iDeCoは途中で運用を見直せる?「配分変更」と「スイッチング」をやさしく解説

iDeCoで運用商品を変えたいときはどうする?初心者向けに2つの方法を整理

iDeCoを始めるとき、「どの商品をどれくらい買えばいいのだろう」と迷う人は少なくありません。

さらに、一度決めたあとにも別の不安が出てきます。

「最初に決めた割合を、ずっと続けないといけないの?」
「株がかなり値上がりしたけれど、このまま買い続けて大丈夫?」
「反対に、値下がりした商品はどうすればいい?」

こうした疑問を持つのは自然なことです。

iDeCoでは、最初に決めた運用方法をずっと変えられないわけではありません。
運用状況や自分の考え方が変わったときには、資産の配分を見直すことができます。

そのときに知っておきたいのが、「配分変更」と「スイッチング」という2つの方法です。
言葉だけを見ると少し難しそうですが、違いはそれほど複雑ではありません。

今回は、iDeCoをこれから始める人や、すでに運用しているものの仕組みがよくわからない人に向けて、2つの違いを整理してみましょう。

「最初に決めた割合」はあとから変えられる

たとえば、毎月2万円をiDeCoで積み立てているとします。

運用先を、
日本株式の投資信託 50%
外国債券の投資信託 50%
としていたとしましょう。

この場合、毎月の掛金2万円のうち、1万円ずつをそれぞれの商品に振り分けていくイメージです。

ところが何年か運用する間に、日本株式が大きく値上がりしたとします。

すると、
「日本株の割合がかなり大きくなってきたな」
「これ以上、同じペースで日本株を買い続けるのは少し不安だな」
と感じるかもしれません。

このような場合、これから積み立てるお金の振り分け方を変更することができます。
つまり、iDeCoは一度商品や割合を決めたら、そのまま最後まで続けなければならない制度ではありません。

ただし、「値上がりしたから減らす」「値下がりしたから増やす」と単純に考えればよいわけでもありません。
大切なのは、自分がどれくらいの値動きを受け入れられるのか、どんな資産配分なら無理なく長く続けられるのかを考えることです。

「配分変更」は、これから積み立てるお金の行き先を変えること

まず知っておきたいのが「配分変更」です。配分変更とは、これから積み立てる掛金を、どの商品にどの割合で振り分けるかを変更することです。

たとえば、これまで毎月2万円を、
日本株式 1万円
外国債券 1万円
という割合で積み立てていたとします。

その後、日本株式の割合をこれ以上増やしたくないと考え、
日本株式 0円
外国債券 2万円
というように、今後の掛金の行き先を変更することができます。
これが配分変更です。

ここでポイントになるのは、すでに持っている資産には手をつけていないことです。
これまで積み立ててきた日本株式の投資信託を売るわけではありません。
あくまで、「次回から積み立てるお金を、どの商品に振り分けるか」を変更します。

家計で考えるなら、毎月2つの目的に1万円ずつ積み立てていたところを、「来月からは片方に多く回してみよう」と変更する感覚に近いでしょう。

「スイッチング」は、すでに持っている資産を入れ替えること

もう一つが「スイッチング」です。
スイッチングとは、すでに保有している運用商品を売却し、そのお金で別の商品を購入することです。

たとえば、もともと日本株式と外国債券を50%ずつ持つつもりだったとします。

ところが、日本株式が値上がりした結果、
日本株式 150万円
外国債券 50万円
という状態になったとしましょう。

資産全体では200万円なので、日本株式が75%を占めています。
最初に考えていた50%ずつというバランスから、大きく変わっています。

そこで、日本株式の一部を売却し、その資金で外国債券を購入して、資産全体のバランスを調整することができます。これがスイッチングです。

つまり、
配分変更は「これから積み立てるお金」を変える方法
スイッチングは「すでに積み立てたお金」を動かす方法
と考えると、違いがわかりやすくなります。

資産の割合を元に近づける「リバランス」

投資を続けていると、最初に決めた資産の割合は少しずつ変わっていきます。

たとえば、株式50%、債券50%で始めたとしても、株式が大きく値上がりすれば、
株式70%
債券30%
という状態になることがあります。
このように、値動きによって変わった資産配分を、自分が考えている割合に近づけることを「リバランス」といいます。
配分変更やスイッチングは、そのリバランスを行うための方法として使うことができます。

