会社負担の家具・家電は給与になる?自社所有・リース別の計算方法と注意点
会社が役員や従業員に社宅を貸す際、ベッド、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ソファなどの家具・家電も一緒に用意することがあります。
特に、転勤者向けの社宅、単身赴任者向けの住居、外国人社員向けの住居などでは、入居後すぐに生活できるよう、会社が家具や家電を準備するケースも少なくありません。
このとき注意したいのが、社宅そのものの家賃と、家具・家電を利用できることによる利益は、税務上、原則として分けて考えるという点です。
社宅の家賃を税務上のルールに沿って計算していたとしても、家具や家電を無料または安い金額で利用させている場合には、別に給与課税の確認が必要になることがあります。
この記事では、会社が所有またはリースしている家具・家電を、特定の役員や従業員が自宅や社宅で私生活のために専属的に利用するケースを中心に、次の内容を説明します。
・社宅家賃と家具等の利用料を分ける理由
・会社所有の家具等を貸す場合の計算方法
・リースした家具等を貸す場合の計算方法
・本人から利用料を受け取る場合の考え方
・償却済みの家具を貸す場合の注意点
・役員に貸す場合の法人税上の注意点
・実務上、準備しておくとよい資料
結論:家具等の利用による利益は、社宅家賃とは原則として別に計算します
会社が所有またはリースしている家具・家電を役員や従業員に貸す場合、その利用による経済的利益は、社宅の「賃貸料相当額」とは原則として分けて評価します。
国税庁は、自社所有またはリースによる家具等を役員や使用人に貸与する場合、その経済的利益を社宅の賃貸料相当額とは原則として区分して評価するとしています。
ここでいう「賃貸料相当額」とは、会社が役員や従業員に社宅を貸す場合に、給与として課税されないために本人から受け取るべき一定の家賃です。
一方、ベッド、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などは、建物そのものではありません。
そのため、税務上は次の2つを分けて考えるのが基本です。
社宅の家賃
建物や土地を利用することについての対価です。
家具等の利用料
ベッド、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ソファなどを利用することについての対価です。
たとえば、会社が従業員に家具付きの社宅を貸している場合、社宅家賃について適正な金額を受け取っていても、家具等を無料で利用させている部分については、別に確認が必要です。
「経済的利益」とは何ですか?
経済的利益とは、現金を直接受け取ってはいないものの、本人が実質的に得をしている利益のことです。
会社が役員や従業員に給与を現金で支払えば、その給与は原則として所得税の対象になります。
一方、会社が所有する家具を無料で使わせた場合、本人は現金を受け取っていません。
しかし、本来であれば自分で購入したり借りたりしなければならない家具を、費用を負担せずに利用できます。
この「費用を負担せずに済んだ利益」が、税務上の経済的利益、いわゆる現物給与(現金ではなく、物やサービスの形で支給される給与のことです)として扱われることがあります。
国税庁は、土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価で貸し付けたことによる利益は、原則として給与所得となる経済的利益に含まれると説明しています。
基本的な考え方は、次のとおりです。
家具等を通常借りた場合に支払うべき利用料 -役員・従業員が会社へ実際に支払った利用料 =給与課税を検討する経済的利益
本人が何も支払っていなければ、合理的に計算した利用料の全額が経済的利益となる可能性があります。
本人が一部を支払っている場合には、通常の利用料と本人負担額との差額を確認します。
対象になるのは「専属的に利用する」場合が中心です
所得税法施行令第84条の2(会社の資産を個人が私生活のために専属的に利用する場合の経済的利益について定めた規定です)では、法人や個人事業者の事業用資産を個人が「専属的に利用する」ことによる経済的利益について、その資産を利用するために通常支払うべき対価を基準として評価することとされています。
この記事で主に想定しているのは、次のようなケースです。
・特定の役員の社宅に家具一式を設置している
・特定の従業員が住む社宅に家電を用意している
・家具等を役員や従業員、その家族が継続的に私生活で使用している
・貸与期間中は、ほかの人が利用しない状態になっている
一方で、次のようなものは事情が異なります。
・会社の会議室に置かれているテーブルや椅子
・社内の休憩室に置かれている共用の冷蔵庫
・従業員寮の共用スペースに設置され、複数人が使うテレビ
・会社の業務に使用するために貸しているパソコンやモニター
特定の一人が私生活で専属的に利用しているのか、それとも会社の業務や複数人の共用に使われているのかによって、税務上の判断は変わります。
物の名称だけで判断するのではなく、次の点を確認することが大切です。
・どこに設置されているか
・誰が利用しているか
・私生活と業務のどちらに使っているか
・貸与終了時に返却することになっているか
・本人や家族が自由に利用できる状態か
