の事業をきちんと区分すること」です。
・亡くなった方 → 廃業。
・相続人が引き継ぐ場合 → 相続人が新たに開業。

この整理を前提に、所得税・消費税・源泉所得税・地方税・相続税を確認していくことが大切です。

個人事業主の相続では、事業の内容や過去の届出状況によって必要書類が変わります。
準確定申告だけで終わらせず、青色申告・消費税・給与・地方税まで含めて、漏れがないか確認して進めてください。

この記事は作成時点の情報に基づいています。
実際の適用には個別判断が必要な場合があります。
詳細は税務署にご確認ください。