ただし、必ず最初の割合に戻さなければいけないわけではありません。
年齢や家計の状況、投資に対する考え方が変わったのであれば、目指す資産配分そのものを見直すこともあります。
大切なのは、「最初に決めた数字を守ること」ではなく、今の自分にとって無理のないバランスになっているかを考えることです。

iDeCoでは運用中の利益が非課税

iDeCoの特徴として知っておきたいのが、運用中の税金です。

通常の課税口座で投資信託などを売却し、利益が確定した場合、その利益は原則として課税対象になります。
一方、iDeCoでは、運用している間に得た利益には税金がかかりません。
そのため、iDeCoの中でスイッチングをして、値上がりしている商品を売却した場合でも、その時点で売却益に税金がかかるわけではありません。
これは、資産配分を見直しながら長期間運用していくうえでのiDeCoの特徴の一つです。

ただし、ここで注意しておきたいことがあります。「iDeCoなら、ずっと税金がかからない」という意味ではありません。
運用中の利益は非課税ですが、将来iDeCoのお金を受け取るときには、受け取り方に応じた税金の仕組みがあります。

一時金として受け取る場合には退職所得として扱われ、年金として受け取る場合には公的年金等に係る雑所得として扱われます。
それぞれに税金を軽くするための控除制度がありますが、最終的な税額はその人の状況によって異なります。

初心者の段階では細かい税金の計算まで覚える必要はありません。

まずは、「iDeCoは運用している間の利益が非課税。ただし、将来受け取るときには別の税制がある」と理解しておけば十分です。

税金がかからないからといって、頻繁に売買する必要はない

iDeCoでは運用中の利益が非課税だからといって、積極的に商品を入れ替え続けたほうがよいということではありません。

スイッチングをすると、売却してから新しい商品を購入するまでに一定の日数がかかることがあります。
また、商品によっては売却するときにコストが発生する場合もあります。
こうしたコストや手続きにかかる日数は、iDeCoを運営する金融機関によって異なりますので、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。

そして何より、短期間の相場を予測することは簡単ではありません。

「最近かなり上がったから、そろそろ下がるだろう」
「大きく下がったから、ここから上がるだろう」
と思っても、その通りになるとは限りません。

値上がりしたあとにさらに上昇することもありますし、値下がりしたあとにさらに下落することもあります。

そのため、「上がったから売る」「下がったから買う」という理由だけで頻繁に運用方法を変更するのではなく、自分がもともと考えていた資産配分からどの程度ずれているかを見ることが大切です。

ときどき運用状況を確認するくらいでもいい

iDeCoは老後に向けて長い期間運用していくことを前提とした制度です。
そのため、毎日のように価格を確認して、頻繁に判断する必要はありません。

むしろ毎日価格を見ていると、
「昨日より下がった」
「今月はかなり上がった」
と短期間の値動きが気になり、本来の運用方針を変えたくなることもあります。

たとえば年に一度など、自分なりに時期を決めて、
「株式と債券の割合はどうなっているだろう」
「当初考えたバランスから大きく離れていないだろうか」
「今の自分に、このくらいの値動きは合っているだろうか」
と確認してみる方法があります。

ここでいう「年に一度」は、必ずそうしなければならないルールではありません。
あくまで、定期的に運用状況を確認する一つの目安です。

資産配分がそれほど変わっていなければ、何も変更しないという選択もあります。
投資では、「何かをし続けること」が正解とは限りません。
今の運用方針に問題がなければ、そのまま続けることも立派な判断です。

まとめ|iDeCoは始めたあとも運用方法を見直せる

iDeCoを始めるときは、「最初の商品選びで失敗したらどうしよう」と不安になるかもしれません。
しかし、一度決めた運用方法を、そのまま最後まで続けなければならないわけではありません。

覚えておきたいのは、2つの違いです。

配分変更は、これから積み立てる掛金の振り分け方を変えること。
スイッチングは、すでに持っている運用商品を売却し、別の商品へ入れ替えることです。

どちらも、実際の資産配分と自分が考えているバランスがずれてきたときに、調整するために利用できます。

そしてiDeCoでは、運用している間の利益は非課税です。通常の課税口座では、商品を売却して利益が確定した場合、その利益が原則として課税対象になりますが、iDeCoでは運用中のスイッチングによる売却益にその時点で税金がかかるわけではありません。
ただし、将来お金を受け取るときには別の税制があります。
「iDeCoだから完全に税金がかからない」と考えるのではなく、運用中と受取時では税金の仕組みが違うと理解しておくことが大切です。

また、相場が動くたびに配分を変える必要もありません。
最初から完璧な資産配分を決めようとしなくても大丈夫です。
まずは自分がどのくらいの値動きを受け入れられるのかを考え、ときどき運用状況を確認する。そのうえで必要だと感じたときに、「配分変更」や「スイッチング」という方法があることを知っておけば、iDeCoとの付き合い方も少しわかりやすくなるのではないでしょうか。

なお、配分変更やスイッチングの具体的な手続き方法、手数料の有無は、加入している金融機関によって異なります。
実際に手続きを行う際は、運営管理機関の窓口や公式サイトで最新の内容をご確認いただくことをおすすめします。