会社が所有する家具等を貸す場合の計算方法
会社が購入して所有している家具等を役員や従業員に貸す場合には、一般的に次の金額を基礎として利用料を合理的に見積もります。
・定額法による減価償却費相当額
・家具等の維持管理に通常必要となる費用相当額
減価償却とは、高額なものを買ったときに、購入代金を一度にすべて経費にするのではなく、使用できる期間に分けて少しずつ経費にしていく仕組みです。
定額法とは、原則として、毎年おおむね同じ金額ずつ減価償却する方法です。
国税庁は、自社所有の家具等について、定額法によって計算した減価償却費相当額に、家具等の維持管理に通常必要となる費用相当額を加えるなどの方法で、合理的に見積もるとしています。
計算のイメージは、次のとおりです。
1年間の減価償却費相当額 +1年間の維持管理費相当額 =1年間の家具等の利用料相当額
年間を通して同じ家具等を貸している場合には、年間の金額を12か月で割り、月額を求める方法が考えられます。
ただし、国税庁の質疑応答事例は、具体的な月割り方法、端数処理、短期間だけ貸した場合の計算方法まで一律に定めているわけではありません。
貸与を始めた日、返却した日、実際の使用期間などに応じて、合理的に計算する必要があります。
会社所有の場合の計算例
たとえば、会社所有の家具・家電一式について、次のように計算されたとします。
・年間の減価償却費相当額:24万円
・年間の維持管理費相当額:3万6,000円
年間の利用料相当額は、次のようになります。
24万円+3万6,000円=27万6,000円
これを12か月で割ると、1か月当たりの利用料相当額は次のとおりです。
27万6,000円÷12か月=2万3,000円
役員や従業員が利用料をまったく支払っていなければ、月額2万3,000円について、経済的利益として給与課税が必要かを検討します。
本人が会社に毎月8,000円を支払っている場合には、差額は次のようになります。
2万3,000円-8,000円=1万5,000円
この場合は、月額1万5,000円が給与課税を検討する金額となります。
なお、この数字は考え方を説明するための例です。
実際の計算では、取得価額、使用期間、家具等の状態、維持管理の内容などを確認する必要があります。
リースした家具等を貸す場合の計算方法
会社が家具・家電を購入せず、リース会社などから借りて役員や従業員に貸すこともあります。
この場合、国税庁は、原則としてリース料相当額を家具等の経済的利益の額とする取扱いを示しています。
たとえば、会社が家具・家電一式について毎月5万円のリース料を支払い、そのすべてを特定の役員が自宅で私生活のために使用しているとします。
役員が会社に何も支払っていなければ、原則として月額5万円について経済的利益を検討します。
役員が毎月2万円を会社に支払っている場合には、差額は次のとおりです。
5万円-2万円=3万円
この場合、月額3万円が給与課税を検討する金額になります。
配送費や設置費は、自動的に除外できるとは限りません
リース契約や家具の購入に関連して、次のような費用が発生することがあります。
・配送費
・搬入費
・組立費
・設置費
・定期的なメンテナンス費
・故障時の交換費用
・撤去費用
これらの費用がある場合、「家具そのものの代金ではないから、経済的利益の計算から除外してよい」とは限りません。
たとえば、特定の役員が私生活で使う家具を自宅へ運び、設置するための費用を会社が負担した場合、その費用は本人の私的利用と直接関係しています。
そのため、付随費用であることだけを理由に除外せず、本人が通常負担すべき性質の費用かどうかを確認する必要があります。
一方で、リース契約の中に会社の業務に関係するサービスが含まれており、その金額を契約書などから明確に区分できる場合には、利用実態に応じて合理的に分けることが考えられます。
実務上は、次の資料を確認すると整理しやすくなります。
・リース契約書
・見積書
・請求書
・サービス内容の明細
・配送先や設置場所
・利用者と使用目的
費用の名称だけではなく、「誰のために、何の目的で発生した費用なのか」を確認しましょう。
社宅の「50%以上」というルールは、家具にはそのまま使えません
従業員に社宅や寮を貸す場合、一定の方法で計算した賃貸料相当額の50%以上を本人から受け取っていれば、会社が実際に負担した家賃との差額を給与として課税しない取扱いがあります。
ただし、この50%基準は、使用人に対する社宅や寮の貸与について設けられている取扱いです。
家具や家電の貸与について、同じ50%基準がそのまま適用されるわけではありません。
たとえば、家具等の通常の月額利用料が2万円で、従業員から1万円を受け取っているとします。
社宅のルールだけを見れば、「50%を払っているから問題ない」と考えてしまうかもしれません。
しかし、家具等については、通常支払うべき利用料と本人が支払った金額との差額を基本に考えます。
そのため、この例では、残りの1万円について経済的利益として給与課税が必要かを確認することになります。
社宅家賃と家具等の利用料を混同しないことが大切です。
なお、役員社宅については、従業員社宅とは異なる賃貸料相当額の計算方法が設けられています。
役員について、従業員社宅の50%基準をそのまま使用しないよう注意が必要です。
償却済みの家具は、必ず利用料がゼロになるのでしょうか?
