退職者に中退共と特退共をかけていた場合、会社は何をすればよいか

退職金制度の手続き対応

従業員が退職すると、会社ではさまざまな手続きが一度に押し寄せてきます。
社会保険の喪失手続き、雇用保険の離職票、住民税の異動届、源泉徴収票の交付など、やるべきことは多岐にわたります。

そのなかで、ついあと回しにしがちなのが退職金制度の手続きです。
特に、中退共と特退共の両方に加入している中小企業では、「どちらに何をすればよいのか」が分かりにくく、手続きが止まってしまうケースも少なくありません。

中退共とは、中小企業退職金共済制度のことです。
会社が毎月掛金を積み立て、従業員が退職したときに、共済機構から退職者本人へ退職金が直接支払われる制度です。

一方、特退共とは、特定退職金共済制度のことです。
商工会議所や商工会などが実施している退職金共済制度で、こちらも会社が掛金を負担し、退職者本人へ退職金が支払われます。

どちらも「会社がコツコツ積み立ててきたもの」というイメージがあるため、退職時に会社が退職金を計算して支払うものだと思われることがあります。
しかし実際には、中退共・特退共ともに、原則として退職金は共済制度側から退職者本人へ直接支払われます。
会社の口座から退職金を振り込む制度ではありません。

では、会社が何をすべきかというと、退職者がスムーズに退職金を受け取れるように、必要な届出や請求手続きの入口を整えることです。

この記事では、退職者に対して中退共と特退共の両方をかけていた場合に、会社が実務上やるべきことを、手続きの流れに沿って分かりやすく整理します。

まず確認したいこと

退職者に中退共と特退共をかけていた場合、最初に確認すべきことが3つあります。

その退職者が中退共に加入しているかどうか

中退共に加入している場合、会社には「退職金共済手帳」があるはずです。
手帳が見当たらないときは、過去の加入通知や掛金の納付状況、従業員別の加入状況などで確認します。

その退職者が特退共にも加入しているかどうか

特退共は、中退共とは別の制度です。加入先は商工会議所、商工会、その他の共済団体などです。
会社によっては、商工会議所経由で大同生命などの保険会社が事務を取り扱っていることもあります。
どこが加入先かを確認しておきましょう。

会社独自の退職金を別途支払うかどうか

中退共と特退共だけで退職金が完結する場合と、会社が別途退職金や功労金を支払う場合とでは、税務処理の内容や退職所得の源泉徴収票の扱いが変わります。

退職が決まったら、まず次の点を整理しておくと、その後の手続きがスムーズになります。

・中退共あり/特退共あり/会社独自の退職金はあるか
・それぞれの支給時期はいつ頃になるか
・退職者本人に準備してもらう書類は何か

退職金の手続きは、金額の問題だけではありません。
本人確認書類、マイナンバー、退職所得の受給に関する申告書、振込口座など、退職者本人に用意してもらう書類もあります。

退職日直前に慌てて動くよりも、退職日が決まり次第、早めに手続きの全体像を把握しておくことが大切です。

中退共で会社がやるべきこと

まず、中退共の手続きです。
中退共について、会社がやるべきことは大きく3つあります。

1.「被共済者退職届」を記入する
2.「被共済者退職届」を中退共へ送付する
3.退職金共済手帳を退職者本人へ渡す

順番に確認していきましょう。

中退共の手続き1 被共済者退職届を記入する

従業員が退職した場合、会社は「被共済者退職届」を作成します。

この「被共済者退職届」は、退職金共済手帳の中に綴じ込まれています。
通常は手帳の2枚目にあります。
ここに、退職年月日、退職事由、退職者の住所・電話番号・マイナンバー、事業主の住所・電話番号・事業主名などを記入します。

ここで特に大切なのは、退職日を正確に記入することです。

中退共の掛金は、退職した日の属する月分まで納付することになっています。
たとえば6月10日に退職した場合、6月分までが掛金の対象になります。
退職月の翌月分以降の掛金がすでに引き落とされていた場合は、後日、事業主の預金口座へ返金される取り扱いになります。

退職日が月末なのか、月の途中なのかによって、給与計算や社会保険の資格喪失日も変わります。中退共の退職届だけでなく、退職手続き全体で退職日を統一しておくことが重要です。

