金利2%・3%の数字に飛びつく前に。預金・個人向け国債・新窓販国債は「いつ使うお金か」で選びましょう

預金にも利息がつく時代へ。個人向け国債と新窓販国債、何を基準に選べばよいのでしょうか

「銀行にお金を預けても、利息はほとんど増えない」。
そんな感覚が、長い間続いてきました。
通帳に記帳された利息がごくわずかだったため、お金を増やしたければ株式や投資信託を始めなければならない、と思っていた方もいるかもしれません。

ところが、最近は少しずつ状況が変わっています。
普通預金や貯蓄預金の金利が上がり、国債でも年2%を超える利率が見られるようになりました。
商品によっては、年3%程度の利回りもあります。

「それなら、預金を国債に移した方がよいのでしょうか」。
そう考えるのは自然なことです。
ただし、金利の数字だけで選ぶと、思わぬところで困る可能性があります。
お金を引き出せる時期も、途中で手放すときの条件も、商品ごとに違うからです。

今回は、預金、個人向け国債、新窓販国債の仕組みを、初めて検討する方にもわかるように整理します。
何を買うべきかという結論を急がず、自分のお金をどこに置くと安心できるのか、考える材料にしてみてください。
なお、文中の金利や募集条件は、2026年10月14日時点で公表されている内容をもとにしています。

金利が上がると、預金の役割も変わってきます

かつて普通預金は、お金を「増やす場所」というより「保管する場所」でした。
100万円を預けていても受け取る利息は少なく、金利を比較しても違いを実感しにくかったからです。
生活費の引き落としや給与の受け取りに使いやすいことが、預金の一番大きな利点でした。

しかし、銀行を取り巻く金利の環境が変われば、預金者が受け取る利息も変わります。
日本銀行の金融政策の見直しや市場金利の上昇を背景に、銀行が普通預金や定期預金の金利を引き上げる動きが広がってきました。
値動きのある商品にお金を投じなくても、ある程度の利息を受け取れる環境が戻りつつあると言えるでしょう。

これは、投資に不安がある人にとって大切な変化です。
預金だけでは何も増えないと焦り、仕組みがよくわからない投資商品へ進む必要はありません。
まずは、普通預金や貯蓄預金、定期預金の違いを知ることから始めても十分です。

もっとも、金利が上がれば良いことばかりとは限りません。
住宅ローンや事業資金の借入金利が上がれば、家計や会社の負担が重くなることもあります。
さらに、預金金利が上がっても、食品や電気代などの値上がりがそれを上回れば、生活で使えるお金の価値は目減りしかねません。

金利上昇は「何を買っても得になる」という知らせではありません。
今まで選びにくかったお金の置き場所を、もう一度比べられるようになった、と捉えるのがよいと思います。

みずほ銀行の貯蓄預金は、金利の高さだけで判断しないことが大切です

最近注目されたのが、みずほ銀行の貯蓄預金です。
貯蓄預金そのものが新しく始まったわけではありません。
同銀行には以前から商品がありましたが、2026年9月、預金残高に応じて普通預金より高い金利を付ける仕組みが、約16年半ぶりに復活しました。
3つの大手銀行の中では初めての動きとして話題になりました。

貯蓄預金は、使うためのお金と、しばらく使わないお金を分けておく口座です。
必要になれば引き出せる点は定期預金より自由ですが、給与の受け取りや公共料金、クレジットカード代金の自動引き落としには使えません。
日常の支払いは普通預金、少し先の予定に備えるお金は貯蓄預金、と役割を分ける使い方が考えられます。

みずほ銀行は2026年9月14日から12月13日まで、貯蓄預金の金利を通常の2倍にするキャンペーンを実施しています。
9月14日から11月1日までの税引前年率は、通常金利の年0.40%から0.45%に対し、残高に応じて年0.80%から0.90%です。
例えば100万円以上300万円未満であれば年0.88%となります。
この記事を書いている10月中旬は、すでにキャンペーン期間の途中にあたります。

さらに11月2日には、普通預金の金利を年0.40%から年0.50%へ引き上げる予定です。
あわせて貯蓄預金のキャンペーン金利も、残高に応じて年1.00%から1.10%の水準へ引き上げると発表されています。
100万円以上300万円未満なら年1.08%、300万円以上なら年1.10%となる予定です。
いずれも税引前の数字であり、今後の金利情勢によって変更される可能性があります。