会社が所有している家具や家電の中には、会計上または税務上、すでに減価償却が終わっているものもあります。
また、購入時に少額の資産として全額を経費にしていることもあります。
この場合に、「帳簿価額がゼロまたは1円だから、本人が受ける経済的利益も必ずゼロになる」と断定するのは慎重に考えた方がよいでしょう。
家具等の経済的利益は、その家具等を貸した場合に通常支払われる対価を基準として評価することとされているためです。
ただし、国税庁の家具貸与に関する質疑応答事例では、償却が終わった家具について、具体的にいくらで評価するかまで示されているわけではありません。
そのため、償却済みの家具については、次のような事情を踏まえて、合理的に判断する必要があります。
・購入してからの年数
・家具等の現在の状態
・故障や傷みの程度
・今後使用できると見込まれる期間
・維持管理費の有無
・同じような中古品やレンタル品の利用料
・本人が受けている実際の利益
長期間使用し、利用価値がかなり低下している家具については、新品と同じ利用料で評価することが適切とは限りません。
一方で、帳簿上の減価償却が終わっていても、問題なく使用でき、本人が継続的に利益を受けている場合には、帳簿価額だけで利用料をゼロと判断すると説明が難しくなることがあります。
償却済み資産の評価について判断が難しい場合は、家具等の状態や使用状況を整理したうえで、税務署へ確認すると安心です。
業務のために貸している備品は、私生活用の家具と分けて考えます
会社が在宅勤務のためにパソコン、モニター、机、椅子などを従業員へ貸すことがあります。
会社が所有する物品を、専ら業務に使用する目的で従業員に貸し、業務に使用しなくなったときに返却させる場合には、原則として従業員への給与として課税する必要はないと国税庁は説明しています。
ここで重要なのは、会社から従業員に所有権が移っていないことと、業務のために使用していることです。
一方で、次のような場合には、私生活上の経済的利益がないかを確認する必要があります。
・家族も自由に使用している
・業務上必要な範囲を大きく超える高額な物品である
・退職後や在宅勤務終了後も返却しなくてよい
・実質的に本人へプレゼントした状態になっている
・本人が自由に売却や処分をできる
会社では「貸与」と呼んでいても、返却義務がなく、本人が自由に処分できる場合には、実質的に「支給」と判断される可能性があります。
契約書上の名称だけではなく、実際の使用状況や返却条件を確認しましょう。
給与計算と源泉徴収ではどのように処理しますか?