なお、退職者が同居の親族である場合には、通常の「被共済者退職届」以外に、追加の確認書類が必要になることがあります。
家族従業員について中退共に加入している場合は、通常の従業員よりも丁寧に確認しておきましょう。

中退共の手続き2 被共済者退職届を中退共へ送付する

「被共済者退職届」を記入したら、中退共へ送付します。
退職日が決まり次第、すみやかに送付することが求められています。

送付方法については、普通郵便ではなく、書留郵便や特定記録郵便など、郵便追跡サービスが利用できる方法が案内されています。
退職届には個人情報やマイナンバーに関する情報が含まれますので、追跡できる方法で送るのが安全です。

ここで注意したいのは、「被共済者退職届」を退職者本人に渡してしまわないことです。

中退共の退職手続きでは、会社が「被共済者退職届」を切り離して中退共へ送付します。
そのうえで、残りの退職金共済手帳を退職者本人へ渡します。

「会社が中退共へ出す書類」と「退職者本人が退職金を請求するために使う書類」は、役割が異なります。
まず会社が「被共済者退職届」を中退共へ提出し、その後に退職者本人が退職金を請求する、という流れを押さえておくことが大切です。

中退共の手続き3 退職金共済手帳を退職者本人に渡す

会社が「被共済者退職届」を切り離した後、残りの退職金共済手帳を退職者本人へ渡します。

退職金共済手帳には、「退職金(解約手当金)請求書」が含まれています。
退職者本人は、この請求書を使って中退共へ退職金の請求を行います。

ここで会社が忘れてはいけないのが、「退職金(解約手当金)請求書」の事業主記入欄を記入することです。
退職金請求書には会社が記入する部分があります。
その欄を記入したうえで退職者本人へ渡してください。
事業主記入欄が空欄のまま渡してしまうと、本人が請求する際に書類不備になる可能性があります。

退職者本人は、退職金請求書に必要事項を記入し、住民票・本人確認書類・振込口座が分かる資料などを添付して中退共へ提出します。
退職金は、退職者本人の口座へ直接振り込まれます。

退職者本人への案内として、次のように伝えておくとスムーズです。

・「退職金共済手帳をお渡ししますので、同封の請求書に必要事項を記入して中退共へ請求してください」
・「請求には、マイナンバー入りの住民票や本人確認書類などが必要になります」
・「退職金は会社からではなく、中退共から本人の口座へ直接振り込まれます」

このように伝えておくと、退職者側も手続きの全体像を理解しやすくなります。

中退共の支給までの期間

中退共の退職金は、請求すればすぐに振り込まれるわけではありません。
退職者本人が書類を提出した後、中退共側で書類確認が行われ、退職月分までの掛金の入金確認も必要になります。

そのため、「退職したらすぐにお金が入ります」と断定しない方がよいです。
「請求後、一定の期間がかかります」「書類に不備があると、さらに時間がかかることがあります」「振込予定日などは中退共から本人に通知されます」という形で案内するのが現実的です。

なお、会社側にも中退共から「退職金等支払のお知らせ」が届きます。
退職者に支払われる退職金額や振込予定日が記載されていますので、届いたら退職者別の資料として保存しておきましょう。

特退共で会社がやるべきこと

次に、特退共の手続きです。

特退共は中退共と異なり、加入先によって手続きが変わります。
商工会議所の特定退職金共済制度に加入している場合もあれば、商工会経由で加入している場合もあります。
また、実際の事務手続きは委託保険会社が担っていることもあります。

そのため、特退共については、まず加入先を確認することが第一歩です。
「どこの特退共に加入しているのか」「窓口は商工会議所なのか、商工会なのか」「実務上の請求先は保険会社なのか」「退職手続きの書類はどこから取り寄せるのか」—この確認から始めます。

一般的には、会社が加入先へ退職者が出たことを連絡し、退職給付金の請求書類を取り寄せます。
その後、会社が必要事項を記入し、退職者本人の記入部分や添付書類とあわせて提出します。
商工会議所の特退共では、「退職通知書兼給付金請求書」のような書類を使うことがあります。

中退共の場合は退職者本人が退職金共済手帳を使って請求する流れが明確ですが、特退共の場合は会社を通じて請求する流れになることが多いため、会社側の取りまとめがより重要になります。