ここで必ず確認したいのが、12月13日という終了日です。
年1%台の金利は期間限定のキャンペーンによる数字であり、12月14日以降も同じ金利が続くわけではありません。
11月2日以降の年1.00%から1.10%は通常金利を2倍にしたものですから、もとになる通常金利は年0.50%から0.55%ほどと考えられます。
終了後は、その時点で銀行が定める通常金利が適用されます。
短い期間だけ高い利率が表示されている商品と、数年間金利が固定される商品は、同じようには比べられないのです。

もう一つ、手数料にも注意が必要です。
みずほ銀行のアプリで普通預金と貯蓄預金の間を手動で振り替える場合は無料ですが、「スイングサービス」という自動振替を利用すると、振替があったかどうかにかかわらず、原則として月110円(税込)の手数料がかかります。
ただし、普通預金から貯蓄預金へ、指定日に一定額を移す設定は無料です。
使い方によって条件が違うため、申し込み前に確認しておくと安心です。

年1%という数字は、1か月預ければ1%増えるという意味ではありません

預金の金利に「年1%」と書いてあると、100万円を預ければすぐに1万円増えるように感じることがあります。
しかし、これは基本的に1年間預けた場合の利息を計算するための年率です。
1か月だけ預ければ、受け取る利息もその期間に応じた額になります。

例えば、100万円を税引前年1%で1年間預け続けたと仮定すると、単純計算で利息は1万円です。
一般的な預金の利息には20.315%の税金がかかるため、税引後に残る金額は約7,969円です。
年2%なら、税引前で2万円、税引後で約1万5,937円になります。

では、みずほ銀行の改定予定金利を例に考えてみましょう。
100万円を11月2日から12月13日までの42日間、税引前年1.08%で預けたとすると、単純な日割り計算では税引前約1,243円、税引後約990円です。
「年1.08%」という数字でも、約6週間で1万円以上の利息が受け取れるわけではありません。

実際には、銀行は日々の最終残高を使って利息を計算し、所定の時期に支払います。
残高が途中で増減したり、適用金利が変更されたりすれば、受取額も変わります。
ここでの数字は、仕組みを理解するための概算です。

金利を見比べるときは、税引前か税引後か、いつまで適用されるのか、途中で条件が変わるのかを一緒に確認しましょう。
利率の大きさより、手元に残る金額と使いやすさが大切な場合もあります。

個人向け国債には、固定3年・固定5年・変動10年があります

預金以外の選択肢として知っておきたいのが、個人向け国債です。
国債は、国が資金を調達するために発行するものです。
購入する人は国にお金を貸す形になり、決められた条件で利子を受け取ります。
個人向け国債は、1万円から1万円単位で購入できます。

2026年10月募集分の税引前利率は、固定3年が年2.07%、固定5年が年2.39%、変動10年が初回年2.05%です。
3種類すべてが年2%を超えたのは、金利環境の変化をよく表しています。
申込期間は10月30日まで、発行日は11月16日です。
なお、変動10年の年2.05%は最初の半年に適用される金利で、10年間ずっと続くわけではありません。

固定3年と固定5年は、購入した時点で決まった利率が満期まで続きます。
たとえば固定5年を年2.39%で購入した場合、その後に世の中の金利が下がっても、保有する国債の利率は変わりません。
ただし、金利がさらに上がっても、すでに購入した分の利率は上がりません。
「今の利率なら満足できる」と考える資金に向いた仕組みです。

変動10年は、半年ごとに適用利率が見直されます。将来の金利上昇にある程度対応できる一方、金利が下がれば受け取る利子が減る場合もあります。
金利がこの先も上がり続けるとは限らないため、固定と変動のどちらが有利だったかは、あとになってみないとわかりません。
なお、いずれのタイプにも年0.05%の最低金利が設けられています。

個人向け国債の特徴は、発行から原則1年がたてば、中途換金制度を使って国に換金を申し込めることです。
そのときは、直前2回分の利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額、つまり税引後の利子2回分にあたる額が差し引かれます。
ただし、市場価格が下がったからといって、換金する額面元本そのものが減る仕組みではありません。
最初の1年は原則換金できず、保有者が亡くなった場合や大規模な災害に遭った場合などの例外がある、という条件も覚えておきましょう。

満期が10年でも、絶対に10年間保有する必要があるわけではありません。
ただし、自由に引き出せる普通預金とまったく同じでもありません。
この違いを理解しておくと、いざというときに慌てにくくなります。

新窓販国債は、同じ国債でも購入価格と戻る金額が異なることがあります

ここからは、もう一つの国債である新窓販国債について考えます。「新窓販」という名前は聞き慣れないかもしれませんが、金融機関の窓口などを通じて個人も購入できる固定金利の国債です。
満期が2年、5年、10年の3種類あり、額面5万円から5万円単位で購入できます。