家具等を無償または低い金額で貸したことによる利益が給与に該当する場合には、原則として給与所得として扱います。
資産の貸与による経済的利益は、原則として、その利益を受けた各月ごとに、その月の末日に収入したものとして取り扱われます。
たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。
・現金で支払う給与:30万円
・家具貸与による経済的利益:2万円
この場合、所得税の計算上は、原則として合計32万円を給与として扱うことを検討します。
ただし、家具貸与による2万円は、本人へ現金で支払われるわけではありません。
そのため、給与明細では、現金給与とは別に経済的利益の項目を設けて表示すると分かりやすくなります。
たとえば、次のような項目です。
・現金給与
・家具貸与による経済的利益
・家具利用料の本人負担額
・給与課税する差額
実際にどの給与月で処理するか、源泉所得税をどのように計算するかについては、給与計算を担当する方と確認しておきましょう。
役員に貸す場合は、会社側の法人税にも注意が必要です
家具等を従業員ではなく役員に貸す場合には、役員本人の所得税だけでなく、会社側の法人税にも注意が必要です。
会社が役員に与えた経済的利益は、法人税上、役員給与として扱われることがあります。
国税庁は、役員に継続的に与えられる経済的利益のうち、その利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与(毎月の支給額がほぼ一定である役員給与のことで、税法上の要件を満たせば会社の経費にできる仕組みです)に該当し、一定の条件のもとで損金算入(法人税を計算するとき、会社の経費として差し引くことです)されると説明しています。
一方、毎月の金額がおおむね一定でないものなどは、定期同額給与に該当せず、原則として会社の損金に算入されません。
また、不相当に高額な経済的利益や、事実を隠したり仮装したりして処理したものについても、損金に算入されません。
役員に家具等を貸す場合には、次の点を整理しておくと安心です。
・誰に貸しているか
・どの家具等を貸しているか
・貸与開始日
・利用料相当額の計算方法
・役員本人から受け取る金額
・毎月の経済的利益の金額
・家具を追加または交換した日
・給与明細や役員報酬台帳への反映方法
役員給与の損金算入には細かな要件があるため、家具等の貸与を始める前に税務署へ相談しておくことをおすすめします。
実務上、準備しておくとよい資料
家具等の貸与については、後から説明できるよう、関係資料をまとめておくと安心です。
会社所有の家具等であれば、次のような資料が考えられます。
・購入時の請求書や領収書
・購入した家具等の明細
・固定資産台帳
・減価償却費相当額の計算資料
・維持管理費や修理費の資料
・貸与した相手と設置場所が分かる記録
・貸与開始日と返却日が分かる記録
・本人から受け取った利用料の記録
リースした家具等であれば、次のような資料が考えられます。
・リース契約書
・リース会社からの請求書
・リース対象となる家具等の一覧
・月額リース料の明細
・配送費や設置費などの内訳
・契約期間
・貸与した相手と設置場所
・本人負担額の記録
また、会社の状況に応じて、次のような社内資料を作成しておく方法もあります。
・家具等貸与規程
・家具等の貸与確認書
・家具等の管理台帳
・利用料の計算表
・家具等の追加・交換・返却記録
ただし、これらの資料について、すべての会社に一律の作成義務があるということではありません。
国税庁の家具貸与に関する質疑応答事例でも、家具等貸与規程の作成や年1回の見直しが、税法上の義務として定められているわけではありません。
これらは、会社の処理を後から説明しやすくし、計算漏れや認識違いを防ぐための実務上のおすすめです。
会社の規模や貸与している家具等の数に応じて、無理のない方法で管理しましょう。
社宅家賃と家具利用料は、内訳を分けておきましょう
会社が役員や従業員から、社宅家賃と家具利用料をまとめて受け取ることがあります。
たとえば、「社宅使用料」という名目で毎月3万円を給与から差し引いているケースです。
この場合、3万円の内訳が分からないと、社宅家賃としていくら受け取り、家具利用料としていくら受け取っているのかを説明しにくくなります。
次のように分けて記録しておくと分かりやすくなります。
・社宅家賃:2万4,000円
・家具等利用料:6,000円
・合計徴収額:3万円
本人へ交付する書類や給与明細でも、可能であれば項目を分けておくと、会社と本人の認識違いを防ぎやすくなります。
実務でよくある間違い
社宅家賃を計算すれば、家具等の確認は不要だと思っている
社宅の賃貸料相当額と、家具等の経済的利益は原則として別に評価します。
家具付き社宅を用意している場合は、社宅家賃だけでなく、家具等についても確認しましょう。
「福利厚生」という理由だけで課税されないと思っている