特退共の手続きで確認すべきこと

特退共で注意すべき点は、加入先によって書類名・提出先・添付書類・提出方法が異なることです。
「以前もこうだった」という感覚で進めると、思わぬ誤りが生じることがあります。
退職者が出たら、自己判断で進めず、まず加入先に確認することが大切です。

具体的には、次の点を確認しておきましょう。

・退職者の氏名・加入者番号・退職日・退職事由を伝え、必要書類を取り寄せる
・本人の署名や押印が必要かを確認する
・マイナンバー関係書類・本人確認書類が必要かを確認する
・退職所得の受給に関する申告書が必要かを確認する
・振込先口座の確認資料が必要かを確認する
・中退共と特退共のどちらが先に支払われる予定かを確認する

また、ここで大切なのが「特退共は会社が手続きを取りまとめるが、退職金を会社が受け取るわけではない」という点です。
手続きを取りまとめるのは会社、退職金を受け取るのは退職者本人—この役割をしっかり区別しておきましょう。

中退共と特退共の両方に加入している場合の全体の流れ

退職者に中退共と特退共の両方をかけていた場合、会社の実務は次のような順番で進みます。

1.退職日を確定する
2.中退共の退職金共済手帳を確認する
3.退職金共済手帳の2枚目「被共済者退職届」を記入する
4.「被共済者退職届」を中退共へ書留等で送付する
5.退職金共済手帳の3枚目「退職金(解約手当金)請求書」の事業主記入欄を記入する
6.「被共済者退職届」を切り離した後の退職金共済手帳を、退職者本人へ渡す
7.退職者本人に、中退共への請求手続きを案内する
8.特退共の加入先へ退職者が出たことを連絡し、請求書類を取り寄せる
9.会社記入欄を記入する
10.退職者本人に、署名・押印・本人確認書類・マイナンバー関係書類・振込口座資料などを案内する
11.書類を取りまとめ、加入先または委託保険会社へ提出する

会社独自の退職金を支払わない場合、会社の口座から退職金を振り込む場面は通常ありません。

一方、会社独自の退職金を別途支払う場合は、会社自身が退職手当等の支払者になります。
この場合は、退職所得の受給に関する申告書を受け取り、源泉徴収税額を計算し、退職所得の源泉徴収票を作成する必要があります(詳しくは後述します)。

税務上のポイント

中退共と特退共の手続きで、会社が特に気をつけたいのが税務上の取り扱いです。

退職所得とは

退職金は給与とは異なり、原則として「退職所得」として扱われます。
退職所得は、長年の勤務に対する一時金という性質があるため、税負担が軽くなるような計算の仕組みが設けられています。

具体的には、退職金の収入金額から「退職所得控除額」を差し引き、原則としてその残額の2分の1が課税対象になります。
退職所得控除額は勤続年数によって異なります。
たとえば勤続20年以下の場合は「40万円×勤続年数」(最低80万円)が退職所得控除額になります。長く勤めるほど控除額が大きくなる仕組みです。

退職所得の受給に関する申告書の大切さ

退職所得として正しく税額計算を受けるためには、退職者本人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けることが重要です。

この申告書が提出されていない場合、退職金の支払額に対して一律20.42%(所得税および復興特別所得税)が源泉徴収される可能性があります。
退職者本人にとっても大切な書類ですので、忘れずに手続きを進めましょう。
中退共の場合、「退職金(解約手当金)請求書」の中に退職所得申告書欄があります。
中退共のみから退職金を受け取る場合や、中退共がその年の最初の退職金支払者となる場合は、その欄に必要事項を記入することで対応する流れになります。

中退共と特退共の両方から受け取る場合の注意点

中退共と特退共の両方から退職金を受け取る場合、退職者は同じ年に2か所から退職手当等を受け取ることになります。

具体的な例で考えてみましょう。
田中さん(仮名)は、10年間勤めた会社を退職しました。中退共から退職金200万円、特退共から100万円を受け取る予定です。合計300万円ですが、2か所から別々に受け取ることになります。

この場合、後から支払われる側(仮に特退共が後だとすると)では、先に中退共から支払われた200万円も踏まえたうえで、源泉徴収の要否を確認する必要があります。

そのため、実務上は「中退共が先に支払われるのか、特退共が先に支払われるのか」を確認しておくことが大切です。
また、先に支払われた退職金について、退職所得の源泉徴収票や支払通知などの資料が必要になることがあります。