2026年10月募集分では、固定2年の応募者利回りは税引前年1.923%、固定10年は年3.048%です。
申込期間は10月28日までとなっています。
個人向け国債の固定5年が年2.39%であることと比べると、10年の年3%超という数字は魅力的に見えるかもしれません。
しかし、満期までの期間も途中で手放す方法も違うため、利回りだけで優劣は決められません。

特に理解したいのが「表面利率」と「応募者利回り」の違いです。
表面利率は国債の額面に対して支払われる利子の割合です。
一方、応募者利回りは、購入時の価格と満期に戻る額の違いなども踏まえ、満期まで保有した場合の収益性を年率で示したものです。

実際に、2026年10月募集の新窓販国債・固定10年は、表面利率が年3.1%、応募者利回りが年3.048%です。
この国債の募集価格は、額面100円につき100円39銭です。額面100万円分を買う場合、募集価格による購入代金は100万3,900円になります。

ところが、満期に戻る額面元本は100万円です。
つまり、購入時に支払った100万3,900円が、そのまま元本として戻ってくるわけではありません。
差額の3,900円は満期時に返ってきませんが、その間に年3.1%の表面利率に基づく利子、額面100万円なら半年ごとに税引前1万5,500円を受け取ります。
購入代金と利子、償還額の関係をまとめて年率で示した数字が応募者利回りです。

反対に、額面100円の国債を100円より安く買う募集もあります。
その場合は満期に額面100円が戻るため、購入価格との差が収益の一部になります。
国債だから購入時に払ったお金が必ずそっくり戻る、と考えないことが大切です。

さらに、新窓販国債には「初回の利子の調整額」があります。
この固定10年は11月10日に発行されますが、最初の利払日である2027年3月20日には、発行日より前の期間も含めた半年分の利子が支払われます。
その前倒しになる51日分を、購入時にあらかじめ支払う仕組みです。額面100万円分では約4,332円を、購入代金とは別に支払います。

したがって、この例で申し込み時に必要な金額は、単純計算では約100万8,232円になります。
ただし、約4,332円は購入手数料ではなく、初回の利子で実質的に戻ってくるお金です。
また、この初回利子調整額は、売却や償還の際、所得税の計算上は取得費に含めることができます。
初めて購入するときは、募集価格と初回利子調整額を分けて確認すると理解しやすくなります。

新窓販国債の最大の注意点は、途中売却による元本割れです

新窓販国債で特に気をつけたいのは、満期より前に売却するときの価格です。
個人向け国債のような国の中途換金制度はなく、売りたい場合には金融機関を通じて市場価格で売却します。
その時点の市場金利や取引状況によって、購入時より高い価格で売れることも、低い価格でしか売れないこともあります。

その仕組みを考えるには、新しい国債の利回りが上がった場面を想像するとわかりやすいでしょう。
今までより高い金利の国債が新しく売られるなら、以前に発行された低い金利の国債を同じ価格で買いたい人は少なくなりがちです。
その結果、以前の国債は価格が下がりやすくなります。逆に、新しい国債の金利が下がれば、すでにある国債の価値が上がることがあります。

例えば、購入時に約100万円を支払った国債が、売却する時点で95万円程度の価格になっていたらどうでしょうか。
ほかの条件を考えない単純な例では、5万円程度の売却損になります。
これは将来の値動きを予測した数字ではなく、途中売却で損失が発生する可能性を説明するための仮定です。
実際の損益は購入価格、受取済みの利子、売却価格、税金などによって変わります。

また、国債の価格変動は、一般に満期までの期間が長いほど大きくなりやすいものです。
2年国債より10年国債の方が、同じ幅の金利上昇によって価格が大きく下がる場合があります。
仮に2年後に住宅購入資金として使う予定なら、10年国債の利回りが高いという理由だけで購入するのは慎重に考えたいところです。

国債は取引の多い債券で、購入した金融機関が買い取りに応じるのが一般的です。
それでも、売却価格はその日の市場で決まるため、希望する日に希望する価格で売れるとは限りません。
金融機関によっては、受け付ける日時などの条件もあります。
だからこそ、新窓販国債は、原則として満期まで保有できるお金かどうかを最初に確認したい商品です。

なお、新窓販国債としての募集価格は財務省が銘柄ごとに決めます。
一方、金融機関が市場で国債を仕入れ、新窓販方式ではなく独自の価格で販売する場合もあります。
窓口で「10年国債」を紹介されても、財務省が公表する新窓販国債の募集条件そのものなのか、市場価格による別の取引なのかを確かめましょう。

