法人がホームページ制作費を分割払いした場合の会計処理

ホームページ代を分割払いした会社が知っておきたい、正しい経費の入れ方

収納代行会社へ支払うケースで、税務署はどこを見るのか

ホームページを外部の制作会社にお願いして、その代金を分割で支払う。
最近は、こういったご相談がとても増えています。
さらに最近は、制作会社へ直接お金を払うのではなく、信販会社や決済会社、収納代行会社(お客様からの支払いをいったん受け取って、制作会社などにお金を渡す役割の会社)を通して支払う契約も多くなっています。

今回は、次のようなケースを例に考えてみましょう。

・ホームページ代 160万円
・手数料     96万円
・支払総額    256万円
・支払先     収納代行会社

このケースで、まず押さえておいていただきたい結論からお伝えします。

256万円を、まるごと「ホームページ制作費」として一度に経費にしてしまうのは危険です。
ホームページ代160万円と、手数料96万円は、性質が違うお金なので、分けて処理する必要があります。

順番に、ていねいに見ていきましょう。

税務署が確認する3つのポイント

税務署の立場で見たときに、確認されるポイントは大きく3つあります。

ホームページ代160万円の中身は何か

 会社案内や商品紹介、お問い合わせフォームのような、シンプルなホームページなのか。
それとも、予約機能や決済機能、会員管理機能などが付いた、システムに近いホームページなのか。
これによって、会計処理が変わります。

手数料96万円の正体は何か

契約書や支払いの明細で、ホームページ本体の価格と、分割払いに伴う利息や手数料がきちんと分けて書かれている場合、その96万円は「ホームページの値段」ではなく「分割払いを利用するためのコスト」として考えます。
国税庁も、買い物の代金と、分割払いの期間に対応する利息・手数料などが、契約上はっきり区別されている場合には、その利息や手数料を商品の取得価額(買った金額として資産に計上する金額)に含めなくてよいとしています。(国税庁)

消費税とインボイス(適格請求書)はどうなっているか

インボイスとは、消費税の控除を受けるために必要な、取引内容や税額が正しく書かれた請求書のことです。
ホームページ制作費そのものは、通常、消費税がかかる取引(課税仕入れ)になります。
一方で、契約上はっきり区別された割賦手数料や利息に相当する部分は、消費税がかからない取引(非課税取引)になる可能性が高いです。
国税庁も、割賦販売法にもとづく手数料や、それに準ずる利子・保証料に相当する金額のうち、契約で金額がはっきり示されている部分については、非課税取引としています。(国税庁)

まず結論:160万円と96万円は分けて考える

今回のケースを、ざっくり整理すると、次のようになります。

・ホームページ代160万円 → 広告宣伝費(会社や商品を多くの人に知ってもらうための費用)、またはソフトウェア(プログラムとしての資産)
・手数料96万円 → 支払う期間に応じて、少しずつ「支払利息」や「支払手数料」として費用にしていく
・収納代行会社への支払い → 支払先が収納代行会社であっても、取引の実態は「制作会社とのホームページ制作契約」として整理する

ここで、もっとも大切なポイントをお伝えします。

支払総額256万円を、そのまま「広告宣伝費2,560,000円」として会計ソフトに入力してしまうと、税務署から見たときに、こう思われる可能性があります。

「契約書では、本体価格160万円と手数料96万円がきちんと分かれているのに、なぜ全額を同じ経費として処理しているのだろう」

これは、税務調査でとても見られやすいポイントです。
決して難しい話ではありませんので、ひとつずつ整理していきましょう。

ホームページ代160万円:広告宣伝費か、ソフトウェアか

ホームページ代の処理は、ホームページにどんな機能があるかによって変わります。

一般的な会社案内サイトなら、広告宣伝費でかまいません

たとえば、次のような内容のホームページであれば、通常は「広告宣伝費」として、その年の経費にすることが多いです。

・会社概要、代表挨拶
・事業内容、商品・サービスの紹介
・施工事例、ブログ
・お問い合わせフォーム
・採用情報、アクセスマップ

このようなホームページは、たくさんの人に会社や商品を知ってもらうための、広告・宣伝としての性格が強いものです。
そのため、ホームページが完成し、公開された時点で、広告宣伝費として経費にするのが実務上ふつうの考え方です。

ただし、ひとつだけ気をつけたい点があります。
内容がほとんど更新されず、何年も同じ内容を使い続けるような特殊なケースでは、本当に一度に経費にしてよいかどうか、検討が必要になることもあります。