さらに、会社独自の退職金も支払う場合には、3か所から退職金を受け取ることになります。
それぞれの支払者が他の退職金の支給状況をまったく考慮せずに処理してしまうと、源泉徴収税額が正しくならない可能性があります。
「どの退職金が先に支払われるか」「先に支払われた退職金の源泉徴収票が発行されるか」「後の支払者にどの書類を提出するか」を整理しておくことが重要です。

会社独自の退職金を支払わない場合

中退共と特退共だけで退職金が完結する場合、会社の処理は比較的シンプルです。

会社がすることは、中退共と特退共の手続きを進め、退職者本人に必要書類を案内し、制度側から届いた支払通知や控えを保存することです。

会社の預金口座から退職金を支払うわけではありませんので、退職金支払いの仕訳を会社が直接起こす場面は通常ありません。

これまで毎月支払ってきた中退共・特退共の掛金は、会社の福利厚生費などとして処理されているはずです。
退職時に退職金が本人へ支払われる段階で、会社が改めて退職金を費用計上するわけではありません。

ただし、会社には制度側から通知書類が届くことがあります。
退職者にいくら支払われたのか、いつ支払われるのかが記載された通知ですので、届いたら退職者別の資料として保存しておくと安心です。

会社独自の退職金を支払う場合

会社が中退共・特退共とは別に、独自の退職金を支払う場合は、会社自身が退職金の支払者になります。
この場合は、単にお金を振り込めばよいわけではありません。

具体的な手順は次のとおりです。

1.退職者から「退職所得の受給に関する申告書」を受け取る
2.勤続年数、退職金額、中退共・特退共からの支給状況などを確認する
3.退職所得控除額を計算し、源泉徴収税額があるかどうかを判定する
4.源泉徴収税額がある場合、退職金の支払時に所得税・復興特別所得税を源泉徴収し、原則として翌月10日までに納付する
5.退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を作成し、退職者へ交付する

なお、令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等については、退職所得の源泉徴収票等の提出範囲が変更されています。
退職手当等を支払ったすべての受給者について作成・提出が必要になっています。
以前の感覚で「役員の場合だけ提出すればよい」と考えていると、対応が漏れることがありますので注意が必要です。

退職金は給与とは別の処理です。
最後の給与と一緒に何となく支払ってしまうと、税務処理を誤ることがあります。
会社独自の退職金を支払う場合には、給与計算とは切り離して、退職所得として処理することを意識しましょう。

退職者本人に案内しておくとよいこと

中退共と特退共の両方がある場合、退職者本人からすると手続きが少し分かりにくくなります。
「会社から退職金が直接支払われる」と思っている方もいますし、中退共と特退共の違いをご存じない方もいます。

そのため、会社から退職者へ、次のような内容を案内しておくとよいでしょう。

・「退職金は、中退共と特退共のそれぞれから支払われます」
・「中退共については、退職金共済手帳をお渡ししますので、本人から請求手続きをしていただきます」
・「特退共については、会社で請求書類を取り寄せますので、必要箇所の記入や本人確認書類の準備をお願いします」
・「退職金の支給時期は、それぞれの制度側で書類確認後に決まります」
・「書類に不備があると、支給が遅れることがあります」
・「退職所得の受給に関する申告書の記入が必要になる場合があります」

このように説明しておけば、退職者からの問い合わせも減り、手続きも円滑に進みやすくなります。

退職者本人にとって、退職金は大切なお金です。退職後の生活資金に充てる予定の方もいます。
だからこそ、「制度から直接支払われるから会社は関係ない」という姿勢ではなく、退職者がスムーズに受け取れるよう、手続きの入口をきちんと整えてあげることが大切ではないでしょうか。

よくあるミス

中退共と特退共の手続きでは、いくつかのミスが起こりやすいです。
事前に知っておくと防ぎやすくなります。

ミス1 退職金共済手帳を会社で保管したままにしてしまう

退職者本人が中退共へ退職金を請求するには、退職金共済手帳に含まれる請求書が必要です。
会社が「被共済者退職届」を提出しただけでは、本人への支給手続きは完了しません。
退職金共済手帳を本人へ渡すところまでが、会社の仕事です。