従業員の生活を支援する目的で家具を用意した場合でも、それだけで必ず非課税になるわけではありません。
特定の役員や従業員が、私生活で専属的に利益を受けているかどうかが重要です。
会社で経費にしたため、個人にも課税されないと思っている
会社が家具の購入費やリース料を経費にできるかどうかと、役員や従業員に給与課税が必要かどうかは、別の問題です。
会社側で費用処理していても、本人が経済的利益を受けていれば、給与課税の確認が必要です。
社宅の50%基準を家具にも使っている
従業員社宅の50%基準は、家具等の貸与にそのまま適用されるものではありません。
家具等については、通常の利用料と本人負担額との差額を確認します。
帳簿価額だけを見て利用料をゼロにしている
償却済みであることだけを理由に、経済的利益を必ずゼロと判断できるとは限りません。
ただし、古い家具について具体的にどのように評価するかは、使用状況などを踏まえた個別判断が必要です。
配送費や設置費をすべて除外している
本人の私的利用のために直接発生した配送費や設置費については、経済的利益に含める必要がないかを確認します。
費用の名称だけで除外せず、発生した目的を確認しましょう。
家具を追加・交換したのに計算を見直していない
テレビや冷蔵庫を新しいものに交換した場合や、家具を追加した場合には、利用料相当額が変わることがあります。
年1回の見直しは税法上の一律の義務ではありませんが、決算時や年末調整の準備時など、会社が管理しやすい時期に確認する方法があります。
まず確認したい実務上の手順
家具付き社宅を用意している会社は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
貸している家具等を一覧にする
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ベッド、ソファなど、会社が用意したものを確認します。
会社所有かリースかを確認する
所有形態によって、経済的利益の計算方法が異なります。
利用者と使用目的を確認する
特定の役員や従業員が私生活で専属的に利用しているのか、会社の業務や複数人の共用に使われているのかを確認します。
通常の利用料を計算する
会社所有の場合は、定額法による減価償却費相当額と維持管理費相当額などを基礎にします。
リースの場合は、原則としてリース料相当額を確認します。
本人負担額を確認する
本人が会社へ支払っている金額があれば、通常の利用料から差し引きます。
給与課税の要否を確認する
差額がある場合には、給与として処理する必要がないかを確認します。
役員の場合は法人税も確認する
役員に対する経済的利益については、役員給与の損金算入要件も確認します。
まとめ
会社が役員や従業員に家具・家電を貸す場合には、次の点を押さえておきましょう。
第一に、家具等の利用による経済的利益は、社宅の賃貸料相当額とは原則として別に計算します。
第二に、主に確認の対象となるのは、会社の家具等を特定の役員や従業員が私生活で専属的に利用している場合です。
第三に、会社所有の家具等については、定額法による減価償却費相当額と維持管理費相当額などを基礎に、合理的な利用料を見積もります。
第四に、リースした家具等については、原則としてリース料相当額を基礎にします。
第五に、配送費や設置費などについても、本人の私的利用に直接関係する費用であれば、自動的に除外せず、経済的利益に含める必要がないかを検討します。
第六に、償却済みの家具については、帳簿価額だけで利用料をゼロと断定せず、家具の状態や利用価値を踏まえて慎重に判断します。
第七に、家具等貸与規程の作成や年1回の見直しは、税法上すべての会社に一律に義務付けられたものではありません。ただし、会社の処理を説明しやすくするため、管理資料を準備しておくと安心です。
家具付き社宅は、役員や従業員にとって便利な制度です。
一方で、社宅の家賃だけを確認し、家具等の取扱いを見落としてしまうことがあります。
まずは、会社が用意している家具・家電を一覧にし、誰が、どこで、何のために使っているかを整理してみましょう。
そのうえで、購入資料、固定資産台帳、リース契約書、本人から受け取っている利用料などを確認すると、必要な対応が見えやすくなります。
ご注意
この記事は、2026年7月25日に確認した所得税法施行令および国税庁の公表資料をもとに、一般的な税務上の考え方を説明したものです。
国税庁の「社員に家具等を貸与した場合の経済的利益」は、令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成された質疑応答事例です。
実際の取扱いは、家具等の種類、使用目的、利用者、貸与方法、契約内容、本人負担額、業務利用の有無などによって異なる場合があります。
特に、役員への貸与、償却済みの家具、業務用と私用が混在する場合、家具付き住宅を一括して借りている場合には、個別の事実関係を確認したうえで、税務署へご相談ください。