税務署が見ているのは、「ホームページ」という名前がついているかどうかではなく、実際にそれが広告・宣伝のためのものなのか、長く使う設備のようなものなのか、という実質の部分です。

予約機能や決済機能があるなら、ソフトウェアとして扱います

次のような機能があるホームページは、単なる広告用のサイトではなく、「ソフトウェア(プログラムとしての資産)」として処理する可能性が高くなります。

・ECサイト機能(インターネット上で商品を販売する機能)
・オンライン決済機能、予約管理機能
・会員ログイン機能、顧客管理機能、在庫管理機能
・独自の検索システムや、業務管理システムとの連携

見た目はホームページでも、中身はれっきとしたプログラムです。
国税庁は、ソフトウェアを「減価償却資産(使う期間に応じて少しずつ経費にしていく資産)」のうち、形のない資産(無形固定資産)にあたるとしています。
そして、自社で利用するための一般的なソフトウェアの場合、税法上の耐用年数(何年に分けて経費にするかという期間)は5年とされています。(国税庁)

つまり、ECサイトや予約システム付きのホームページであれば、160万円の部分は、広告宣伝費ではなく「ソフトウェア」として資産に計上し、5年間にわたって少しずつ経費にしていく処理を検討する必要があります。

手数料96万円は、一度に経費にしないのが安全です

今回のケースで、とくに注意していただきたいのが、この96万円です。

ホームページ代160万円に対して、手数料96万円というのは、決して小さい金額ではありません。
支払総額256万円のうち、約37.5%が手数料です。

この手数料が、契約書や支払予定表で、

・割賦手数料
・分割払手数料
・事務手数料
・金利相当額、信販手数料
・代金回収費用

などとして、ホームページ本体価格と区別して書かれている場合、税務署はこの96万円を「ホームページそのものの値段」ではなく、「分割払いを利用するためにかかるコスト」として見ます。

そのため、96万円を契約時やホームページ公開時に一度に経費にするのではなく、支払う期間に応じて、少しずつ経費にしていくのが安全な考え方です。

たとえば、60回払いだったとします。

960,000円 ÷ 60回 = 月16,000円

このように、毎月16,000円ずつ「支払利息」や「支払手数料」に振り替えていく処理が考えられます。
なお、契約書や支払予定表で、本体部分と手数料部分の内訳が月ごとに示されている場合は、その明細にあわせるのがもっとも望ましい方法です。

仕訳例①:会社案内サイトとして、広告宣伝費で処理する場合

ここからは、具体的な仕訳の例を見ていきます。
少し細かい内容になりますので、経理を担当されている方や、税理士に依頼する際の確認資料として読んでいただければと思います。

前提は次のとおりです。

・ホームページ代160万円(税込)、消費税率10%
・手数料96万円は、割賦手数料・利息に相当する部分で、非課税
・支払総額256万円
・税抜経理方式(消費税を別に分けて記帳する方式)を採用

このとき、ホームページ代160万円の内訳は、次のようになります。

・税抜本体価格 1,454,546円
・仮払消費税(あとで納める消費税から差し引ける、支払った消費税の金額) 145,454円
・税込合計 1,600,000円

ホームページが完成し、公開された時点の仕訳は、次のようになります。

広告宣伝費 1,454,546/未払金 2,560,000
仮払消費税等 145,454
長期前払費用(先に支払ったけれど、まだサービスを受けていない部分を、一時的に置いておく勘定) 960,000

税込経理方式(消費税を分けずに記帳する方式)を採用している会社であれば、次のように処理することもあります。

広告宣伝費 1,600,000/未払金 2,560,000
長期前払費用 960,000

この処理が表しているのは、次のような内容です。

・ホームページ本体160万円 → 公開時に広告宣伝費として処理
・手数料96万円 → いったん長期前払費用として置いておき、支払う期間に応じて費用化していく
・支払総額256万円 → 未払金(まだ支払っていないお金)として管理

分割払い時の仕訳

仮に60回払いだったとします。

2,560,000円 ÷ 60回 = 約42,667円

実際には契約上の支払予定表にしたがいますが、単純化すると、毎月およそ42,667円を支払うことになります。
支払時の仕訳は、次のとおりです。

未払金 42,667/普通預金 42,667

そして、手数料部分は、毎月次のように費用に振り替えます。

支払利息 16,000/長期前払費用 16,000

勘定科目は、実態が利息に近いものであれば「支払利息」、契約上「分割手数料」「事務手数料」とされているものであれば「支払手数料」でもかまいません。
税務署が大切にしているのは、勘定科目の名前そのものよりも、96万円を支払う期間にきちんと対応させて費用化しているかどうかという点です。