ミス2 「退職金請求書」の事業主記入欄を空欄のまま渡してしまう

事業主記入欄が空欄のまま渡してしまうと、本人が請求する際に書類不備になる可能性があります。
退職者へ手帳を渡す前に、会社記入欄を必ず確認しましょう。

ミス3 特退共の加入先を確認しないまま放置してしまう

特退共は加入先ごとに手続きが異なります。
退職者が出たら、早めに加入先へ連絡し、必要書類を取り寄せましょう。
後回しにすると、退職者の支給が遅れる原因になります。

ミス4 退職所得の受給に関する申告書を軽く見てしまう

この申告書の提出がない場合、20.42%の源泉徴収が行われる可能性があります。
中退共・特退共・会社独自の退職金がある場合には、どの支払者にどの書類を提出するかを整理しておく必要があります。

ミス5 会社独自の退職金を給与と同じように処理してしまう

退職金は給与ではなく退職所得です。
給与明細に適当に上乗せするのではなく、退職所得として源泉徴収税額を判定し、退職所得の源泉徴収票を作成する必要があります。

ミス6 退職者に支給時期を断定してしまう

中退共・特退共の支給時期は、書類の提出状況や掛金の納付状況、制度側の確認状況によって変わります。
「退職後すぐに振り込まれます」と断定せず、「請求後、制度側で確認が終わってから支払われます」と案内する方が安全です。

実務上のおすすめの進め方

退職者に中退共と特退共の両方をかけている場合、次の順番で進めると漏れを防ぎやすくなります。

【中退共の手続き】

1.退職日を確定する
2.中退共の退職金共済手帳を確認する
3.退職金共済手帳の2枚目「被共済者退職届」を記入する
4.「被共済者退職届」を中退共へ書留郵便等で送付する
5.退職金共済手帳の3枚目「退職金(解約手当金)請求書」の事業主記入欄を記入する
6.「被共済者退職届」を切り離した後の退職金共済手帳を、退職者本人へ渡す
7.退職者本人に、中退共への請求手続きを案内する

【特退共の手続き】

8.特退共の加入先を確認する
9.加入先へ退職者が出たことを連絡し、退職給付金の請求書類を取り寄せる
10.会社記入欄を記入する
11.退職者本人に、署名・押印・本人確認書類・マイナンバー関係書類・振込口座資料などを案内する
12.書類を取りまとめ、加入先または委託保険会社へ提出する

【会社独自の退職金がある場合】

13.退職者から「退職所得の受給に関する申告書」を受け取る
14.源泉徴収税額を計算し、退職所得の源泉徴収票を作成・交付する

【書類の保存】

15.中退共・特退共から届いた支払通知、会社が作成した書類の控え、退職者に渡した書類の控えなどを保存する

この流れで進めれば、大きな漏れは防ぎやすくなります。

まとめ

退職者に対して中退共と特退共の両方をかけていた場合、会社がやるべきことは、退職金そのものを会社から支払うことではありません。

中退共については、会社が「被共済者退職届」を中退共へ提出し、退職金共済手帳を退職者本人へ渡します。
退職者本人は、手帳に含まれる請求書を使って退職金を請求します。

特退共については、加入先の商工会議所・商工会・共済団体・委託保険会社などに連絡し、退職給付金の請求書類を取り寄せます。
会社が書類を取りまとめ、退職者本人の記入や添付書類をそろえて提出します。

中退共も特退共も、退職金は通常、退職者本人へ直接支払われます。

ただし、税務上は注意が必要です。
中退共と特退共の両方から退職金を受け取る場合、同じ年に2か所から退職手当等を受け取ることになります。
会社独自の退職金がある場合には、3か所から受け取る形になることもあります。
その場合、退職所得の受給に関する申告書、先に支払われた退職金の源泉徴収票、源泉徴収税額の計算などを正しく処理する必要があります。

退職金の手続きは、退職者本人にとって非常に重要です。
会社側では、「中退共」「特退共」「会社独自退職金」の3つを分けて考え、どの制度について、誰が、どこへ、どの書類を提出するのかを整理しておきましょう。

・中退共:退職届を提出して手帳を本人へ渡す
・特退共:加入先に連絡して請求書類を進める
・会社独自の退職金がある場合:退職所得として税務処理を行う

この3つを押さえておけば、退職金手続きの全体像はかなり整理しやすくなります。

※この記事は作成時点の情報に基づいています。
税制や各制度の規定は変更される場合がありますので、実際の手続きにあたっては、最新の情報を中退共・特退共の加入先・税務署などでご確認ください。