購入先によって、取り扱う国債の種類や口座管理手数料なども異なります。
売却時の価格にも金融機関の取引条件が反映されます。
利回りだけでなく、実際にいくら払うのか、途中で売るとしたらどうなるのかを尋ねることが大切です。

国債の利子には、通常20.315%の税金がかかります。
売却益や償還差益も、上場株式などと同じ区分で課税の対象になります。
反対に、先ほどの固定10年を満期まで持った場合、購入代金と初回利子調整額の合計が償還額の100万円を上回る約8,232円は償還差損となり、確定申告などを通じて、その年の国債の利子や株式の配当などと損益を通算できる場合があります。
取り扱いは口座の種類によっても違うため、詳しくは金融機関や税理士に確認するとよいでしょう。
表示された利回りをそのまま手取りの利益だと考えず、税引後の金額で確認する習慣を持ちたいところです。

金利を当てるより、「いつ使うお金か」で置き場所を決めましょう

これからさらに金利が上がると思うと、「今は買わず、もう少し待った方がよいのでは」と感じるかもしれません。
特に固定金利の国債は、購入後に金利が上がっても利率が変わらないので、買う時期が気になります。
しかし、金利のピークを正確に予想することはできません。
待つうちに下がる可能性もありますし、早く買えばその後の上昇を取り逃す可能性もあります。

そこで役立つのが、資金を使う時期ごとに分けて考える方法です。
毎月の生活費、税金、急な修理代など、近いうちに使う可能性があるお金は普通預金を中心に確保します。
金利よりも、必要なときにすぐ使えることを優先するお金です。

数か月以内に予定している旅行や家電の買い替え、使う日を変更するかもしれない支出のためのお金には、貯蓄預金などが考えられます。
ただし、キャンペーン金利は期間が短く、終了後の通常金利も変わる可能性があります。
利息だけではなく、口座の使いやすさや手数料も含めて考えます。

少なくとも1年以上は使わない余裕資金なら、個人向け国債も候補になります。
今の利率を固定したければ固定3年や固定5年、将来の金利変化にも対応したければ変動10年というように考えることができます。
ただし、変動10年は金利が必ず上がる商品ではなく、途中換金には調整額があることを忘れないようにしましょう。

さらに長い期間、満期まで保有できるお金であれば、新窓販国債も検討の対象になります。
利回りが高く見えるから選ぶのではなく、途中で売らなくて済むかどうかを先に考えます。
購入価格が額面より高い場合には、満期の償還額と利子を合わせて判断する必要があります。

もう一つ大切なのが、預金と国債の「守られ方」の違いです。
一般的な利息のつく普通預金や貯蓄預金などは、同じ金融機関の対象預金を合計して、原則1人当たり元本1,000万円と破綻日までの利息が預金保険で保護されます。
一方、国債は預金保険の対象ではなく、国が元本と利子を支払う仕組みです。
どちらにも強みがありますが、同じ保証制度ではありません。

また、利息が増えたとしても、物価の上昇がそれを上回れば、お金の購買力は減ることがあります。
預金や国債には資産の値動きを抑える役割がありますが、将来の物価上昇まで完全に防げるわけではありません。
長い将来に備えるお金については、仕組みを学びながら投資信託などの選択肢を比較してもよいでしょう。
ただし、値動きのある商品を無理に買う必要はありません。

金利が高い月に一度に購入するのではなく、無理のない金額で時期を分ける方法もあります。
ただし、分けて買えば必ず有利になるわけではなく、待っている間に受け取れたはずの利息を逃す可能性もあります。
大切なのは、金利予想を当てることではなく、予定外の支出が起きても困らない持ち方にすることです。

まとめ 「一番高い金利」より「安心して持てる期間」を大切に

金利が上がり、預金にも国債にも、以前より多くの選択肢が生まれています。
預金のままでは損だと焦る必要もありませんし、逆に国債の金利が高いからといって、すべてのお金を移す必要もありません。

貯蓄預金には出し入れの自由さがある一方、キャンペーン金利には期限があります。
個人向け国債は、中途換金しても市場価格の下落で額面元本が減ることはありませんが、原則として最初の1年間は換金できません。
新窓販国債は高い利回りが魅力になる場合があるものの、購入価格が額面と異なることがあり、途中で売れば元本割れする可能性があります。

「このお金は来月使うのか、3年後なのか、10年後なのか」。
まずは、その問いから始めてみてください。
商品を選ぶことより、お金の役割をはっきりさせることが先です。
仕組みを知ってから判断すれば、金利の数字に振り回されず、自分に合った置き場所を選びやすくなると思います。