仕訳例②:ソフトウェアに該当する場合

続いて、ホームページに予約機能や決済機能、会員管理機能などがあり、ソフトウェアとして処理するケースです。

完成・公開時の仕訳は、次のようになります。

ソフトウェア 1,454,546/未払金 2,560,000
仮払消費税等 145,454
長期前払費用 960,000

税込経理方式であれば、次のように処理することもあります。

ソフトウェア 1,600,000/未払金 2,560,000
長期前払費用 960,000

ソフトウェアは、原則として実際に使い始めた時点、つまり通常はホームページが公開されて利用できるようになった時点から、少しずつ経費(減価償却費)にしていきます。
耐用年数を5年とした場合、税抜経理であれば、次のようなイメージです。

1,454,546円 ÷ 5年 = 年290,909円

期の途中で公開した場合は、使った期間に応じて月割りで計算します。
たとえば、3月決算の会社が10月に公開した場合、その事業年度で使った期間は6か月になります。

290,909円 × 6か月 ÷ 12か月 = 145,454円

この場合の決算時の仕訳は、次のようになります。

減価償却費 145,454/ソフトウェア 145,454

消費税で気をつけたいポイント

消費税についても、今回のケースは2つに分けて考える必要があります。

ホームページ代160万円について

国内の制作会社に依頼している通常のケースであれば、ホームページ制作費は課税仕入れ(消費税がかかる買い物)になります。
制作会社が適格請求書発行事業者(インボイスを発行できる、税務署に登録した事業者)であり、インボイスの要件を満たす請求書を保存していれば、仕入税額控除(自分が支払った消費税を、納める消費税から差し引く仕組み)の対象になります。
国税庁も、仕入税額控除を受けるためには、取引の事実を記載した帳簿と、適格請求書などの保存が必要であるとしています。(国税庁)

手数料96万円について

手数料96万円が、割賦手数料や利息に相当する部分として、契約上はっきり示されている場合は、非課税取引と考えます。
そのため、96万円に対しては、仮払消費税を計上しません。

ここでよくある誤りが、256万円全額を課税仕入れとして処理してしまうことです。
たとえば、256万円をそのまま税込の広告宣伝費として入力すると、会計ソフト上では次のように計算されてしまいます。

・税抜金額 2,327,273円
・仮払消費税 232,727円
・税込合計 2,560,000円

しかし、本来課税仕入れになるのはホームページ本体160万円の部分だけです。
手数料96万円が非課税であれば、正しい仮払消費税は145,454円になります。
つまり、256万円全額を課税仕入れにしてしまうと、

・誤った仮払消費税 232,727円
・正しい仮払消費税 145,454円
・差額 87,273円

このぶんだけ、消費税を多く控除してしまうことになります。
これは、税務調査でとても指摘されやすいポイントですので、あらかじめ意識しておくと安心です。

なお、契約書に「手数料」と書かれていても、その内容が実質的に利息や保証料ではなく、単なる事務代行サービスへの対価である場合には、非課税にならないケースもあります。
手数料という名前だけで判断せず、内容を確認することが大切です。

収納代行会社に支払う場合のインボイスの確認

今回のように、支払い先が制作会社ではなく収納代行会社である場合、インボイスの確認がとくに大切になります。

預金通帳には、収納代行会社への支払いしか記録されません。
それだけでは、ホームページ制作費の内容を税務署に説明することができません。
次のような資料を、できるだけそろえておくと安心です。

・ホームページ制作契約書、制作会社からの請求書
・適格請求書、または要件を満たす請求書
・収納代行会社との支払契約書、分割支払予定表
・手数料96万円の内訳が分かる資料
・納品書、検収書、ホームページ公開日が分かる資料
・仕様書、見積書

インボイスについては、適格請求書発行事業者の名称・登録番号、取引の年月日、取引内容、税率ごとの金額、消費税額、交付を受ける事業者名などが記載されているかを確認します。
国税庁も、適格請求書に必要な記載事項を具体的に示しています。(国税庁)

支払いは収納代行会社にしていても、取引の実態は「制作会社からホームページ制作という仕事を受けた」というものです。
したがって、インボイスは原則として制作会社側が発行したものを確認し、保存しておく必要があります。
収納代行会社の引落明細だけでは、証拠として不十分になってしまうおそれがあります。

こんな処理は、税務署から見られやすいので気をつけましょう

ここまでの内容をふまえて、税務署が問題視しやすい処理を整理しておきます。
決して「これをやったら必ずアウト」というものではありませんが、見られやすいポイントとして知っておいていただきたい内容です。

256万円を全額、広告宣伝費にしてしまう

契約書に本体価格160万円、手数料96万円と分けて書かれているのに、全額を同じ経費にしてしまうと、「なぜ分けずに処理しているのか」という疑問を持たれる可能性があります。

手数料96万円にも消費税をかけてしまう

非課税のはずの部分まで課税仕入れとして処理すると、消費税を多く控除しすぎてしまうことになります。

システム機能付きなのに、広告宣伝費で処理してしまう

予約システムや決済機能があるのに全額を広告宣伝費にしていると、本来はソフトウェアとして資産計上すべきと判断される可能性があります。

契約書や支払予定表、インボイスがそろっていない

会計処理そのものが正しくても、証拠となる資料が足りないと、税務調査の際にうまく説明できなくなってしまいます。

税務調査では、たとえば「誰にホームページを作ってもらったのか」「手数料96万円は何の手数料か」「インボイスは誰から受け取っているか」といった質問を受けることがあります。
あらかじめ資料をそろえておけば、落ち着いて答えることができますので、難しく考えすぎず、今のうちに準備を整えていきましょう。

実務上、こうしておくと安心です

今回のようなケースでは、次の流れで整理しておくと、安心して経理を進めることができます。

1.ホームページ本体160万円と、手数料96万円を区分する
2.ホームページ本体160万円は、内容に応じて広告宣伝費、またはソフトウェアとして処理する
3.手数料96万円は、長期前払費用などで一時的に管理し、支払う期間に応じて支払利息や支払手数料に振り替えていく
4.手数料96万円が利息・割賦手数料に相当するものであれば、原則として消費税は非課税として処理する
5.インボイスは、収納代行会社の明細だけでなく、制作会社側の請求書・契約書もあわせて確認する

会社案内サイトのような、シンプルなホームページであれば、

広告宣伝費 1,454,546
仮払消費税等 145,454
長期前払費用 960,000
/未払金 2,560,000

システム機能付きのホームページであれば、

ソフトウェア 1,454,546
仮払消費税等 145,454
長期前払費用 960,000
/未払金 2,560,000

というイメージで整理していただくと分かりやすいと思います。

まとめ

法人がホームページを制作し、分割払いで収納代行会社に支払う場合、会計処理は少していねいに考える必要があります。

今回のように、ホームページ代160万円・手数料96万円・支払総額256万円と区分されている場合、税務署はこの区分をしっかり見ています。

ホームページ本体160万円は、一般的な会社案内・商品紹介サイトであれば、広告宣伝費として処理できる余地があります。
一方で、予約機能や決済機能、会員管理機能などがある場合は、ソフトウェアとして資産に計上し、5年で少しずつ経費にしていく処理を検討しましょう。

手数料96万円は、割賦手数料や利息に相当するものであれば、ホームページ本体の値段には含めず、支払う期間に応じて費用化していくのが安全です。
消費税についても、契約書で利息や割賦手数料として明示されている部分であれば非課税となりますので、仮払消費税を計上しないよう気をつけましょう。

もっとも避けたいのは、支払総額256万円を全額、広告宣伝費として一度に処理してしまうことです。
金額も大きく、手数料部分もはっきり区分されている取引ですので、税務調査では比較的目に留まりやすいポイントといえます。

会計処理を行う前に、少なくとも次の資料を確認しておくと安心です。

・制作契約書、請求書、インボイス
・支払予定表、手数料の内訳
・ホームページの仕様書、公開日が分かる資料

これらの資料をそろえたうえで、ホームページ本体と手数料を分けて処理していくことが、税務上、もっとも説明しやすい方法です。
一度仕組みを整理しておけば、次回以降は同じ流れで対応できますので、ひとつずつ落ち着いて準備していきましょう。

※この記事は、作成時点で確認できる国税庁の情報をもとに作成しています。
実際の会計処理や税務上の判断には、契約内容や個別の事情によって異なる部分がありますので、具体的な金額や処理方法については、最新の情報を税務署にご確認いただくことをおすすめします。